Sansan

イベントレポート

「データ」が金融機関の
価値を変える
~デジタル化時代において
重要な経営戦略とは~

イベントレポート

2020年1月20日、金融関係者を対象としたセミナーを株式会社 日立製作所と共催しました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進展する現代、金融機関、中でも銀行はGAFAなどビックテックの脅威にさらされています。今後どのようにデジタル化を進め、データを活用することで新しい価値を生み出していくのか?日本銀行や日立製作所において金融インフラの改革に取り組んできた青木 周平氏、日本銀行、監査法人を経て現在、滋賀銀行の社外取締役である安井 肇(Sansanシニアアドバイザー)、Sansanデジタル戦略統括室 室長の柿崎 充が金融機関の「デジタル化」のあり方について語りました。
銀行はデジタル経済にどう対応するか
− 株式会社日立製作所 青木 周平 氏
いかにデータを活用し、
顧客の求めるサービスを提供するか?


最初に日立製作所の青木周平氏が講演を行いました。まずGAFAやBAT※1などのビッグテックや金融以外の業界の企業が個人向けペイメントサービスに続々と参入している状況に触れ、そうした企業が無料でサービスを提供し、そこで得られたデータをもとに新しいビジネスを展開しようとしていることを解説。そんな中、有料でサービスを提供し、データを活用するビジネスを考えてこなかった従来の銀行は大きな脅威にさらされていると指摘しました。

次に、海外の金融当局が、銀行・企業・個人が情報やサービスを相互に提供し合い、利用し合うエコシステムの構築を目指していることを解説。具体的には、オープンAPI※2の義務化などがあげられます。
また、そうしたデジタル経済を実現するデジタルバンキングによって、海外の銀行が支店数、人員を削減し、大幅なコストダウンを実現している例を挙げ、日本の銀行もいずれ同じ道を歩むだろうと話しました。

用事があれば預金者に来行してもらう銀行中心主義から、小売業などとデータを共有しながら預金者にサービスを提供するというパラダイムシフトへの対応に銀行は苦しんでいます。データ提供に関する合意の取り方、データをマネタイズする手法など課題は山積しています。
「まずはデータを確保すること。その後のやりようはいくらでもあります。重要なのはお客さまが何を求めているのかを知り、ライバルであるビッグテックや他業界の企業がどんなサービスを提供しているかを理解すること。その上でお客さまが求めるサービスを設計することです。テクノロジー先行で取り組んでもダメです。やりたいことさえ明確なら、何でも実現できるというのが最大のポイントです」と青木氏は締めくくりました。
※1
GAFA:グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェイスブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の4社のこと。頭文字を取って称される。
BAT:中国に本拠を置く、インターネット関連企業の最大手3社の通称。サーチエンジン運営のバイドゥ、ECサイト運営のアリババ、メッセンジャーアプリ開発のテンセントを指す。

※2
アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)の略。OS(基本ソフト)やアプリケーションソフト、あるいはウェブアプリケーションが、自ら持つ機能の一部を外部のアプリケーション(ソフトやウェブサービス)から簡単に利用できるようにするインターフェース。

金融機関のデジタル化のあり方とは?
− パネルディスカッション
金融機関におけるデジタル技術の活用法

講演に続いて、青木氏、安井、柿崎によるパネルディスカッションが行われました。
「金融機関におけるデジタル技術の使い所」というテーマで、デジタル技術を銀行のトップライン(売上高)伸ばすために活用するべきか、それともコストダウンの実現に活用するべきかという問題を安井は提起しました。
それに対し青木氏は、個人向けデジタルバンキングは銀行にとって支店・人員削減によるコストダウンにつながること。また一方、法人向けサービスでは、例えば銀行が手数料を取って、取引企業の資金管理、人事管理などのバックヤード業務を引き受けることで、トップラインを伸ばすことができると述べました。
「銀行はインソースした業務を会計会社や人材会社にアウトソースし、手数料との差額で利益を得ます。銀行には信用があるからこそ、こうした仕事を受けることが可能です」(青木氏)

  次に安井は、データはお金を生み出す源泉であり、保存や管理、加工のために必要なコストが小さいため、「収穫逓減の法則」ではなく「収穫逓増の法則」が成り立つのではないかと問いかけました。
青木氏はそれを受け、銀行はこれまで保護されるとともに多くの規制を受けてきた。禁止されていたデータビジネスなどの「他業」を行うことで、「収穫逓増のモデル」に入っていけるのではないかと答え、銀行が十分な収益を上げることが金融システムの安定につながると語りました。


人材を上手に組み合わせて変革を生み出す

「金融機関でDXを円滑に進めるには?」というテーマで青木氏は、ある銀行経営者の「これまで銀行をうまく運営すること(run the bank)に力を注いできたが、それでは必ず失敗する。これからの時代には銀行を変える(change the bank)経営者が必要だ」という言葉を紹介。銀行を変えるには、顧客ニーズを踏まえて大胆な提案を行う新しい人材と、行き過ぎを止めて安定した経営を維持する古い人材とを組み合わせたチームでDXを進めていくことが重要だと語りました。

  そして、DXを進めていくために「組織のメンバー一人ひとりが『なぜ自分はここにいるのか?』『これまで自分はどのように社会に貢献し、今後どう貢献していくのか?』という原点に立ち返って、新しい商品・サービスを考えることが大切です」と安井は話しました。

最後に柿崎は「DXの波は金融機関だけでなく、すべての業界、業種に押し寄せています。今日のお話で、今後どう対応していくべきかのヒントや柔軟な発想で迅速に行動することの重要性をあらためて学ぶことができました」と語りました。




当社のイベント事務局では、本レポートで紹介した経営戦略の他にも、デジタルトランスフォーメーションや働き方改革をテーマとした勉強会も行っています。

ぜひ、皆様のご参加をお待ちしております。
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