Sansan

イベントレポート

イノベーションを起こすために必要な「SHARE」のありかた
~価値共創時代における
シェアリングエコノミーの可能性~

イベントレポート

2020年2月25日、新型コロナウイルスの影響から、急遽オンラインにて、シェアリングエコノミーに関するセミナーを開催しました。

テクノロジーの進化とともに、AirbnbやUberなどをはじめとしたシェアリングサービスが次々と登場しています。これによって、人々はインターネットを通じてモノや時間、スキルやスペースなどをシェアするようになりました。

本セミナーでは、シェアリングの考え方が広まっていく中で、これからの社会がどのように変化していかなければならないかを、シェアリングエコノミー協会の石山アンジュ氏が追求しました。また、2017年ニッポン新事業創出大賞にて経済産業省 経済産業大臣賞(最優秀賞)を受賞したラクサス・テクノロジーズ代表の児玉昇司氏が、イノベーション創出とサブスクリプションサービスの成功について語りました。
「シェアライフ
新しい社会の新しい生き方」
− 内閣官房シェアリングエコノミー伝道師/一般社団法人シェアリングエコノミー協会事務局長/一般社団法人Public Meets Innovation 代表理事
石川 アンジュ 氏
シェアがライフスタイルと社会を変え、
世界が直面する限界を超えていく


個人と個人だけでなく企業と個人においても、持っている人とそれを必要としている人が可視化され、貸し借りしたり、売買したり、共同所有したりすることができるインフラが広がりつつあると石山氏は語りました。インフラの広がりによって、シェアリングエコノミーの市場規模は1兆8000億円を超え、生活の充実度や幸福度向上にも寄与しています。空きスペースのシェア、ペットや荷物の預かり、自家用車や駐車場のシェア、食材のシェアなどCtoCやBtoB、BtoC、そして、GtoC※1のさまざまなサービスが次々と生まれています。

はじめに、シェアは消費だけでなく、ライフスタイルも変えると石山氏は話します。個人主体型の経済活動によって、地方に住む高齢者や障がいのある方、子育て中の女性など、誰もが、いつでも、どこでも「稼げる」ようになります。さらに、シェアが社会にもたらす影響として、1億総活躍社会、地方創生・共助の社会、サステナブルな社会の実現を挙げ、新しい体験や付加価値を生み出すイノベーションの創出に貢献すると語ります。
また、シェアリングエコノミーのサービスは「使用されていない資産・リソースを有効活用する」観点でSDGsと親和性があり、シェアリングエコノミーを街全体のインフラとして積極的に活用する「シェアリングシティ」への取り組みが世界中で広がっていることを、韓国・ソウルの例を挙げて石山氏は解説。日本国内においても政府による地方自治体への普及活動が推進されており、佐賀県多久市のシェアによる就業機会の創出、北海道天塩町のシェアライドの試みなどを紹介しました。

次に、いまはこれまでとは違い、資源は有限であることが前提で、モノがあり余っている時代だと石山氏は指摘。豊かさの定義も所有から共有へ、資本価値はお金からつながりへ、個人の価値はステータスから信頼へ、充足感の軸は物質的なものから精神的なものにシフトしてきています。そして、シェアによって消費・趣味・価値観に基づく新しい人間関係やコミュニティが広がることで社会が変わっていくと話しました。

最後に、シェアリングエコノミーを広げ、シェアライフを実現する鍵はいかに「信頼」をデザインするかだと石山氏は強調します。行政やプラットフォーム企業には安心・安全にサービスを利用できる仕組み、ユーザーにはサービスを見極めるリテラシーが求められます。
「令和の時代に入り、『シェア』という思想は、豊かさを定義する新たな鍵になると考えています。」
※1 GtoC:企業(=「B」)と政府や自治体(Government=「G」)の間で行われる電子商取引のこと。代表的な例として、公共事業の電子入札などがある。

「エシカルとサブスクリプション」
− ラクサス・テクノロジーズ 株式会社 代表取締役社長/一般社団法人シェアリングエコノミー協会 幹事
児玉 昇司 氏
イノベーションを創出し、
サブスクリプションを成功させる鍵とは?


児玉氏は自らが手がけるラグジュアリーブランドバッグを貸し借りするCtoCシェアリングプラットフォーム「Laxus(ラクサス)」を紹介。ラクサスは月々6,800円で高級バッグが使い放題であるサービスであり、“SAVE MONEY” “MAKE MONEY” “FREELY”という3つの価値を提供しています。サービスの継続率の高さが特徴で、現在会員数36万人、流通総額500億円を突破しています。

衣食住のすべてにおいて、モノやサービスに対する価値が変化していると児玉氏は話します。これまで企業が当然のように行ってきたビジネスに対して、エシカル(法律などの縛りがなくてもみんなが正しい、公平と思っていること)でないものは買わないという動きが起きており、企業側がその対応に追われていることを解説しました。消費者行動の変化に対応するために、企業がイノベーションを起こす方法は3つあると児玉氏は言います。
次に、サブスクリプションビジネスを成功させるポイントはLTV(顧客生涯価値)の最大化であり、継続率を高めるような活動を行うことだと児玉氏は話します。
実際にラクサスで行っている、2回目(2カ月目)を使ってもらうための施策を交えながら、継続率を向上させる工夫を紹介しました。
シェアの考え方やサービスは
どのくらい広がっているか
− パネルディスカッション
シェアに不可欠な「信頼」と「思いやり」が
世界を進化させていく


テーマ:「シェアの考え方やサービスはどのくらい広がっているか」

モノの売買や貸し借りは比較的広がっている一方、暮らしのシェアなどライフスタイルを変えるようなサービスの伸びはゆるやかであると石山氏は言います。今後は、私たちの暮らしを変えるようなシェアリングサービスとグローバルなプラットフォームをどう融合させ、サービスを広げていくかが課題であると、石山氏は語りました。

児玉氏はシェアビジネスをファッションの一つとしてカッコいいと考えている人が多く、社会全体の「シェアをする」考え方は徐々に浸透してきていると言います。さらに広げていくためには、経営者が主体となって、ビジネスを普及するためのスピードを上げていくことが重要だと話しました。
テーマ:「生活やビジネスのシーンでシェアはどのように社会を変えていくか」

たとえそれが環境に優しくても使われなくては意味がないと児玉氏は指摘。実際にラクサスのビジネスを行うことで得られた知見を元に、メーカーに対してこういうバッグを作るべきだというフィードバッグを行っていると語りました。

シェアリングエコノミーのポイントとなるのはレビューや評価のシステムです。いかに企業が広告費をかけても口コミにはかなわず、既存のビジネスのあり方をユーザー自身の評価が変えていくと石山氏は話します。さらに地方に浸透させる上で、自治体と民間が協力し、シェアサービスを提供できる人々とシェアサービスを利用する人々の両方を育成していく重要性を強調しました。

さらに、シェアと所有が対立するかという問題に対して、まずは、シェアサービスを通じてその製品やサービスとのタッチポイントが増えることで、その後、購入につながります。そのため、必ずしも対立せず、協業する部分もあるのではないかと石山氏は考えます。児玉氏もラクサスの利用者全体の40%以上がブティックに行き、3%が実際にバッグを購入しているというデータを挙げ、シェアサービスはメーカーのシェアを奪うより、むしろ広げていると話しました。
当社のイベント事務局では、本レポートで紹介したセミナーの他にも、デジタルトランスフォーメーションや働き方改革をテーマとした勉強会も開催しています。

ぜひ、皆さまのご参加をお待ちしております。
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