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営業資料の作り方は?作成前の準備や効果的な資料の構成、ポイントを解説
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営業資料は、営業活動の成果を左右する重要な要素です。資料のクオリティーが営業成績に直結することもあるため、丁寧かつ戦略的に作成することが求められます。
本記事では、営業資料の重要性や作成方法、作成前の準備、効果的な営業資料の構成、作成時のポイントについて解説します。
営業資料の重要性

営業資料は、営業活動の効果を高めるために欠かせないものです。ここでは、営業資料の重要性について、次の3つの観点から解説します。
- オンライン営業の効果を高められる
- 属人性の解消が期待できる
- 決裁者に対しても営業できる
オンライン営業の効果を高められる
従来の営業活動は営業先へ出向いて対面で実施することが一般的でしたが、近年ではコロナ禍の影響もあり、オンライン営業が定着しつつあります。
オンライン営業とは、Web会議システムやチャットツールを利用してインターネット上で行う、非対面型の営業手法です。
画面を通して有効な営業を行う際には、営業資料が特に重要なツールとなります。営業資料を活用することで、グラフや図を用いて商品やサービスの情報をわかりやすく伝えましょう。資料を画面上で提示することで、相手にじっくりと見てもらえるため、理解を深めてもらうことや情報の確認を促すことも可能です。
属人化の解消が期待できる
営業資料の活用により、属人性を解消し、営業力の均一化を図ることにもつながります。
営業活動における属人化とは、商談時の進め方や商品の提案方法などが個々の営業担当者によって異なることです。属人化が起こると、顧客対応の一貫性の欠如や、成果のばらつきが生じやすくなります。
営業資料が整備されていれば、担当者ごとのスキルの違いによる問題を回避できます。統一された情報に基づき営業活動を行うことで、チーム全体の営業スキルが標準化され、営業担当者ごとの成果の偏りを解消することが期待できるでしょう。
決裁者に対しても営業できる
営業資料が整備されていない場合や構成が不十分な場合、取引先の社内での稟議において、提案内容がうまく伝わらない可能性があります。
営業資料を活用することで、提案内容が決裁者まで正確に伝わりやすくなります。これは、商談の担当者が決裁者に報告する際にも営業資料を活用し、資料が営業活動の一環として機能するためです。
資料を見るだけで商品やサービスの情報が伝わるような内容であれば、商談を成功させる強力なツールとなるでしょう。情報をわかりやすく簡潔に伝えるため、資料作成の際は工夫が求められます。
営業資料を作成する前の準備
営業資料は、事前に次の準備を行うことでスムーズに作成できます。
- 対象となる顧客をイメージする
- どのフェーズで使用する資料なのか考える
- 使用される状況を想定する
- 資料活用後の顧客の変化をイメージする
一つずつ解説します。
対象となる顧客をイメージする
営業資料を作成する際には、対象となる顧客像を明確にイメージすることが重要です。ターゲットを明確にすることで、顧客のニーズや関心に合わせて営業資料を作成しやすくなります。
例えば、大企業向けのITソリューションを提案する場合、同規模の企業での導入事例や費用対効果、解決できるビジネス課題などを資料に盛り込むことが効果的です。顧客のニーズに沿った資料を作成することで、成約率の向上が見込めます。
どのフェーズで使用する資料なのか考える
営業資料作成の準備では、顧客が商品やサービスの購入に向けての購買プロセスの中で、どのフェーズにいるのかを考慮する必要があります。
顧客の購買プロセスを検討する際には、マーケティングフレームワークの「AIDMA(アイドマ)」が役立つでしょう。AIDMAの詳細は、以下の通りです。
- Attention(注意):パンフレットなどのわかりやすい資料
- Interest(関心):一目見ただけで興味を持ってもらえる資料
- Desire(欲求):具体的なメリットに焦点を当てた資料や提案書
- Memory(記憶):事例紹介など、具体的なイメージが持てる顧客向けの提案書
- Action(行動):購入や契約など、具体的な行動を促す資料
顧客の現在の状況を把握し、それに応じた営業戦略を策定したうえで、資料を作成しましょう。
使用される状況を想定する
作成した資料が、どのような状況で使用されるのかを考慮することも重要です。資料が使用される状況として、プロジェクターでの表示やオンラインで共有する場合、また印刷して配布するケースも想定されます。
資料の使用状況に応じて、文字の大きさや色、レイアウトなどの書式を調整し、適切な内容を盛り込む必要があります。
例えば、プロジェクターで表示する場合は、わかりやすい図やグラフを多用し、視覚的な情報を重視すると良いでしょう。
一方、印刷して配布し、取引先の社内稟議でも使用してもらう場合には、詳細な説明を含む文章を作成する必要があります。
資料活用後の顧客の変化をイメージする
営業資料の活用によって、顧客にどのように変化してほしいのかを明確にイメージすることも大切です。顧客に期待する変化を明確にすることで、アピールすべきポイントが把握しやすくなり、効果的な資料作成につながります。
その際、アピールすべきポイントに優先順位をつけておくことで、伝えたいメッセージがより明確になります。
効果的な営業資料の構成

効果的な営業資料の構成は、次の通りです。
- 表紙
- 商品やサービスの概要
- 部署や担当者の課題
- 商品やサービスの特徴と強みについて紹介
- 他社との比較
- 導入後の効果
- 導入事例の紹介
- 料金プランと費用対効果の説明
- ご利用までの流れ
- FAQ
- 会社概要やメディア掲載歴・執筆歴の紹介
- 問い合わせ先
それぞれの項目で記載する具体的な内容を解説します。
1.表紙
表紙は顧客が最初に目にする部分であるため、わかりやすいタイトルをつけ、自社のほかの製品とイメージを合わせたデザインにすることがポイントです。
社名やロゴを入れることも忘れずに行い、シンプルなデザインを心がけ、興味を引くデザインにしましょう。
2.商品やサービスの概要
営業資料の冒頭では、商品やサービスの概要を簡潔に説明し、商品やサービスを導入するメリットを強調しましょう。
このとき、商品やサービスの情報を羅列するだけでは、顧客が価値を理解しにくく、興味をひくことができません。代わりに、利用実績やグラフ、商品やサービスの画像を活用し、具体的な利用シーンやメリットをイメージできる内容にすると良いでしょう。
3.署や担当者の課題
営業資料内で企業全体の課題を提示する際には、各部署と担当者ごとの課題を明確に区別する必要があります。営業資料は、商談相手の担当者だけでなく、決裁者も確認し、社内稟議の材料となる重要な情報です。
資料に記載される課題が担当者固有の内容であった場合、決裁者への訴求が不十分になる恐れがあります。そのため、まずは部署や業界全体に関する課題をリストアップし、次に、担当者ごとの想定される課題を明示しましょう。
課題を抽出する際には、重要度が高いと予測される課題から順にし、課題が発生しうるシチュエーションやストーリーを具体的にイメージできるよう、説明文も盛り込むことがポイントです。
4.商品やサービスの特徴と強みについて紹介
次に、明示した課題に対処するために、自社の商品やサービスがどのように役立つのかについて、特徴や強みを紹介します。
内容は、図表などを用いて端的かつ具体的に示す必要があります。見出しは簡潔にし、一目で内容が把握できるよう工夫しましょう。
5.他社との比較
自社と他社との比較ページは、自社の強みを伝えるうえで重要です。比較する項目は、ターゲット層の見込み顧客がよく質問する内容を中心に取り上げましょう。グラフや図を使用し、自社の優位性をわかりやすく示すことがポイントです。
また、他社との比較では、他社の欠点を取り上げて貶めるのではなく、自社の強みを強調することに焦点を当てましょう。他社を貶める表現は、自社の信頼性を損なうリスクがあるため避ける必要があります。
6.導入後の効果
導入後の効果として、「商品のサービスの特徴と強み」で述べたポイントを、具体的に説明します。導入後の効果を記載するうえでのポイントは、次の通りです。
- 利益の上昇率をグラフで可視化する
- コスト削減の効果を金額で具体的に提示する
- 問題点とその解決の実績の事例を複数紹介する
- 導入後の効果を、詳細説明欄で具体的かつ詳しく解説する
7.導入事例の紹介
導入事例の紹介では、導入後の効果とともに詳しい内容を記載します。このとき、異なる企業規模や業種の事例を掲載することがポイントです。さまざまな企業規模の事例を紹介することで、より具体的にイメージしてもらいやすくなり、サービスや商品の柔軟性も伝えられます。
いくつかの事例を選び、導入前の課題から導入後の効果まで、具体的に説明しましょう。また、事例がメディアに掲載されている場合は、リンクも併記しておくことで、信憑性を高めると同時に、追加情報へのアクセスを促すことができます。
8.料金プランと費用対効果の説明
料金プランを示す際のポイントは、次の通りです。
- 各プランのサービス内容を明確に示し、利点をわかりやすく伝える
- 「〇〇〇でお悩みの方におすすめ」「企業規模〇〇〇向け」など、ターゲットを具体的に設定する
- 金額を明示できない場合は、金額例を提示する
- オプション内容も明確に示す
このとき、導入コストに対する収益や費用対効果などの実例やシミュレーションもあげることで、顧客がイメージしやすくなります。
さらに、複数のプランがある場合は、中間のプランを「おすすめプラン」とし、金額差による抵抗を軽減することで、成約につながる可能性が高まります。
9.ご利用までの流れ
このセクションでは、問い合わせからサービスの利用を開始するまでの手順を説明します。
商談後、見込み顧客がページを見るだけで次に取るべき行動がわかるよう、各プロセスでのアクションを示し、契約までの流れをわかりやすくしておきましょう。必要な工程や発生する費用などの詳細を記載することで、顧客は具体的な問い合わせの手順を想像しやすくなります。
また、商品・サービスの利用に登録が必要な場合は、登録完了までに要する時間の目安や、トライアル期間についても明記しましょう。
10.FAQ(よくある質問)
商談時によく寄せられる疑問をまとめたFAQページを設けることで、顧客の疑問を事前に解消でき、商談の効率や円滑な進行に役立ちます。
ただし、あくまでも商談時に聞かれる内容に限定し、ホームページやランディングページ(LP)に掲載しているような問い合わせ前のFAQとは区別したほうが良いでしょう。
また、否定的な言葉遣いやネガティブな印象を与える表現は避けることが望ましいです。商談時の質問は変化する可能性があるため、FAQページは定期的に更新し、常に最新の情報を提供するよう心がけましょう。
11.会社概要やメディア掲載歴・執筆歴の紹介
会社概要やメディア掲載歴・執筆歴の紹介パートでは、自社の概要を詳しく紹介します。資本金や従業員数、創設年などの情報は、相手からの信頼を得るために重要です。
会社の最新の実績や、イメージアップにつながるような社内の雰囲気なども掲載し、相手に興味を持ってもらえるような表現やデザインをめざしましょう。
また、メディア掲載歴や執筆歴、イベントの登壇歴がある場合には、掲載することでブランド力や認知度、専門性の高さのアピールポイントとなります。複数の実績がある場合はターゲットに関連するものを重点的に紹介しましょう。
会社概要や実績の情報は、常に最新の内容に更新しておく必要があります。
12.問い合わせ先
営業資料の最後には、問い合わせ先としてメールアドレス・電話番号・FAX番号などの情報を掲載します。これらの情報を明記しておくことで、顧客が興味を持った際に簡単に連絡を取ることができます。
問い合わせ先は、迅速に対応できるカスタマーサービスや営業担当窓口の連絡先を記載すると良いでしょう。
効果的な営業資料を作成するためのポイント
効果的な営業資料を作成するためには、次のポイントを押さえて実施しましょう。
- 簡潔でわかりやすい資料にする
- 相手の疑問や不安を解決できる資料にする
- 数字を用いて具体的に説明する
- サービスや商品に対する想いを盛り込む
それぞれのポイントを詳しく解説します。
簡潔でわかりやすい資料にする
営業資料は、簡潔でわかりやすくまとめることが重要です。一目で理解できるような資料にすることで、顧客は疲れることなく情報を把握できます。
また、口頭での説明だけでは情報が整理できず、理解が難しい場合もあります。グラフや図を活用し、視覚的に情報を伝えることも大切です。
相手の疑問や不安を解決できる資料にする
商品やサービスを導入するメリットが大きい場合でも、疑問や不安が残ったままでは成約には結びつきません。資料を作成する際には、顧客がどのような疑問や不安を抱くのか予測し、それらを解消できる要素を資料内に含める必要があります。
また、資料による提案を行った段階で決裁者がリスクを感じた場合、社内稟議が通らない可能性も考慮しておかなければなりません。担当者の疑問や不安だけでなく、決裁者の疑問や不安も予測し、資料に反映させることが求められます。
そのためには、対象とした顧客をイメージすることや、使用される状況を想定するといったアプローチが不可欠です。
数字を用いて具体的に説明する
数字を使って具体的に説明することで、説得力や信頼性を高め、相手の印象に残りやすくなります。
仮に、数字を示さず抽象的な説明ばかりを行うと、導入後の効果について認識の違いが発生する恐れがあります。数字を用いることで、導入後の効果やメリットがより明確になり、顧客にとって具体的なイメージが湧きやすくなります。
サービスや商品に対する想いを盛り込む
営業資料では、商品やサービスに込められた企業や開発者の想いを伝えることも大切です。顧客がその想いに共感することで、商品やサービスを購入してもらいやすくなるためです。類似するサービスが競合する中で、ブランドストーリーが顧客の選択に影響を与えることもあります。
AIDMAを基に設定したターゲットの興味や関心に焦点を当て、アプローチ方法を検討することで、商品の背景にあるストーリーを伝えるための最適な方法が見えてきます。顧客がそのストーリーに共感し、商品やサービスに興味を持ってもらえるような情報やコンテンツを提供することで、購買意欲を高めることができます。
まとめ
営業の効果を高め、営業力を組織全体で強化していくためには営業資料が欠かせません。適切な営業資料を作成することで、オンライン営業の効果を高めることや属人化の解消、決裁者に対しての効果的な営業が可能になります。
効果的な営業資料を作成するためには、ターゲットのニーズを理解することが重要です。
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ライター
営業DX Handbook 編集部