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名寄せとは?必要な理由、やり方をわかりやすく解説

名寄せとは?必要な理由、やり方をわかりやすく解説

企業内では、複数の部門が顧客に関わる結果、一顧客について一部の情報が重複したり、部門ごとに管理されているケースが少なくありません。このような情報を整理し、管理しやすくする作業が名寄せです。

本記事では、名寄せの意味や必要とされる理由、メリットのほか、やり方や運用方法、注意点を解説します。自社における顧客情報の管理状況を改善し、効率的に利用したい方はぜひ参考にしてください。

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名寄せとは?

名寄せとは、複数のデータベースに登録されている顧客情報から、重複する部分を洗い出し、一つに統合する作業を意味します。従来は、金融機関が破綻した際に、同一預金者が所有する複数の口座を把握し、残高を合算して払い戻すために行われていました。

しかし、金融機関に関わらず、行政においても同一人に対する情報が複数存在する結果、データを正しく判別できず適切な対応ができない事例もありました。例えば、職歴が複数にまたがることで国民年金・厚生年金の支払人が複数いると記録され、社会保険庁が適正な老齢年金を支給できないケースがありました。

IT業界における名寄せは、複数に分散したデータベースの同一企業や人物に対し、同一IDを付与する意味で使います。具体的には、氏名・ふりがな・生年月日・性別・住所・自宅/携帯の電話番号・E-mailアドレスなどを用いて顧客情報が一致するかを確認し、同定できればデータを統合します。

名寄せが必要な理由・メリット

名寄せが必要な理由と、名寄せを実施するメリットは次の通りです

  • 正確な顧客情報によるミスの防止
  • 効果的な営業・マーケティング活動の展開

正確な顧客情報によるミスの防止

企業の営業活動においては、効率的かつ正しい顧客アプローチのために正確な顧客情報を把握し、ミスを防止する必要があります。

例えば、営業では、DMやテレアポでのアプローチが一般的ですが、名前や住所の表記ゆれがある結果、顧客を同一と判断できず、何度もDMを送ったり重複してテレアポを架電したりするケースは少なくありません。これらは顧客にとって迷惑になるだけでなく、自社への信用が揺らぐリスクにもつながります。

一方で、名寄せで情報を集約できれば、これらのミスを予防でき、顧客の状態に応じた適切なアプローチを実施できるようになります。

効果的な営業・マーケティング活動の展開

名寄せによって営業やマーケティング活動を効果的に展開できる点もメリットです。情報を整理できれば、顧客に効果的なアプローチを実施でき、正確なデータ分析や受注までの流れを効率化できます。その結果、顧客満足度を向上させ良好な関係を構築でき、売り上げ向上も期待できます。さらに、コスト削減などのメリットも得られるでしょう。

また、SFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)などのツールを導入している場合は、名寄せを実施することでより効果的にツールを活用できます。最適な施策を考えるためにも名寄せを実施すると良いでしょう。

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名寄せのやり方

名寄せのやり方は、次の通りです。

  1. データ調査
  2. データ抽出
  3. データクレンジング
  4. データマッチング

各工程で必要な手順を理解しておくと、作業をスムーズに進められるでしょう。

データ調査

まずは、社内のどこにどのような属性のデータがあるのかを調査します。顧客情報はどこまでそろっているのか、現状の入力状況を確認しましょう。調査の結果を踏まえ、どのようなデータにまとめると営業やマーケティング活動に活用できるのかを決定します。

事前に名寄せを実施する目的を明確にし、社内における進め方をよく検討しておきましょう。

データ抽出

続いて、データ調査で決定した進め方に従い、データベースから顧客の特定に必要な情報を洗い出します。

複数のシステムにまたがるデータを統合するためには、同じ属性にそろえる必要があります。データベースによって取引名や顧客名などの入力形式や項目名に違いがある場合は、事前に形式をそろえましょう。

例えば、次のようなケースにおいて違いが生じやすいので注意が必要です。

  • 入力形式の違い

氏名、名

住所、都道府県・市区町村・番地・建物名

  • 項目名の違い

企業名、社名、会社名

氏名、名前、姓名

データクレンジング

データクレンジングでは、データごとの表記ゆれや不整合を見つけて修正・削除をします。データクレンジングを実施すべき理由は、同じデータの表記の違いに気が付かないと重複してしまい、リストの精度が落ちてしまうからです。

データクレンジングのプロセスでは、項目ごとに表記ルールを統一させて、誤りのあるデータがあれば正しい表記に修正します。

また、同一の情報に対して新旧のデータが存在することもトラブルの要因になります。常に最新の状態に保てるよう、情報に変更があれば更新できる仕組みを整えましょう

データマッチング

データマッチングでは、データクレンジングによって表記が統一されたデータから同一となる情報を割り出し、それらを統合します。

複数の項目に対して「キー」を設定し、同一データであるか否かを判定し、マッチングを実施します。例えば、企業名や住所、電話番号の3項目をキーに設定する場合、ほかの情報に相違があっても同一企業であるとみなされます。

データマッチングによって重複データを見つけ出すには、キーとなる項目を複数組み合わせてマッチングするかを確認しましょう。


ただし、企業名は合併による社名変更や略称、後株、前株などのゆれにともない、異なる情報が登録されているケースがあるため注意が必要です。マッチング精度を高めるには、名寄せツールを用いるのも効果的です

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名寄せの運用方法

名寄せは、エクセルやスプレッドシートのほか、ツールによっても実施できます。ここでは各方法の運用方法を解説します。

エクセル・スプレッドシートによる管理

取り組みやすいのが、エクセル・スプレッドシートを活用した管理方法です。スモールスタートで名寄せをしたい場合に最適な手段といえるでしょう。

エクセルを日常業務で導入している場合はもちろん、エクセルがない場合でもスプレッドシートは無料利用できるため、コストを抑えることが可能です。表記ゆれの整理や入力ミス、重複の削除のほか、企業アドレスかフリーアドレスなのかといった判別や条件ごとのデータ抽出も容易に行えます。

社内にデータアナリストなどの専門家がいない場合や、顧客データが少なく無料で名寄せを試したい場合に最適な運用方法です。ただし、精度が低い、手作業が必要、作業者のエクセルのスキルによってクオリティが左右されるといったデメリットがあります。操作ミスによりファイルの破損・紛失などが発生するリスクもあり、取り扱いには注意が必要です。

ツールによる管理

精度の高い名寄せを実施したい場合には、ツールによる運用が最適です。例えば、エクセルやスプレッドシートでデータを管理する場合は、関数を使ったり手作業ではミスを誘発したりと負担やリスクは少なくありません。さらに、扱うデータ量が多いケースでは、データクレンジングに膨大な時間と手間がかかってしまいます。


名寄せツールを活用すれば、社内にデータアナリストなどの専門家がいない場合であっても精度の高いデータ運用が可能です。作業時間を削減できるだけでなく、カスタマーサポートを利用すればデータ管理に明るくない担当者でも名寄せを容易に行えるでしょう。

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名寄せの注意点

名寄せを実施する際は、次の3点に留意が必要です。

  • 個人情報の取り扱いには細心の注意を払う
  • クレンジングを徹底する
  • 名寄せ不要な環境を作る

情報入力者に周知して、データ管理を徹底しましょう。

個人情報の取り扱いには細心の注意を払う

名寄せを実施する際は、個人情報の取り扱いに細心の注意を払わなければなりません。名寄せに失敗し、統合すべき情報が統合されなかった場合には、個人情報の漏えいなど大きなトラブルに発展するリスクがあるからです。例えば、同姓同名の顧客が複数いる場合に、関係のない顧客に別の顧客宛てのDMを送るミスが考えられます。

情報の入力時だけでなく、データクレンジングやマッチングの各段階において誤りがないことを確認するように注意しましょう。

クレンジングを徹底する

データクレンジングを徹底することも大切です。このプロセスが不正確では、最終工程となるデータマッチングがうまくいかず、結果として名寄せの効果が十分に得られないからです。

例えば、表記が不統一であったり、誤字・脱字が発生したりすると、マッチングは困難となりデータは重複したままになるでしょう。このようなトラブルを回避するためにも、事前に起こりうるミスをシミュレーションし、誤字・脱字がないか確認しておくことが重要です。

名寄せ不要な環境を作る

そもそも、名寄せが不要な環境を作ることができれば、作業の手間やコストを削減できます。リスト作成時に、データ重複や表記の不統一が起きないような環境整備が重要です。そのためには、表記統一マニュアルを作成して社内で共有しましょう。


また、同じ企業名であっても実態が異なる場合や組織改編によって企業名が変更されるケースは少なくありません。国税庁が指定する法人番号を紐づけて管理するとミスの予防に役立てられるでしょう。

まとめ

日々の企業活動において重複しやすい顧客情報は名寄せによって整理することで正確な情報を把握でき、効果的な営業、マーケティング活動に役立てられます。

名寄せはエクセルやスプレッドシートでも可能ですが、より精度の高いデータ運用を実施するのであれば、名寄せツールの活用がおすすめです。

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営業DX Handbook 編集部

ライター

営業DX Handbook 編集部

Sansanが運営する「営業DX Handbook」の編集部です。DX推進や営業戦略、マーケティングノウハウなど、営業・マーケティング課題の解決に導く情報をお届けします。