組織図とは？種類・作り方・無料ツールまでわかりやすく解説

組織図とは

組織図とは、社内の役職や部署、指揮命令の関係をひと目でわかるように図式化したものです。これにより、組織全体のイメージがつかみやすくなり、業務の整理や意思決定もスムーズになります。

また、会社の成長に合わせた組織づくりや、外部への情報発信においても企業の設計図としての役割を果たします。

組織図に含まれる要素は、以下の通りです。

このように、組織図は単なる図ではなく、会社の成長と運営を支える骨組みとして活用できるのです。

組織図を作成するメリットとは

組織図を作ることで、社内の役割や責任が明確になり、情報の流れや業務の効率化につながります。具体的なメリットは以下の通りです。

社内での役割分担と報告経路が明確になる

組織図の最大のメリットは、社内の混乱を解消し、業務効率を大幅に向上させる点にあります。誰が誰に報告・指示を行うのかが明確になることで、組織全体のパフォーマンスが安定しやすくなるためです。

また、業務の抜け漏れや重複を防げるようになり、各メンバーは自身の立ち位置と責任範囲を正確に把握できるようになります。結果として、各メンバーが迷いなく行動できる体制を整えることができます。

具体的な改善例は以下の通りです。

マネジメント・人事評価・採用に生かせる

組織図は、人事戦略の基盤としても活用できます。評価制度や人材配置を可視化することで、適切な人材育成や公正な評価が可能になります。また、職務範囲を明示することで、育成・採用の指針としても有効です。

具体的な活用方法は以下の通りです。

外部向け資料（会社案内・IR・HP）でも信頼性が増す

組織図は、対外的な信頼性を高めるためにも活用できます。取引先や採用候補者、投資家などに対し、会社の組織体制を明示することで、透明性と信頼感を与えられます。

特に以下のような場面で効果を発揮します。

【企業規模別】組織図の種類

企業の成長段階によって、最適な組織図の形式は異なります。スタートアップから大企業まで、それぞれに合った構成の考え方や活用のポイントを押さえておくことが重要です。以下では、企業規模別の組織図の種類を紹介します。

小規模・スタートアップ向け：シンプルで柔軟なフラット型

スタートアップや従業員10名以下の小規模企業には、「フラット型組織図」が適しています。この形式は、上下関係を最小限におさえ、代表者とメンバーが直接やり取りできるシンプルな構造が特徴です。

ポジションの兼任が多くなる環境でも、担当業務を明記しておけば、視覚的に混乱を防ぐことができます。また、意思決定のスピードを維持しやすいのもフラット型の利点です。

将来的に部門が増加しても、フラットな構成を土台として拡張すれば、段階的な成長に柔軟に対応できます。

中小企業向け：部門構成と報告系統を整理する階層型

従業員が数十人規模に増えてくる中小企業では、「階層型組織図」が一般的です。社長をトップとし、部長や課長といった中間管理職を配置することで、指揮命令系統が明確になります。

営業、開発、総務などの部門ごとに役割を整理し、どの部門がどの管理職に報告するかを図で示すことで、業務の抜け漏れや指示の混乱を防ぐことができます。

特に組織が急成長している段階では、柔軟に階層を見直すことが重要です。組織図を定期的に更新し、人材配置や評価制度と連動させることで、さらなる効果が期待できます。

大企業向け：事業部制・マトリックス型など高度な構成

大企業や多国籍企業では、従来の階層型だけで対応しきれない、より複雑な組織構成が求められます。たとえば、地域別・事業別に構成された「事業部制組織図」や、機能別とプロジェクト別を掛け合わせた「マトリックス型組織図」などが代表的です。

これにより、各部門の専門性を保ちながらも、全社的な連携やプロジェクト推進が可能になります。グループ会社や海外拠点を含めた全体像を可視化する際にも有効です。ただし構成が複雑になる分、定期的な見直しと、更新しやすいテンプレートの設計が不可欠です。

組織図の作り方４ステップ

実際に組織図を作成するには、情報整理から図式化までの工程を順序立てて進めることが大切です。誰にとっても見やすく、使いやすい組織図にするための4ステップを以下で解説します。

STEP１．部署・役職・メンバー情報を整理する

組織図作成の第一歩は、現在の組織状況を正確に把握することです。情報の整理なしに効果的な組織図は作成できません。

現在の部署や担当者、役職名などの情報を一覧化し、必要な項目を整理しておくことで土台が整います。この段階では、漏れや重複がないよう細心の注意を払って情報収集を行いましょう。具体的には、以下のような情報を整理します。

この情報整理が組織図の品質を左右する重要な基盤作業となります。

STEP２．指揮命令系統とレポートラインを明確にする

組織図の中心となるのは、指揮命令系統を明確にすることです。誰が誰に指示・報告するのかが曖昧では、組織図本来の目的を果たせません。

業務フローや責任関係を図式化できるように、縦の関係と横の連携を整理します。また、マトリックス組織や兼務がある場合は、複数の報告関係も明確にする必要があります。

具体的には、以下のような関係性を整理します。

この段階で組織の骨格となる構造を確実に把握することが重要です。

STEP３．組織図の構成タイプを決める（縦型・横型など）

組織図の表現方法は、自社の特性に合わせて選択することが成功の鍵です。目的や用途に応じて最適な構成形式が異なります。

自社の目的に合った構成形式を選び、見やすさと機能性を両立する工夫が必要です。社内向けか社外向けか、詳細な管理が目的か全体像の共有が目的かなど、用途を踏まえて最適な形式を選びましょう。

具体的には、以下のような構成タイプがあります。

STEP４．見やすく、わかりやすく図式化する

組織図の完成度は、視覚的なわかりやすさによって左右されます。正確な情報でも、見づらかったりわかりにくかったりすると十分な機能を果たせません。

配色や線、フォントなどを統一し、視認性を高めることが重要です。また、利用シーン（社内・社外）に応じたデザインに仕上げることで、より効果的な伝達が可能になります。

具体的には、以下のような工夫が効果的です。

また、最終的なデザインの仕上げが、組織図の価値を大きく左右します。
なお、組織図の作成には以下のようなツールの活用が便利です。

組織図を作成・変更する際の注意点

組織図は一度作って終わりではなく、運用や更新を前提とした設計が求められます。作成時には活用目的や今後の変更にも柔軟に対応できる工夫が必要です。以下に注意すべきポイントをまとめました。

利用目的を明確に定義する

  組織図は「誰のために」「どのような目的で」使うのかを明確にしておくことが大切です。

たとえば、社内共有用であれば詳細な役職やチーム構成まで含めたものが望ましい一方、採用活動や社外向け資料として使用する場合は、簡潔で視認性に優れた構成が求められます。

また、経営フェーズ（創業期・成長期・安定期）によっても最適な形式は異なるため、目的と利用シーンを最初に定義しておきましょう。

組織変更に対応できるレイアウトにする

特に中小企業やスタートアップでは、部門新設や人員配置の変更が定期的に発生することも少なくありません。そのため、あらかじめ組織図のフォーマットに「変化に対応できる余白」を持たせておくことが重要です。

たとえば、部署ブロックにスペースを確保しておいたり、役職の増減を想定したレイアウトにしておくことで、都度の作り直しを避けることができます。

まとめ

組織図は、会社の現状把握から成長戦略、対外的な信頼構築にまで役立つ重要な経営ツールです。単なる図表ではなく、組織の効率化から対外的な信頼性向上まで、幅広い効果をもたらします。

自社の目的や規模に応じて最適な構成を選び、適切なツールで効率よく作成することが成功の鍵です。スタートアップには柔軟なフラット型、中小企業には明確な階層型、大企業には事業部制やマトリックス型など、組織の成長段階に合わせた選択が重要になります。

また、作って終わりにせず、運用・更新を前提とした「生きた組織図」にすることが大切です。組織の変化に合わせて定期的に見直し、常に現状を反映した実用的なツールとして活用していきましょう。

Sansanなら、名刺情報から「組織ツリー」を自動生成できます。相手先企業の関係性が組織図のように一目で分かるため、キーパーソンの把握やアプローチ先の検討など、営業戦略の立案・実行を加速させることができます。