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リテール営業とは?業界別の特徴と仕事内容を徹底解説
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リテール営業とは、個人の顧客を対象とした営業活動です。「具体的にはどんな仕事なのか」また、「業界によって営業スタイルに違いはあるのか」といった疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、リテール営業の基本的な定義から、業界別の特徴、必要なスキル、そしてキャリアパスまで、徹底的に解説します。リテール営業について理解を深めたい方はぜひご一読ください。
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リテール営業とは

リテール営業とは、企業が個人顧客(一般消費者)に対して商品やサービスを提供する営業活動です。
「リテール」は小売りを意味する言葉で、比較的小規模な取引を数多く成立させることを目的としています。企業と消費者を直接結び、顧客の生活や価値観に密接に関わる営業スタイルといえるでしょう。
リテール営業の対象は一般の個人であるため、顧客ごとに生活背景や価値観、ニーズが異なります。そのため、顧客一人ひとりの状況を理解し、適切な提案を行うことが求められます。
また、商品やサービスを分かりやすく説明し、顧客の信頼を得ることも重要です。
業界ごとに取り扱う商材や営業手法は異なりますが、「顧客との関係構築を基盤とした継続的な取引を目指す」点はリテール営業全体に共通しています。
リテール営業と法人営業の違い

リテール営業と法人営業は、営業活動の基本的な枠組みは同じですが、さまざまな面で異なります。
比較項目 | リテール営業 | 法人営業 |
---|---|---|
顧客層 | 個人消費者 | 企業・団体 |
取引規模 | 小〜中規模が中心 | 中〜大規模が中心 |
購買決定者 | 個人または家族 | 複数の意思決定者・部門 |
商談サイクル | 短期(数日〜数週間) | 長期(数カ月〜数年) |
商品・サービス | 個人の生活に関わるもの | 企業活動に関わるもの |
営業時間 | 平日夜間・休日を含む | 基本的に平日業務時間内 |
価格交渉 | 限定的(定価販売が中心) | 大幅な交渉の余地あり |
契約プロセス | 比較的シンプル | 複雑(法務確認など) |
リテール営業は個人の生活や価値観に関わる営業活動であり、顧客との対面コミュニケーションを重視する特徴があります。また、法人営業に比べて決断までの時間が短いため、限られた時間内で顧客の信頼を獲得し、商品価値を伝える能力が求められます。
リテール営業の特徴

リテール営業の3つの主な特徴について詳しく見ていきましょう。
1.顧客と直接の関係構築
リテール営業では、営業担当者と顧客が直接対面してコミュニケーションを図ることが基本です。この直接的な関係構築がリテール営業の最も重要な特徴の一つといえるでしょう。
リテール営業の要は「顔の見える信頼関係」です。顧客との直接対話を通じて、商品の価値だけでなく、営業担当者自身の人間性や専門性が評価されます。
法人営業では、担当者が窓口となり、実際の利用者や決裁者と直接話す機会が限られることがあります。一方、リテール営業では商品・サービスの購入を決定する本人と直接対話できるため、顧客の表情や反応をじかに読み取りながら、提案内容を調整できます。また、継続的な関係を築くことで、顧客のライフイベントに合わせた提案も行いやすくなります。
2.短期的な商談サイクル
リテール営業の商談サイクルは、法人営業と比較して非常に短いのが特徴です。具体的には、初回接触から成約までが数日〜数週間程度で完結するケースが多く、特に店舗型のリテール営業では、その場で商品説明から購入決定までが完了することも珍しくありません。
商談フェーズ | 特徴 | 一般的な期間 |
---|---|---|
初回接触〜ニーズ把握 | その場で直接ヒアリング | 即日〜1週間 |
提案〜検討 | シンプルな提案書、即時回答 | 数日〜2週間 |
決定〜契約 | 少数の意思決定者、標準契約 | 即日〜1週間 |
全体サイクル | 短期集中型の意思決定プロセス | 平均2週間〜1カ月 |
この短期的な商談サイクルが生まれる理由としては、以下の点が挙げられます。
- 意思決定者が少ない(個人または家族内での決定)
- 契約内容が標準化されており、カスタマイズの余地が少ない
- 比較的少額の取引が多く、慎重な検討を要しない
- 即時的な課題解決や欲求満足を求めるケースが多い
このような短期商談に対応するためには、限られた時間内で顧客のニーズを正確に把握し、適切な提案を行う能力が求められます。また、顧客の購買意欲が高まっているタイミングを見極め、適切なクロージングを行うスキルも重要です。
3.個人の生活に密着したサービス提供
リテール営業の大きな特徴は、提供する商品やサービスが個人の生活に密接に関わる点です。住宅、金融商品、保険、ファッション、家電など、顧客のライフスタイルや生活の質に深く関わる商材を扱うことが多いです。
リテール営業は、顧客の「暮らし」や「人生」に直接関わる仕事です。単なる商品販売ではなく、顧客の幸せや安心を支えるパートナーとしての役割を担っています。
このような生活密着型の商品・サービスを提供するリテール営業は、単なる商品説明にとどまらず、顧客の生活設計や人生の重要な決断をサポートする役割も担っています。例えば、以下のようなサービス例が挙げられます。
- 住宅ローンを通じた「マイホーム取得」のサポート
- 生命保険を通じた「家族の安心」の提供
- 投資商品を通じた「将来の資産形成」の支援
- アパレル商品を通じた「自己表現力や社会的印象」の向上
このようにtoC(企業対個人消費者)の営業では、顧客の人生や価値観に寄り添いながら、適切な商品・サービスを提案することが求められます。そのため、顧客のライフステージや価値観を理解する深い洞察力が必要となるでしょう。
業界別のリテール営業の特徴

リテール営業は、業界によって取り扱う商品やサービス、そして営業手法が大きく異なります。ここでは主要な3つの業界におけるリテール営業の特徴を解説します。
金融業界におけるリテール営業
金融業界のリテール営業は、個人顧客の資産形成や保障ニーズに応える重要な役割を担っています。業種ごとに特徴が異なるため、それぞれの特性を見ていきましょう。
1.銀行
銀行のリテール営業は、預金から融資、資産運用まで幅広い金融商品を個人顧客に提案します。
主要業務 | 業務内容 | 顧客メリット |
---|---|---|
個人向け金融商品の提案 | 普通預金、定期預金、投資信託、外貨預金など多様な商品提案 | 資産の適切な配分と運用効率の向上 |
資産運用コンサルティング | ライフプランに基づいた中長期的な資産形成戦略の提案 | 人生設計に沿った計画的な資産形成の実現 |
ローン・住宅ローンの販売 | 住宅購入や教育資金など目的別の資金計画と融資提案 | 大型支出の実現と返済計画の最適化 |
特に近年は超低金利環境を背景に、預金以外の多様な金融商品への関心が高まっており、顧客ニーズに合わせた総合的な提案力が求められています。
2.証券
証券会社のリテール営業は、投資商品を通じた資産形成を主に担当します。
主要業務 | 業務内容 | 顧客メリット |
---|---|---|
投資商品の提案と運用相談 | 株式、債券、投資信託などの商品提案と運用アドバイス | リスク許容度に合わせた資産運用の最適化 |
資産形成プランの提案 | iDeCo、NISAなど税制優遇制度を活用した長期資産形成戦略 | 税金面も考慮した効率的な資産形成の実現 |
市場情報の提供と分析 | 経済・市場動向のレポート提供、投資セミナーの実施 | 投資判断に役立つ質の高い情報の入手 |
顧客の投資経験や知識レベルに応じて、初心者には安定的なインデックス投資を、経験者にはより専門的な個別株や債券など、最適な商品提案を行います。
3.保険(生保・損保)
保険会社のリテール営業は、将来のリスクに備えるための対策を提案する役割を担います。
主要業務 | 業務内容 | 顧客メリット |
---|---|---|
生命保険・損害保険の提案 | 死亡保障、医療保障、自動車保険、火災保険など各種保険の提案 | ライフステージに合わせた総合的なリスク対策 |
リスクマネジメントの提案 | 顧客のリスク分析と最適な保障設計、定期的な見直し | 必要十分な保障の確保とムダのない保険料 |
保険金請求サポート | 事故・疾病発生時の請求手続き支援、給付金の適切な案内 | 万一の際の迅速かつ確実な保険金受け取り |
特に家族構成や収入状況の変化に応じて保障内容を見直す提案や、事故・疾病発生時の迅速な保険金請求サポートは、顧客との信頼関係構築における重要な要素となっています。
不動産業界におけるリテール営業
不動産業界のリテール営業は、マイホーム購入や賃貸住宅の契約をサポートします。顧客の生活の基盤となる住まいに関わる重要な役割を担っています。
業務内容 | 説明 | 必要なスキル・知識 |
---|---|---|
個人向け物件の紹介 | 顧客のニーズに合った住宅・投資物件の提案 | 物件情報の理解、地域特性の把握 |
住宅ローンの相談対応 | 金融機関との連携による資金計画のサポート | 金融商品知識、税制優遇制度の理解 |
物件管理のサポート | 購入後・賃貸後の物件メンテナンス対応 | トラブル対応力、関連法規の知識 |
個人向け物件の紹介では、顧客の予算、希望エリア、間取りなどの要望をヒアリングし、最適な物件を提案します。単なる物件紹介にとどまらず、周辺環境や将来的な資産価値も含めた総合的なアドバイスが求められます。
住宅ローンの相談対応では、物件購入に伴う資金計画を支援します。多くの顧客にとって住宅ローンは初めての経験であるため、金利タイプの違いや返済計画、税制優遇制度などをわかりやすく説明することが重要です。
物件管理のサポートは、契約後も継続的な関係を構築するための重要な業務です。特に賃貸物件では、入居中のトラブル対応や退去時の手続きなど、オーナーと入居者の間に立って調整を行う役割を担います。
アパレル業界におけるリテール営業
アパレル業界のリテール営業は、主に店舗での直接的な接客販売が中心となります。顧客の自己表現や社会的印象に関わる商品を扱うため、ファッションセンスや顧客心理の理解が重要です。
業務内容 | 説明 | 必要なスキル・知識 |
---|---|---|
店舗での接客販売 | 来店顧客への商品提案と販売 | コミュニケーション能力、商品知識 |
スタイリング提案 | 顧客の体形や好みに合わせたコーディネート提案 | ファッション知識、トレンド把握 |
顧客の囲い込み施策 | SNSやCRMを活用した継続的な関係構築 | 顧客情報管理、販促企画力 |
店舗での接客販売では、来店した顧客に対して適切な商品を提案し、購買を促進します。顧客の好みや予算を素早く把握し、ニーズに合った商品を紹介するスキルが求められます。また、試着のサポートや商品の特徴説明など、丁寧な接客が重要です。
スタイリング提案では、単品の販売にとどまらず、トータルコーディネートの提案を行います。顧客の体形や肌の色、普段のファッションスタイルなどを考慮した上で、最適なスタイリングを提案することで、顧客満足度の向上と購買単価の向上を図ります。
顧客の囲い込み施策では、顧客情報を活用した継続的な関係構築が重要です。新商品入荷時の案内や、顧客の購買履歴に基づいた提案を行うことで、リピート率の向上を目指します。また、会員制度や特典の提供も効果的な施策となります。
リテール営業に必要なスキル
リテール営業で成果を上げるためには、一般的な営業スキルに加え、業界特有のスキルも求められます。ここでは、基本的なスキルと業界特有のスキルに分けて解説します。
基本的なスキル
リテール営業に共通して求められる基本的なスキルは、業界を問わず重要な要素となります。
スキル | 説明 | 具体的な活用シーン |
---|---|---|
コミュニケーション能力 | 顧客との円滑な対話を実現するスキル | 初回面談 |
提案力・プレゼン力 | 顧客のニーズに合わせた提案を行うスキル | 商品提案 |
商品知識・業界知識 | 取扱商品と市場動向に関する深い理解 | 専門的質問への対応 |
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、リテール営業の基盤となるスキルです。
顧客の話をしっかりと聞き、ニーズや課題を的確に把握する「傾聴力」、商品やサービスの価値をわかりやすく伝える「説明力」、そして信頼関係を構築するための「共感力」など、多面的なコミュニケーションスキルが求められます。
提案力・プレゼン力
提案力・プレゼン力は、顧客のニーズに合わせた最適な商品やサービスを提案するスキルです。
単なる商品説明ではなく、顧客の課題解決や目標達成にどのように貢献できるかを明確に示すことが重要です。また、専門的な内容をわかりやすく伝えるプレゼンテーション能力も必須です。
商品知識・業界知識
商品知識・業界知識は、専門家としての信頼を獲得するために不可欠です。
自社商品の特徴や強みはもちろん、競合他社の商品や市場全体の動向も理解していることで、より説得力のある提案が可能になります。また、顧客からの専門的な質問に対しても、的確な回答ができるよう日々の勉強が重要です。
業界特有のスキル
業界によって必要とされる専門的なスキルは異なります。ここでは代表的な専門スキルについて解説します。
金融リテラシー
金融業界のリテール営業に不可欠なのが、金融リテラシーです。これは金融商品の仕組みや市場の動向、税制、法規制などに関する幅広い知識を指します。
金融リテラシーが高い営業担当者は、複雑な金融商品の特性を理解し、顧客にとってのメリット・デメリットを適切に説明できます。また、顧客のリスク許容度に応じた適切な商品提案も可能になります。
この分野では、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格が重要な指標となります。特にFP2級以上の資格保有者は、顧客のライフプランに沿った総合的な資産設計を提案できる専門性を持っていると評価されます。
また、証券外務員や保険募集人などの業界特有の資格も、専門知識の証明として重要です。
不動産関連の知識
不動産業界のリテール営業では、物件に関する知識に加え、法律や税制に関する専門知識が求められます。
不動産取引は法的手続きが複雑であり、売買契約や賃貸契約に関する正確な知識が必要です。また、物件の立地や構造、将来的な資産価値の変動予測など、専門的な視点からのアドバイスも求められます。
この分野では、宅地建物取引士が最も基本的かつ重要な資格です。宅建士は不動産取引の専門家として、重要事項説明など法律で定められた業務を行う資格を持ちます。そのほか、不動産鑑定士や管理業務主任者、マンション管理士など、より専門的な知識を証明する資格もあります。
これらの資格を持つことで、顧客からの信頼獲得にもつながるのです。
接客スキル
特にアパレルや小売業界のリテール営業では、高度な接客スキルが求められます。これは単なる愛想の良さだけではなく、顧客心理の理解や購買意欲を高めるための専門的なスキルを指します。
接客スキルの高い営業担当者は、顧客の好みやスタイルを素早く把握し、ニーズに合った商品を提案できます。また、顧客の言葉だけでなく、表情やしぐさからも潜在的なニーズを読み取る観察力が重要です。
この分野では、販売士(リテールマーケティング検定)が代表的な資格です。特に2級以上の資格保有者は、マーケティング、マーチャンダイジング、ストアオペレーションなどの専門知識を持っていると評価されます。
また、カラーコーディネーターやファッションアドバイザーなどの資格も、専門性を高める上で有効でしょう。
リテール営業に向いている人の特徴
リテール営業は特有の業務環境や顧客対応が求められるため、特定の資質や特徴を持つ人がより適性があるといえます。ここでは、リテール営業に向いている人の特徴を2つの観点から解説します。
1.顧客目線に立ってコミュニケーションを取れる人
リテール営業では、顧客一人ひとりの状況や課題を理解し、その視点に立った提案を行うことが重要です。以下のような特徴や経験を持つ人材は、この点で高い適性を発揮できるでしょう。
特徴・経験など | 強み | 具体的な活躍場面 |
---|---|---|
ファイナンシャルプランナーや資産運用の知識がある社員 | 専門的視点からの総合的な提案力 | 資産運用相談 |
接客業の経験を持つ社員 | 顧客心理の理解と円滑なコミュニケーション力 | 初回面談 |
個人の生活設計に関心の高い社員 | 共感力と実体験に基づくアドバイス | ライフイベントに合わせた提案 |
個人の生活設計に関心の高い社員は、顧客のライフイベントや価値観に共感できるため、親身な提案が可能です。自身の経験や考えを織り交ぜながら、顧客にとって本当に必要な商品やサービスを見極める視点を持っています。
「お客さまの立場で考える」という言葉は簡単ですが、実際に実践するには深い共感力と洞察力が必要です。顧客一人ひとりの物語を理解し、その人生に寄り添える人が、リテール営業で成功します。
異なる時間帯での対応力がある人
リテール営業は、顧客である一般個人の都合に合わせた時間帯での対応が求められることが多いです。そのため、柔軟な働き方に適応できる人材が向いています。
特徴・経験など | 具体的な活躍場面 |
---|---|
フレックスに適応できる社員 | 顧客都合に合わせた面談設定 |
休日出勤のローテーションに対応できる社員 | 土日祝日の顧客対応 |
時間外対応の経験がある社員 | 急な相談やトラブル対応 |
フレックスに適応できる社員は、自身の時間管理能力が高く、顧客の予定に合わせた柔軟な対応が可能です。朝型の顧客には早朝に、仕事帰りの顧客には夕方以降に対応するなど、顧客の生活リズムに合わせたアプローチができます。
休日出勤のローテーションに対応できる社員は、平日に仕事で忙しい顧客に対しても、土日祝日に質の高いサービスを提供できます。自身の休日計画を調整しながら、顧客の便宜を最優先できる柔軟性が重要です。
時間外対応の経験がある社員は、急な相談や緊急のトラブルにも冷静に対応できる強みがあります。
特に金融商品や不動産取引など、重要な決断に関わる商材では、顧客が急に不安になったり質問が生じたりすることがあるため、そのような状況にも適切に対応できる人材が求められます。
リテール営業に取り組む際のポイント
リテール営業で成果を上げるためには、個人顧客の特性を理解し、効果的な営業手法や組織的なアプローチを確立することが重要です。ここでは、リテール営業に取り組む際のポイントを3つの観点から解説します。
1.toC商談に特化した営業手法の確立
個人顧客向けのtoC商談には、法人営業とは異なるアプローチが必要です。効果的な営業手法のポイントとして、適切なヒアリングが基本です。オープンクエスチョンを活用して潜在ニーズを引き出し、相づちや共感で話しやすい雰囲気を作りましょう。
表面的な要望だけでなく、背景にある本質的ニーズを理解することが重要です。「安い商品」の要望背景にはさまざまなニーズが隠れています。提案のタイミングは顧客の理解度を見極め、関心が高いうちに行いましょう。
押し引きのバランスも重要で、「考えておきます」と言われた場合は次回アポイントや検討ポイントを示し、前向きな検討を促します。即断即決には「その場で決めるメリット」を明確に示すことが効果的ですが、押し売りにならないよう注意が必要です。
2.データに基づいた意思決定やアプローチをおこなう
現代のリテール営業では、勘や経験だけでなくデータに基づく科学的アプローチが重要です。顧客データを効果的に活用するためのポイントを紹介します。
顧客セグメント別の戦略立案では、属性に基づいて顧客をグループ化し、最適なアプローチを設計しましょう。若年層には資産形成、シニア層には安定性を重視した提案など、セグメントごとのニーズに合わせた戦略が効果的です。
商品提案の優先順位設定では、データ分析で成約率や利益率を把握し、効率的な提案順序を決定します。ROIを意識したリソース配分では、顧客の生涯価値(LTV)を推計し、高いLTVが見込める顧客には重点的にリソースを投入します。
ROIについては以下の記事で詳しく解説しておりますので、ご参照ください。
3.組織的に顧客管理の体制を構築する
個人営業に頼りがちなリテール営業ですが、組織的な顧客管理体制の構築でより安定した成果を上げられます。
CRMツールによる顧客情報の一元管理は、個々の営業担当者の情報を組織の資産として共有・活用する基盤となります。担当者の異動があっても継続的な対応が可能になり、データ分析で効果的な施策立案もできます。
顧客のライフイベントに合わせた提案を行う仕組みの構築も重要です。また、営業部門だけでなく、サポートや商品開発など全部門で顧客情報を共有することで、顧客満足度と成約率の向上を図ることができます。
CRMについては、以下の記事で詳しく解説しておりますので、ご参照ください。
まとめ
本記事では、リテール営業の基本概念から特徴、業界別の特性、必要なスキル、そして成功のためのポイントまで幅広く解説してきました。
リテール営業とは、個人顧客を対象とした営業活動であり、顧客との直接的な関係構築、短期的な商談サイクル、個人の生活に密着したサービス提供が特徴です。業界によって取り扱う商品やサービス、求められるスキルは異なりますが、顧客目線でのコミュニケーションと柔軟な対応力が重要です。
今後のリテール営業は今後、デジタル技術の進化やライフスタイルの多様化によってさらに変化していくことが予想されます。しかし、その根底にある「顧客の生活や価値観に寄り添い、最適な提案を行う」という本質は変わりません。顧客との信頼関係を大切にしながら、時代の変化に柔軟に対応していくことが、リテール営業で長期的に成功するためのカギとなるでしょう。

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ライター
営業DX Handbook 編集部