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【例文付き】テストクロージングとは?やり方と最適なタイミングを分かりやすく紹介
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テストクロージングは、商談の途中で顧客の購買意欲を確認し、ニーズに合った提案を行うために重要です。
本記事では、テストクロージングについて効果的な営業シーンやタイミング、やり方などを例文付きで紹介します。顧客ごとに異なるニーズを把握して、成約率の向上や良好な関係構築を目指しましょう。
テストクロージングとは

テストクロージングとは、商談中に顧客の購入意思を見極めるための方法です。顧客が購入や成約に対して意欲的か判断したり、疑問や不安を把握したりする際に役立ちます。
商談の節目で相手の反応を確認し、状況に適した提案ができるようになります。一方通行の営業ではなく、自然なコミュニケーションを生み出せるのもテストクロージングの特徴です。
関心の低い顧客に対してセールストークを続けることは、営業担当者だけでなく相手にとってもストレスになるでしょう。テストクロージングを行うことで、相手の温度感を見極めやすくなり、より効果的な商談にできます。
テストクロージングを実施する5つのメリット

テストクロージングを実施するメリットは以下のとおりです。
1.顧客の購買意欲を早期に確認できる
テストクロージングは、商談の早い段階で顧客の購買意欲を把握できるメリットがあります。
相手が興味を示していない場合、商談を終了することも可能です。
例えば、自社商材の特徴を紹介した段階でテストクロージングを行い、反応が薄ければ別のアプローチに切り替えるといった判断ができます。商談内容に興味関心のない顧客を迅速に見極められるので、時間の浪費を最小限にできるでしょう。
2.顧客の不安や疑問を解消できる
テストクロージングは、顧客が抱えている不安や疑問を解消できるのもメリットです。
例えば勤怠管理ツールの営業の場合「デモをご覧いただき、御社の状況でこの勤怠管理ツールがどう役立つかイメージできましたでしょうか?」と質問することで、顧客が抱えている課題の具体的な解決策を提案しやすくなります。
さらに「弊社ツールの導入で、例えば月末の勤怠確認がどれくらい効率化できるのかシミュレーションしてみましょうか?」などと尋ねることで、顧客にとっての具体的な利点を掘り下げられます。その場で顧客の疑問や不安を解消できれば、商談の成功率も高まるでしょう。
また、こうした具体的なやり取りを通じて、顧客は「自分の課題をよく理解してもらえている」と感じ、信頼関係の構築にもつながります。
3.商談の方向性を調整できる
テストクロージングを行うことで、顧客ごとに商談内容を最適化できるメリットがあります。
質問を通して顧客の生の意見を確認できれば、ニーズに合った提案を行うことで契約のハードルを下げられるでしょう。その場の雰囲気に合わせたアプローチ方法に調整できるため、より効果的な商談を進めやすくなるのです。
例えば、新しいソフトウェア提案を行っているとした場合、顧客が費用感で悩んでいるときには、予算の採択時期をヒアリングし、適切なタイミングで再アプローチすることも有効です。また、長期的な投資対効果をシミュレーションして、導入のメリットを伝えるといった方法もあるでしょう。
顧客ごとに提案内容を最適化できるようになれば、商談をよりスムーズに進められるようになります。
4.クロージングのタイミングを見極めやすくなる
テストクロージングは、最終的なクロージングのタイミングを見極めやすくなるメリットもあります。
クロージングに最適なタイミングとは、顧客が提案内容に納得したときです。提案に対してさらなる疑問が生じていたり、いくつかのポイントでマイナス要素が見つかったりした場合は、クロージングしてもうまくいかないでしょう。
テストクロージングを行えば、顧客が商談に対してどのような現状なのかを判断できます。その結果、顧客が満足したタイミングを把握しやすくなり、商談の成功率向上につなげられるようになるのです。
5.信頼関係を強化できる
テストクロージングは、顧客との信頼関係を強化できるメリットもあります。
なぜなら、テストクロージングの本質は顧客の意思を確認することだからです。商談の際、セールストークが一方的になってしまう人は少なくありません。この場合、顧客は売り込まれている感覚を持ってしまい、提案への興味を失ってしまう原因になります。
テストクロージングは、単に商材を売り込むためだけのものではありません。顧客の不安や疑問を1つ1つ解決していく中で、信頼関係を積み上げることができます。
テストクロージングが有効な営業シーン

テストクロージングはどんなシーンでも機能するわけではありません。
効果的にテストクロージングを行うには、有効なシチュエーションを把握しておくことが重要です。
ここでは、テストクロージングが有効な営業シーンについて解説します。
テレアポによるヒアリング
テストクロージングは、BtoCのテレアポのように即決が求められるシーンで特に有効です。
BtoC向けのテレアポでは、比較的短時間で結果を出す必要があるため、自社商材に興味がある、または迷っている顧客にむけてのテストクロージングが効果を発揮します。
自社に興味を示している顧客に対しては次のステップに進み、関心が薄い顧客に対しては早めに商談を切り上げるなどの対応が可能です。
早い段階で意思を確認できるので、テレアポの業務効率向上にも寄与するでしょう。
決裁権を持つ人物に向けたBtoB営業
テストクロージングは、決裁権を持つ人物に向けたBtoB営業でも有効です。
意思決定権を持つ相手が商談に参加している場合、テストクロージングを通じて、相手の購入意欲や関心度を早い段階で確認できます。これにより、相手のニーズに合った提案を行いやすくなり、スムーズに商談を進めることが可能です。
一方、複数の担当者で検討するようなBtoB営業では、商談後に社内検討が必要なことが多いためテストクロージングは向きません。
このような理由から、テストクロージングは決裁権を持つ人物が参加している商談や、テレアポのような対個人向けの営業で有効と言えるでしょう。
テストクロージングの適切なタイミング
テストクロージングは、主に以下2つのタイミングで行うのがおすすめです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.提案を始める前
提案を始める前にテストクロージングを行うことで、顧客と営業担当者の負担を軽減できます。
提案は時間がかかるため、購買意欲がない顧客にとっては負担になりがちです。テストクロージングを行えば、顧客の購買意欲を事前に確認し、意欲がない場合は提案そのものを省いて無駄な負担を避けられます。
一方、購買意欲がある顧客に対しては、提案前のテストクロージングで疑問や懸念を引き出し、ニーズに合った提案につなげられます。
商品やサービスの必要性が明確になることで、結果的に成約率が上がる効果が期待できるでしょう。
2.金額を提示する前
次は自社商材の金額を提示する前のタイミングです。
金額を提示する前にテストクロージングを行うことで、顧客が抱えている疑問や不安を解消できます。懸念点をクリアにしておけば、スムーズにクロージングできるでしょう。
また、商材の適正価格を知らない顧客もいるため、同業他社の相場を提示してから自社商材の価格を伝えるのがおすすめです。
- テストクロージングで懸念点をクリアにする
- 同業他社の相場を提示する
- 自社の価格を提示する
この流れにより、顧客が自社の価格に対してネガティブな印象を持ちにくくなります。
テストクロージングのやり方と例文

ここでは、具体的なテストクロージングのやり方と例文について見ていきましょう。
- 提案を始める前のテストクロージングのやり方
- 金額を提示する前のテストクロージングのやり方
提案を始める前のテストクロージングのやり方
提案を始める前にテストクロージングする目的は、顧客の関心度や警戒心を把握して相手の温度感に合わせられるようにすることです。
これによりスムーズに商談が進められるようになります。
提案前にテストクロージングする際の例文は以下のとおりです。
<例文①>これから〇〇について説明させていただきますが、ご興味はございますか?
<例文②>〇〇について、ご不明な点や気になる点はございますか?
無理に購入を促すのはよくありません。
あくまでも顧客が抱えている疑問や不安にフォーカスしてヒアリングしましょう。顧客によっては「〇〇でいいなら契約したいと考えている」といった条件を指定してくるケースもあります。
顧客側が断る理由をなくすためにも、テストクロージングで疑問や不安を解消することが重要です。
金額を提示する前のテストクロージングのやり方
2回目のテストクロージングを行う目的は、クロージングに向けて顧客の心理的な障壁をできる限り取り除くことです。
例文を見てみましょう。
<例①>条件が整えば、購入を前向きにお考えいただけますか?
<例②>A案とB案のどちらがご希望に近いと感じられましたか?
1回目のテストクロージングで好感触が得られていても、最終場面で新たな懸念が出てくることがあります。そのため、最終段階で顧客の隠れた不安を確認することが大切です。
注意点としては、1回目のテストクロージングと同様、強引なセールスをしないことです。顧客のペースに合わせて商談を進めつつ、気軽に質問できる雰囲気を保つようにしましょう。
テストクロージングを効果的に活用するコツ

テストクロージングは、以下のポイントを押さえておくと、より効果的に活用できます。
顧客の抱える疑問や目標・フローなどを事前に把握する
テストクロージングの成功率を高めるには、事前に商談で必要になりそうな情報を準備しておくとよいでしょう。
- よく質問される内容の回答
- 顧客の意思決定プロセス
- 顧客に求められるであろう資料やデータ
BtoB商談では、複数のステークホルダーが関与するケースが多いので、決裁権者以外の関係者が求める情報もヒアリングしておく必要があります。
例えば「この提案を社内で進める際に必要な情報はありますか?」と具体的な質問を投げかけるのも効果的です。ヒアリングした結果から、社内稟議や上申に必要なデータや資料を事前に提供できれば、契約獲得を阻む障害を取り除きやすくなるでしょう。
営業感の強い直接的な表現を避ける
テストクロージングを行う際は、強引なセールストークにならないように注意してください。
特に気をつけたいのは、顧客ニーズを理解せずに自社商材の魅力を語ってしまうケースです。顧客は必ずしも自社商材に価値を感じるわけではありません。「この商品は最高なんです!」と強引にセールスしても、相手にとってはストレスになるでしょう。
目的を達成するには、まず顧客の課題をヒアリングして明確な解決策を提案することが欠かせません。
また、商談が不成立となった場合でも、今後顧客と接点を持つ可能性があります。そのため、営業を行う際は、顧客視点に立って好印象を与えることが大切です。
話しやすい雰囲気を作り、適切なタイミングでテストクロージングを行えば、自然な流れで顧客の内面を引き出せるでしょう。
まとめ
テストクロージングは、顧客の購買意欲や懸念点を確認するために重要です。
成約率を高めるには、事前に顧客のバックグラウンドを把握したり、資料を集めたりなどの対策を講じておく必要があります。限られたリソースの中で、顧客情報を網羅的に集めるには、効率化ツールの活用がおすすめです。
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ライター
営業DX Handbook 編集部