• コンプライアンス

反社会的勢力はどうチェックする?リストの確認方法や注意点を解説

反社会的勢力はどうチェックする?リストの確認方法や注意点を解説

企業のコンプライアンス強化の必要性は、年々高まっています。特に、反社会的勢力との関わりが明るみに出た場合、社会的な信用を一気に失いかねません。中には、相手が反社会的勢力と気付かずに関わりを持ってしまうケースもあるため、リスクを回避するためにも、適切な対策を講じる必要があります

本記事では、反社会的勢力のリストを確認する方法や注意点、リスト以外での確認方法について詳しく解説します。自社のリスクマネジメントをより強化したい方や、反社チェックツールの導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

反社会的勢力の確認方法

すべての反社会的勢力を網羅したリストは存在しないといわれています。しかし、行政機関の出している指定暴力団のリストや、業種専門の団体・協会が出している独自のデータベースなどで確認は可能です。

これらの確認方法について、詳しく解説します。

行政機関への確認

警視庁の公式サイトや、暴力追放運動推進センター(以下:暴追センター)では、指定暴力団のリストが掲載されています。

これらの情報は、行政機関が提供していることから信ぴょう性が高く、確実な情報源の一つといえます。また、反社会的勢力とのつながりが疑われる個人の情報を調べる際には、警察や暴追センターに情報提供を依頼することも可能です。

ただし、行政機関へ確認する際にはいくつかの制約があります。相手の氏名や生年月日、住所などの詳細な情報を準備する必要があり、回答を得るまでに時間がかかることが想定されます。


また、一般企業が直接アクセスできるデータベースではないため、危険度が高いと認識された場合のみ相談できます。したがって、確定的な情報がない場合は、ほかの手段を検討することが推奨されます。

業種専門の団体や協会などに対し確認

業種専門の団体や協会によっては、その業界内の反社会的勢力に関する独自のデータベースを保有している場合があるため、問い合わせることで確認が可能です。

例として、次のような業種があげられます。

業種

主な業界や団体(一部)

不動産業

  • 公益社団法人不動産保証協会
  • 社団法人全日本不動産協会
  • 社団法人不動産協会 など

金融業

  • 全国銀行協会
  • 全国信用組合中央協会
  • 一般社団法人全国信用組合中央協会全国しんくみ相談所
  • 一般社団法人全国信用金庫協会 など

建設業

  • 全国中小建設業協会
  • インテリア産業協会
  • 輸入住宅産業協会 など

上記の他にも、業界団体は数百以上も存在し、同業界内でも分野によっては異なる業界団体が結成されていることもあります。

なお、日本信用情報サービスなど、業界を問わず反社データベースを照会できるサービスを提供している団体も存在します。これらの団体は、特定の業界に限らず幅広い情報を提供しているため活用をおすすめします。ただし、団体によって情報の詳細度や更新頻度が異なるため、情報が古い可能性もありますので、複数の情報源を参照することが望ましいでしょう。

反社会的勢力のリスト確認時の注意点

反社会的勢力のリストを確認する際には、いくつかの重要な注意点があります。次の3つの注意点を理解し、適切に対応することで、企業のリスクをより効果的に管理することができます。


「リストにない=安全」ではない

警察庁や暴追センターのリストに載っていないとしても、その企業や個人が安全であるとは断定できません。理由として、フロント企業の存在があげられます。フロント企業とは、反社会的勢力がその身分を隠して設立・経営している企業のことを指します。

これらの企業は一見、普通の企業のように見えますが、実際には反社会的勢力に対して資金提供を行っている可能性も考えられます。また、指定暴力団のリストは公開されているものの、関与している個人の実名までは掲載されていないケースもあります。そのため、後述するような複数の確認方法を組み合わせて実施することをおすすめします。

定期的な情報更新を行

これまで健全だった取引先が、知らない内に反社会的勢力と関与している可能性も考慮する必要があります。新規の取引先候補だけでなく、既存の顧客に対しても定期的なチェックを行うことが大切です。

半年や1年など一定の期間ごとに、顧客情報の更新・確認を実施することが推奨されます。これにより、変化するビジネス環境の中でのリスクを最小限に抑えることにつながるでしょう。

反社会的勢力と判明した時点で取引停止に動く

基本的には、契約を結ぶ相手が反社会的勢力であることが判明した場合、ただちに取引を中止すべきです。しかし、既存の顧客が反社だったことが、あとになって判明する場合も考えられます。このような場合は、まず社内や顧問弁護士に情報を共有し、反社と判明した事実を整理すると良いでしょう。

必要に応じて、警察に相談することも検討すべきです。その後、契約を中止する際には、相手方に対して穏便に伝えることが重要です。「反社と判明したから取引を中止する」といった断定的な伝え方は避け、「警察からの指導により取引が中止となった」「社内審査の結果、自社の基準に合致せず取引ができなくなった」といった表現を使用すると良いでしょう。

リスト以外で反社会的勢力を確認する方法

上述したリスト以外の方法でも、反社会的勢力との関わりを確認することが可能です。

ここでは、リスト以外で反社会的勢力を確認するための具体的な方法を5つご紹介します。

  • インターネット検索
  • 新聞記事検索
  • 反社条項に対しての相手の反応を確認
  • 調査会社の利用
  • 反社チェックツールの活用

インターネット検索

インターネット検索は、GoogleやYahoo!JAPANなどの検索エンジンを使用して調べる方法です。検索の際は、「個人名 反社」「企業名 不正」などの調査対象とキーワードを組み合わせて検索します。

代表的なキーワードの例は、次の通りです。

ヤクザ,反社,逮捕,暴力団,準構成員,フロント企業,架空,行政処分,送検,捜査,脱税,申告漏れ,罰金,容疑,事件,違反,違法,疑い,偽装,告訴,罪,ブラック,指名手配,傷害,詐欺,窃盗,収賄,横領,闇,検挙,釈放,摘発,不正,処分,インサイダー,漏洩,課徴金,追徴金,行政処分,行政指導

インターネット検索では手軽かつ無料で調べられますが、一方で、情報が膨大であるために欲しい情報を得られにくいことや、同姓同名でヒットするケース、誤った情報が掲載されているケースがあります。そのため、情報の正確性が確保できないというデメリットが考えられます。

新聞記事検索

新聞記事検索は、新聞記事のデータベースを利用した検索方法です。インターネット検索に比べて信ぴょう性のある情報を得やすいことが、特徴としてあげられます。

また、インターネットでは検索結果によって、得たい情報が見つかりにくい場合があります。データベース上で検索することで、古い情報にもアクセスが可能です。

ただし、情報の精度が高いことにより、口コミやうわさ程度の情報は含まれないことが多く、情報量に限りがある点はデメリットといえます。

反社条項に対しての相手の反応を確認

契約締結時に、「反社会的勢力の排除」に関する条項を契約書に掲載することも一つの方法です。この条項には、契約者が反社会的勢力ではないことや、関係がないことを確約する内容を含めます。

契約書に記載することで相手をけん制し、万が一に条項の内容に対して抵抗や修正を求められた場合は、反社会的な関与の疑いが浮上したとみなして調査を進める契機となります。

なお、東京都暴力団排除条例では、反社条項に対する条項を定めることが推奨されています。契約書の記載例については、警察庁が公開しているひな形を参考にしてください。

参考:

東京都暴力団排除条例 Q&A 警視庁

媒介契約書 モデル条項例 (反社会的勢力の排除)

表明・ 確約書とは、 契約する際に、 相手方から「自分は暴力団等反社会的勢力でないこと」

調査会社の利用

外部の調査機関や探偵事務所に調査を依頼することも、反社会的勢力を確認するための有効な方法の一つです。専門家に任せることで、独自のルートや人脈を活用した調査が可能になり、一般的には知られていない情報を得ることができます。

ただし、ほかの方法と比べて調査費用が高額になる可能性がある点には注意が必要です。

反社チェックツールの活用

反社チェックツールとは、インターネットの記事や新聞記事、警察関連情報にアクセスし、過去の犯罪歴や反社会勢力との関わりを調査できるツールです。

ここまで紹介した調査方法は、自社の調査または外部に任せる方法であるため、調査完了まで時間を要する場合がありますが、反社チェックツールを活用することで、ノウハウがない企業でも迅速かつ高精度のチェックが可能です。

そのため、既存顧客や契約前の段階で速やかに確認したい場合に有効な方法といえるでしょう。

反社チェックツールはいくつか存在していますが、Sansanのリスクチェックでは、顧客情報を取り込むだけで、反社会的勢力との関わりやマネーロンダリング(資金洗浄)、人権侵害、組織犯罪への関与といった、さまざまなリスクを検知することが可能です。

まとめ

反社チェックをする際には、専門の団体や検索からリストを取得し、事前に情報収集を行ったうえで、警察や調査機関へ相談することが推奨されます。フロント企業の存在によって反社とのつながりが判断しにくいことや、警視庁が公開しているリストでは個人名まで掲載されていないことも考えられ、自社での調査には限界があるケースも多いです。

反社会的勢力のチェックを行う際に、信ぴょう性が高く、かつコスト(人的コストを含む)を抑えたい場合には、Sansanのリスクチェックツールを活用することがおすすめです。

Sansanの反社チェックツールは、自動スクリーニングやメール署名の取り込みなどの機能を備え、信頼性とコスト効率を両立させた強力なツールです。

同ツールは情報の正確性においても高い水準を維持しており、LSEGとKYCC社のデータベースを組み合わせた精緻なリスクマネジメントを実現できます。LSEG(Refinitiv社)は米トムソン・ロイターのファイナンシャル&リスク部門を前身とする企業であり、KYCC社はKYC(本人確認)に特化したリスクマネジメント企業です。

Sansanのリスクチェックツールを活用し、取引リスクを早期に検知し、よりリスク管理を強化しましょう。

リスクチェック powered by LSEG/KYCCリスクチェックのサービスについて、ご利用の流れや導入後のメリットについて説明した資料です。

リスクチェック powered by LSEG/KYCC

リスクチェックのサービスについて、ご利用の流れや導入後のメリットについて説明した資料です。

営業DX Handbook 編集部

ライター

営業DX Handbook 編集部

Sansanが運営する「営業DX Handbook」の編集部です。DX推進や営業戦略、マーケティングノウハウなど、営業・マーケティング課題の解決に導く情報をお届けします。