- マーケティングノウハウ
顧客分析をする上で、BtoB企業に必要なデータベース構築
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※本記事は2021年5月に作成されました。掲載されている内容は作成時点の情報です。
マーケティング部門の目的は商材に興味がある顧客を獲得し、商談につなげることです。そのためには顧客分析が必要不可欠であり、顧客のニーズを知りターゲットに対して確実に刺さるような施策を打たなければなりません。本記事ではそのために顧客データを整理し分析をしていく方法を紹介します。
購買行動の変化とBtoB企業の環境変化
従来のBtoBビジネスにおける購買行動とその問題点
従来、BtoBビジネスにおける顧客の購買行動は、営業から情報を入手することがスタートでした。それぞれの営業担当者は独自の勘や経験に基づいて提案・商談を行っていたため、同じ顧客・プロダクトでも営業担当者個人の手法に影響されます。このように属人的な営業手法であるため、部下や後輩にその手法が伝わりにくい上に、受注・失注の要因が特定しづらいことから安定して成果を出しにくい環境でした。
また、BtoBビジネスでは、失注からしばらく時間が経ったときや、異動で決裁者が変わったタイミングなどで、同じ企業に繰り返しアプローチすることも珍しくありません。その際に、顧客ニーズに沿わない提案をすると、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。
近年の購買行動では「検索」し、情報を入手
現代のマーケティングは重要視すべき対象が大衆から個人へと変化しています。テレビや新聞のみを情報源とする時代は終わり、個人の嗜好に最適化されたSNSや、検索行動から情報を入手するようになりました。
BtoBビジネスにおいても、見込み顧客は比較・検討が終了した状態で営業に会うようになりました。購買決定に近い状態で営業とコンタクトをとるので、CMやネット広告・SNSなどで知名度を上げる、オウンドメディアやウェビナーで接点を持つ、といった顧客に合わせたデジタルマーケティング施策が必要になったのです。
こうした購買行動の変化に伴い、アプローチ方法も変化しました。個人が重視される現代では、見込み顧客の属性や行動といったデータを元にOne to Oneにアプローチしなくては、興味関心を持ってもらえません。
例えば、何度も製品資料を見ているから架電する、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関連するウェビナーを受講した人に、DXの情報を伝えるオウンドメディアの記事を送るなどデータを用いたOne to Oneアプローチが効果的になってきました。
営業担当者のスキルや温度感のみに頼った営業手法では、成果を上げるためには優秀な営業パーソンに頼らなければなりませんが、データに則ったマーケティングを行えば組織全体で効率よく製品・サービスに興味関心が高い顧客を獲得できます。さまざまなデータを用いて見込み確度をはかることで、営業担当者が安定して成果を出しやすくなったのです。
BtoB企業の環境変化が及ぼす影響
また、少子高齢化による労働人口の減少や、ノウハウを持っていた団塊の世代の退職、DXの推進による新サービスの登場や新たなプレイヤーの台頭など、BtoB企業を取りまく環境変化は大きくなっています。
そこで顧客変化と環境変化の中で企業が生き残っていくためには効率的なマーケティング・営業活動が必要です。自社のサービスがどのような企業に売れるのか、自社が手を伸ばせていない潜在顧客となる層はどこなのかを分析し、ターゲット企業の選定が急務となっています。
BtoBビジネスの顧客は「企業」「部署」「人」の面から分析すべき
潜在顧客へのアプローチも含め、自社のサービスを求めているターゲットを見極めるために重要なのが、顧客分析です。顧客分析とは、主に自社製品やサービスを購入した顧客の属性と購買行動をひもといていくことです。
BtoBビジネスにおける顧客とは、「企業 」「部署」「人」の切り口で捉えることができます。自社製品のペルソナやターゲット、カスタマージャーニーなどを考えるとき、この3種類を想定すべきです。
ターゲットとして分析すべき属性・購買行動の例を提示します。
企業
業種・商材・売上規模・所在地・業界・最近の業績など
部署
総務・経理・営業・カスタマーサクセス・システム・マーケティング・広報・物流・財務など
人
役職・チームの規模・業務内容・使っているツール・フレームワーク・個人の目標・個人の課題など
例えば同じサービスを総務部門へ販売するとき、売上規模が100億円の企業と、売上規模が1億円の企業とでは、必要なアプローチが違ってくるはずです。
そのため、自社ですでに保有している顧客データを分析する際には、MA(マーケティングオートメーション、マーケティング活動を自動化するツール)やCRM(カスタマーリレーションシップマネジメント、顧客管理システム)に蓄積された顧客の基本情報やステータス、これまでのタッチポイントなど個人単位で把握するのはもちろん、合わせて企業や部署などの情報も一緒にひも付けて管理する必要があります。しかしながら、上記のような状態で管理できている企業は少ないのが実情です。
顧客情報が正確でないと、分析しても意味が無い
せっかくCRMやMAなどのツールを導入していても、保有している顧客データが以下のような状態となっていないでしょうか。
- 顧客企業あるいは本社・事業所の名前や所在地、電話・FAX番号といった情報しか記録していない。
- 定期的なメンテナンスを行えておらず、情報が古い。担当者が現在も在籍しているか分からない。
- 資料ダウンロード、自社セミナー申込、メールマガジン登録など施策によって入力項目がバラバラで統一されないまま、顧客データを獲得している。
- 担当者が手動で入力しているため、誤字や脱字・表記揺れがある。
- 個人のエクセルで顧客データを管理している。
上記のような状態では、訴求や商談で使えるデータが少ない、あるいは正確でない可能性があります。
担当者名・役職・電話番号・メールアドレスなどの項目を統一して顧客データを集めなくては、企業・部署・人が結び付かないため、その情報に意味が無くなってしまいます。特に部署や役職といった情報は決裁権があるか無いかを判断する重要な情報です。決裁権がある人物は間違いなく商談のキーパーソンとなる。受注するためには、キーパーソンを見極めなければなりません。
企業規模が大きくなるとプロダクトごとに部署が分かれ、部署が独立して施策を考えることもあります。そうなると、部署や施策ごとに入手したい情報が異なる場合も出てくるでしょう。また、名前やメールアドレスだけであればリードが獲得しやすいことから、施策によって入力項目を少なくすることもあります。しかし、施策が違っているとしても入力フォームはなるべく統一するべきです。統一すると部署を横断してその情報を生かせる可能性があるからです。
他にも、担当者の机にしまわれていた古い名刺や、1年以上連絡を取っていない顧客はデータが古い可能性があります。アプローチをしようとしても、連絡先が変わっていたり、すでに退職していたりすることもあるので、情報は最新の状態にしておきたいです。
さらに担当者が手入力をしていると、誤字脱字が発生するだけでなく、半角や全角あるいはカタカナや英語表記など担当者によって入力方法が異なるかもしれません。会社名は名刺と合わせてウェブサイトでも調べる、読み方も合わせて入力するなど、入力方法を統一するようレギュレーションを決めておくべきです。
しかし、このように提案しても、手入力で顧客データを入力していてはミスが必ず出てくるでしょう。
また、個人のエクセルでの管理は、誰がいつ入力したかを把握しづらく、同じファイルがいくつも存在すると最新版が分からなくなってしまいます。複数人で顧客データを入力するのであれば、エクセルより管理ツールの方が管理しやすいです。
このように、入力された情報が不足している、あるいは正確かどうかが分からないデータで顧客ニーズを分析しても、確かな示唆は得られず、効果が出る戦略立案はできません。では、どのように顧客データを管理すべきなのでしょうか。
成果が出る顧客分析を行うために
変化が激しい現代において、顧客のニーズを知るためには、まず自社の顧客データベースの見直しが必要です。社内に散らばった顧客データを統合し、企業・部署・人の三つのデータをひも付けることで、ようやく顧客分析のスタートラインに立てます。正確な情報に基づく顧客分析で、顧客が求めるニーズを掴みましょう。
顧客分析の第一歩は、顧客データベースの構築から
効率的なマーケティング・営業戦略を立案するためには、正確な顧客データを使って分析しなければならない。めまぐるしく変わっていく現代では、社名・部署名の変更、担当者の退職や異動などが原因で、情報はすぐに古くなってしまいます。
そのため、データの整合性と関連性を一致させるデータクレンジングを定期的に行わなければ、正確な保有リード情報とは言えないのです。
しかしながら、不正確で古い顧客データを、正確かつ最新の状態で管理するためには膨大な作業工数や費用がかかってしまいます。定期的にメンテナンスができている企業は少ないでしょう。
そこで、手間無く簡単に顧客分析に活用できる顧客データベースの構築をするためには、情報をクレンジングしてくれるITツールの活用が欠かせません。
データクレンジングツールは、データの重複や誤記、欠損などを見つけて一貫性のあるデータへ自動的に修正してくれます。さらに、最適化されたデータベースや既存の業務効率化ツールとの連携によって、営業・マーケティング分析の精度を飛躍させてくれる機能を持つITツールも存在します。
例えば、「Sansan Data Hub」を導入すれば、SansanのAI技術を結集した独自のテクノロジーにより、最も正確で最新の顧客情報である「名刺」を軸に、社内のデータを正規化・統合ができます。
いま利用されている、SalesforceやMarketoなどのCRM・SFA、MAツールにおいても、データの二重登録を防ぎ、名寄せ・クレンジングの工数を削減することができます。また、外部情報ソースと連携し、会社情報にさらなる情報を付与してリッチ化。付加価値の高い、マーケティングに最適なデータへと進化させます。
Sansanを活用することで顧客データの基盤作りができるため、「Sansan Data Hub」の詳細を下記からダウンロードし、ぜひ確認してみてください。
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ライター
営業DX Handbook 編集部