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【3分で分かる】 経済産業省が提唱するDX − 顧客接点のデジタル化編
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経済産業省が提唱しているDXは抽象的な概念も含むため、分かりにくく感じている企業担当者も多くいることでしょう。本記事では、デジタル化を進めるための具体的なアクションについて解説します。
※本記事は2021年5月に作成されました。掲載されている内容は作成時点の情報です。
今すぐ取り組むべきコロナ禍の事業継続を通じたDXの第一歩
新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、テレワークやオンライン商談をはじめとしたオンラインシフトが急速に進みました。働き方が大きく変化している中、各業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みが加速しています。一方、何から取り組めばいいかわからず、DXの波に取り残されている企業も存在するでしょう。DX対応に遅れている企業が直ちに取り組むべきファーストステップとして、やるべきことは二つあります。
①市販製品・サービスの導入
コロナ禍においても社員や顧客の安全を守りながら事業を継続していく必要があります。その迅速な対処策としてデジタル化を促進する市販製品やサービスの導入が挙げられます。
②経営トップのリーダーシップ
ツールの全社導入には経営トップのリーダーシップが重要です。製品導入による業務の改善を成功体験とし、変化を歓迎する組織文化へと変わっていくきっかけにする必要があります。
二つのうち、②に関しては経営トップがDXに対する理解を深めた上で、ツール導入後のビジョンを現場に共有するなどしてDXを推進するのが重要です。また、①に関しては、以下四領域のカテゴリーにおけるサービス導入が必要になります。
A. 業務プロセスのデジタル化
B. 業務環境のオンライン化
C. 顧客接点のデジタル化
D. 社員の安全・健康管理のデジタル化
本記事ではこの四つのうちCの「顧客接点のデジタル化」について解説します。
顧客接点をデジタル化するための方法
顧客接点とは企業が顧客と接するあらゆるポイントのことです。営業担当者による電話営業や対面型の訪問営業、リアル店舗の店頭、セミナー、展示会など、直接的な顧客対応の接点だけでなく、ダイレクトメールやポスティング、といった間接的な接点も顧客接点に含まれます。
新型コロナウイルスはこの顧客接点のあり方に急激な変化をもたらしました。対面型の営業活動やリアル店舗での接客は縮小を余儀なくされ、顧客接点をオンライン上に持つことの比重が大きくなっています。
顧客接点のオンライン化・デジタル化には以下のメリットが考えられます。
時間や距離の制約がなくなる
ウェビナーの開催やウェブサイトの開設など、顧客接点をデジタル化すると、実際に顧客と会う必要がなくなり、オンライン上でアプローチが完結します。そのため顧客のいる場所まで移動する時間を考慮しなくてよくなるため、地方や海外の顧客とも接点を持つことが可能です。
潜在顧客への接点が増加する
SNSでの発信やウェブ開設、ウェビナー開催など、オンライン上で情報を発信し、顧客との接点を増やすことが可能です。それゆえ、オフラインでの営業活動よりも自社商品・サービスの潜在顧客に広くアプローチし、興味関心を集めることができます。
人的コストが削減される
これまで、スタッフが対応していた顧客からの問い合わせをチャットボットに変えたり、AIアシスタントを活用したりすることで人的コストを削減できます。
データと顧客が結びつけられる
顧客と複数の接点情報を結びつけ、簡単に一括管理できることがデジタル化の最大のメリットです。オフラインの顧客接点と違って、オンラインであれば、一人の顧客に対してウェブ広告やウェビナー参加、サイト訪問など、さまざまな接点をひもづけて一括管理できます。
では、どのように顧客接点をデジタル化すればよいのでしょうか。一般的に顧客接点をデジタル化するには以下の二通りの方法があります。
A.新しくデジタル上での顧客接点を設置する
B.アナログ上での接点をデジタル上へ移行する
Aについては、今までデジタル上での活動に力を入れてこなかった企業が、新しくデジタルで情報を発信することを意味します。具体的には以下のような施策が考えられます。
- ウェブサイト
- オウンドメディア
- SNSマーケティング
- メールマガジン
- LINE公式アカウント
Bについては、これまでアナログで行っていた業務をデジタルツールによって自動化・オンライン化することです。具体的には以下のような施策が考えられます。
- お問い合わせ対応の一部をチャットボットに置き換える
- セミナーをウェビナーに置き換える
- 対面の商談をウェブ会議による商談に置き換える
しかしながら、ただ接点を増やせばいいわけではなく、増やした接点を効果的に運用するためには接点情報を上手く活用する必要があります。どのように接点情報を活用すればよいかは、次のセクションで解説します。
オンライン・オフライン上の接点を一元管理することが鍵となる
新しくデジタル上の顧客接点を設置するにしろ、アナログでの接点をデジタル上へ移行するにしろ、顧客接点のデジタル化で問題が発生しやすいのは顧客接点の管理です。接点をばらばらに管理していていては適切なアプローチができないため、デジタルな接点もアナログな接点も含めて一元的に管理する必要があります。
例えば以下のような失敗事例が挙げられます。
過去に失注した取引先の担当者A氏が、新たに設立した自社のウェブサイトでサービス紹介資料をダウンロードしました。従来通りの顧客接点、例えば当時担当していた営業担当者にA氏が電話で資料請求してきた場合なら「お久しぶりです。あれから状況が変わりましたか?」とアプローチするのが普通でしょう。
しかしながら、オンラインとオフラインで顧客情報を別々に管理している場合、過去に失注したA氏とウェブサイトから資料をダウンロードしたA氏が同一人物として認識されず、新規顧客として扱われてしまいます。そのため、担当者は「はじめまして。弊社のサービスに興味を持っていただいてありがとうございます」とアプローチすることになってしまうのです。
このような事態を引き起こす背景は、顧客接点ごとに顧客データがばらばらに管理されていることです。ウェブサイトから得られるデータと営業担当者が属人的に保持しているデータが統合されていないため適切なアプローチができないのです。
オンライン・オフライン双方の顧客接点を一元管理が重要となる
では、どのような手段を用いて顧客接点を一元化すればよいのでしょうか。
顧客接点のデジタル化では、顧客データをいかに正確にデジタル化し、きちんと管理できるかが問われます。正確でない顧客データに基づいて活動すると営業のバッティングなどが発生し、適切なアプローチができないからです。顧客データをExcelで管理している会社はまだ多いでしょう。
経済産業省が発信するDX推進のファーストステップとしても、「顧客接点のデジタル化」が存在します。これを企業経営に活用していくためには顧客接点の一元管理に取り組むことをおすすめします。
DXのファーストステップとして顧客接点のデジタル化を
経済産業省がDXを推進しているが、分かりにくいと感じている担当者も多いでしょう。その際にはファーストステップとして顧客接点のデジタル化に取り組むことを推奨します。オフラインとオンラインそれぞれで生じた顧客接点を一元管理し、正確なデータベースとして活用することで、顧客への適切なアプローチが可能になるだろう。ぜひ一度、顧客接点の管理方法を見直してみてはいかがでしょうか。
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ライター
営業DX Handbook 編集部