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顧客ニーズとは?把握方法からウォンツ・KBFとの違いまで解説

顧客ニーズとは?把握方法からウォンツ・KBFとの違いまで解説

顧客ニーズとは、商品やサービスに対して、顧客が抱いている要求や期待などを指します。営業・マーケティング戦略において成果をあげるには、顧客ニーズの把握が欠かせません。

しかし、顧客ニーズをどのようにくみ取ればいいのか、具体的な把握方法がわからずお悩みの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、顧客ニーズとは何か基本から解説するとともに、顧客ニーズを正しく把握する方法を解説します。

ウォンツやKBF(重要購買決定要因)との違いも紹介するので、顧客ニーズについて一から知りたい方は参考にしてください。

顧客ニーズとは

顧客ニーズとは、顧客が抱く欲求や期待のことです。製品・サービスを利用することによって実現したい欲求、理想、悩みなども含まれます。

企業が製品やサービスを提供するうえでもっとも重要な要素であり、顧客の満足度やロイヤリティの向上には、顧客ニーズの正確な理解が欠かせません。

ウォンツとの違い

冒頭で説明した通り、顧客ニーズは顧客が抱える根本的な欲求や期待です。例えば、健康になりたい、ダイエットをして理想のスタイルになりたいといった目標は、顧客ニーズに該当します。

一方でウォンツは、そのニーズを満たすために必要な製品やサービスです。つまり、顧客ニーズを満たすための具体的な手段や解決策がウォンツと言えます。

「肌をきれいにしたい」というニーズであればスキンケア用品、「ダイエットで理想のスタイルになりたい」というニーズであれば低カロリー食品などが該当します。

KBF(重要購買決定要因)との違い

KBF(Key Buying Factor)は、顧客が商品の購入を決断する際に最も重視する要素です。具体的には、価格や品質、デザイン、ブランドイメージなどがあげられます。

一方で顧客ニーズは、顧客が抱く欲求や期待、悩みなどを指します。商品を購入する際には動機の一つとなりますが、購入の決断に直接影響するとは言えません。

つまり、顧客ニーズは購入動機の一つで、KBFは購入を決断させる要因となります。

顧客ニーズの種類

インサイトとニーズの違いを説明する図

顧客ニーズは、大きく分けて潜在ニーズと顕在ニーズの二つに分けられます。

潜在ニーズ

潜在ニーズとは、顧客自身が自分の欲求に気づいていない無自覚のニーズです。顧客がまだそのニーズを認識していない、あるいはニーズを満たす製品やサービスが存在しないことから、表面化していないものを指します。

例えば、「営業支援ツールを導入したい」という欲求は顕在ニーズですが、そこから深掘りすることで、

  1. 営業活動を効率化したい
  2. リソース不足を解消したい
  3. 十分なリソースで営業力を強化したい

などといった潜在ニーズが見えてくるでしょう。

顕在ニーズ

顕在ニーズとは、顧客自身が自分の欲求を自覚しているニーズです。自身の欲求・期待を明確に認識していることから、具体的な製品やサービスを求めていることが多いとされています。

例えば、「寝つきが悪いため新たな寝具に変えたい」、「エクセルでは限界になったので顧客管理システムを導入したい」といった要望は顕在ニーズに該当します。

顧客ニーズのくみ取りが重要な理由

顧客ニーズを適切にくみ取るのは、企業にとって不可欠な業務です。ここからは、なぜ顧客ニーズが重要視されるのか解説します。

顧客の購買意欲を喚起するため

製品・サービスを開発する際、顧客の購買意欲を喚起するためには、顧客ニーズの的確な把握が欠かせません。

アンケートやインタビューなどを実施し、顧客が抱える要望や悩みといった顕在ニーズを把握すれば、そのニーズをもとに顧客が求めている商品やサービスを提供できます。

それらを提供することで、顧客の購買意欲が高まるだけでなく、市場での優位性も確保できるでしょう。

また、ニーズを随時把握して品質改善を重ねていくことで、顧客からの信頼獲得にもつながり、リピーターの創出も可能です。

顧客満足度を向上させるため

売上向上のためのマーケティング施策を展開する際、顧客ニーズに沿った形に改善できれば、顧客満足度の向上につながります。

例えば、顧客の購買行動やアンケート内容などを分析し、そこから見いだせる潜在ニーズやインサイトなどをベースにすることで、マーケティング戦略を効果的に調整できます。

顧客が無意識に抱える要望や悩みに寄り添うことで、より強固な関係性を築けます。

また、顧客もまだ気づいていない潜在ニーズを把握することで、顧客の期待を超える体験を提供でき、ロイヤリティ向上の基盤ともなり得ます。

ターゲット層を明確化するため

ターゲット層を明確にするには、顧客ニーズの分析が非常に重要です。顧客ニーズを分析することによって、どのような顧客がどのような欲求・期待を持っているかを理解でき、ターゲット層をより具体的に整理できます。

例えば、顧客の年齢や性別といったデモグラフィックデータや購買行動などを分析し、特定のグループにフォーカスしたマーケティングも展開できるでしょう。

商品やサービスを改善するため

顧客ニーズを適切に理解することで、商品やサービスの改善点を発見でき、顧客満足度の向上や売上増加へとつなげられます。

例えば、顧客からのフィードバックや評価を収集・分析し、そこから得られた顕在ニーズや潜在ニーズをもとに商品・サービスを改善できれば、顧客との信頼関係を強化できるでしょう。顧客のニーズを反映させることで、競争力の向上にもつながります。

新たなビジネスチャンスを生むため

顧客ニーズの分析を通じて、これまでに想定していなかったニーズを発見できれば、新たな市場の開拓やビジネスチャンスの創出へとつながります。

市場調査やインタビューなどを通じて潜在ニーズを掘り下げし、顧客自身も気づいていないニーズに応える商品・サービスを開発できれば、新たな市場への進出も可能になります。

ニーズ分析で収集されたデータは、企業の戦略的意思決定にも貢献し、ビジネスの成功を長期的に支えることも期待できます。

顧客ニーズを把握するための方法6選

顧客ニーズを適切に把握するための方法として、代表的な調査方法6選を紹介します。

1.アンケート調査

アンケート調査は、対象者に質問票を配布し、回答を収集する方法です。定量調査や定性調査の両方に活用できます。

オンラインや郵送など多様な形式で実施でき、大規模なデータ収集が可能な点が特徴です。顧客の意見、行動などを幅広く把握したい場合にはとくに有効でしょう。

しかし、質問内容が曖昧だと正確なデータが得られないため注意が必要です。調査目的に沿った設問を適切に設計することで、商品やサービスの開発・改善へとつながります。

例えば、プラント建設事業・メンテナンス事業を軸に展開しているコスモエンジニアリング株式会社では、「Sansan」のアンケートオプションで顧客へのアンケート配信・回収をデジタル化し、収集された顧客の声をサービスの品質向上へと活用しています。

商品・サービスの開発だけでなく、品質マネジメントの徹底にも顧客ニーズの把握が効果的です。

2.インタビュー調査

インタビュー調査は、調査員が対象者に直接質問する方法です。顧客の深い意見、行動背景など引き出しやすく、現在抱えている課題の根本的な原因の究明や、解決策の立案にも役立ちます。

個別で行われるデプスインタビュー、複数人のグループインタビューのいずれかで行われることが多く、オンライン上で実施されることも少なくありません。

顧客の考えや商品の評価について詳しく知りたい場合にはおすすめの調査方法ですが、コストが高くなりやすい点には注意が必要です。

3.ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングは、SNSやWeb上の投稿を分析し、顧客ニーズやトレンドを把握する方法です。リアルタイムで顧客の声を収集でき、口コミや評判を分析すれば潜在的な課題も発見できます。

また、競合商品に対する評価、市場の最新トレンドについても把握でき、今後のアプローチを考える際に効果的です。

ただし、大量のデータを調査・分析するのは難しいほか、性別や年齢といった属性が判断しづらく、信頼性が低い点には注意しましょう。

4.行動観察調査(エスノグラフィー)

エスノグラフィーは、一定期間生活を共にし、日常行動を観察することで、潜在ニーズや深層心理を探る方法です。

商品やサービスの実際の使用状況を把握できることから、隠れていた潜在ニーズも見えてくるなど、新しいアイデアの創出に役立ちます。

一方で、1回あたりの調査人数が限られ時間もコストがかかるため、実施ハードルは高めです。

5.フォーカスグループ

フォーカスグループは、作為的に何人かを選び出し、小規模なグループで特定のテーマについて議論してもらうことで、意見や感情を収集する手法です。

商品やサービスに抱くブランドイメージ、新商品の評価などを確かめる際に効果的で、一度にさまざまな意見・見方について把握することができます。

注意点として、参加者によっては属性や意見に偏りが見られる場合もあるので、広く一般的な解釈を知りたい場合には適しません。

6.RFM分析

RFM分析は、「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3指標で顧客を分類・分析し、それぞれに適したマーケティング施策を立案する手法です。

優良顧客の特定、離反顧客への対応策立案などに効果的な手法で、リソース配分を適正化・効率化させたい場合にも有効と言えます。

しかし、自動車や大型家電など、購入頻度が比較的少ない商材に関してはあまり向いていません。また、購入者のライフステージの変化を考慮した分析ができないため、RFM分析単体で行うのではなく、他の手法と並行して行う必要があるでしょう。

顧客ニーズを事業に活用するための方法

収集・分析された顧客ニーズはどのように事業へ活用できるのか、主な方法を3つ紹介します。

抽象化した本質的価値を商品・サービスに転換できる

顧客ニーズを事業に活用する際、重要なのは顧客の真のニーズを抽象化することです。収集した顧客の意見をそのまま反映するのではなく、意見から深掘りできる本質的価値を抽出し、商品やサービスへと転換しましょう。

例えば、「家事を時短できる家電が欲しい」という意見がある場合、単に便利さを求めているだけでなく、「仕事や子育てで忙しい」、「睡眠時間が不足している」といった真の悩みが隠されており、「ゆっくりできる時間が欲しい」といった抽象的なニーズも見えてきます。

このような本質的ニーズを商品やサービスに反映させることで、顧客満足の向上につながります。

行動分析に基づいて最適な接触点で訴求できる

顧客ニーズを分析する際には、顧客の行動も分析対象となります。分析を通じ、顧客が商品を利用するタイミングや目的を把握できることで、最適な接触点が見えてくるでしょう。

例えば、顧客が購買するタイミングが季節によって変動するのであれば、季節に応じたキャンペーンを展開する必要があります。インターネット広告やSNSの運用もあわせて行い、認知度向上や新規顧客獲得へとつなげましょう。

顧客の購買履歴、問い合わせ履歴などからニーズを分析し、パーソナライズドマーケティングを展開することも効果的です。

潜在的なニーズをもとに新規事業の企画につなげる

顧客の潜在的なニーズを理解することで、新規事業の企画立案にもつなげることができます。ターゲットが必要とする商品は何か、なぜ必要なのか、解決したい問題は何かといった点を抽出し、新規事業の具体的なコンセプトを策定しましょう。

潜在的なニーズから新規事業を展開することで、これまでになかったような躍進的な商品・サービスを提供できると期待できます。

また、顧客自身も認識していなかったニーズに応えられることで、企業への信頼も高まるでしょう。

顧客ニーズをくみ取るためのポイント

最後に、顧客ニーズをくみ取るために押さえておきたいポイントを紹介します。

顧客情報をリアルタイムに一元管理する

顧客情報をリアルタイムに一元管理することは、顧客ニーズをくみ取るための重要なポイントです。

CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)などを活用すれば、顧客の購買履歴やコミュニケーション履歴を効率的に管理でき、購入傾向や好みの詳細な分析、ならびに適切な商品提案が可能となるでしょう。

また、CRMやSFAであれば、データをリアルタイムに更新・可視化できるため、分析の鮮度が保たれ、迅速な対応が可能です。

さらに、顧客のフィードバックを収集し、それをベースに商品やサービスを改善することで、顧客満足度の向上にもつなげられます。

顧客情報の一元管理は、顧客ニーズを理解し、適切に対応するための基盤となるでしょう。

チャットボットで問い合わせ内容を分析しニーズを把握する

チャットボットを活用することで、24時間態勢での顧客対応が可能になります。これにより、いつでも顧客の声を収集できるため、多くの問い合わせ内容からニーズを分析することができます。

さらに、チャットボットが収集したデータをもとに、顧客の行動パターンや傾向を分析すれば、ターゲットマーケティングを展開する際の戦略立案にも役立ちます。

顧客ニーズを理解し、迅速に対応するための重要なツールとして、チャットボットはおすすめと言えるでしょう。

テキストマイニングツールで顧客の声を可視化しトレンドをつかむ

テキストマイニングツールでは、顧客の検索語句や問い合わせ内容を分析し、顧客の生の声を可視化できます。これにより、顧客ニーズや最新トレンドを把握し、データに基づいた施策や改善につなげることができます。

例えば、特定の製品に関する検索が増えている場合、その製品のブラッシュアップ、新たなキャンペーンの展開などを検討できます。

まとめ

顧客ニーズとは、顧客が抱く欲求や期待を指し、企業が製品やサービスを提供する際にはもっとも重要な要素です。

アンケートやインタビュー、ソーシャルリスニングなどの調査を通じて適切に把握することで、新たな商品・サービスの改善だけでなく、リピーターの創出にもつなげましょう。

また、顧客ニーズを的確にくみ取るためには、CRMやSFAといったツールの活用も欠かせません。顧客ニーズの分析に向けたデータ収集や管理にお悩みの場合には、営業DXサービス「Sansan」を併用することもおすすめです。顧客ニーズ分析を無駄なく行いたいと考えている場合は、ぜひSansanの導入をご検討ください。

3分でわかる データ連携ソリューション顧客データに関する課題を解決し、活用しやすいデータに進化させる、Sansanの「データ連携ソリューション」についてご説明した資料です。

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営業DX Handbook 編集部

ライター

営業DX Handbook 編集部

Sansanが運営する「営業DX Handbook」の編集部です。DX推進や営業戦略、マーケティングノウハウなど、営業・マーケティング課題の解決に導く情報をお届けします。