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金融DXとは?課題と解決策・効果的な進め方から成功事例まで解説

金融DXとは?課題と解決策・効果的な進め方から成功事例まで解説

金融業界では、長年の商習慣や老朽化したシステムが足かせとなり、デジタル化が遅れてきました。しかし、フィンテック企業の台頭や顧客の非対面化が急速に進む中、DXへの取り組みは急務となっています。

本記事では、金融DXの基本的な定義から、業界が直面する「2025年の崖」やレガシーシステム問題といった深刻な課題、そしてDXを推進すべき理由を詳しく解説します。

金融DXとは

金融DXとは、デジタル技術を活用して金融業務やサービスを抜本的に変革する取り組みです。

顧客接点だけでなく、ビジネスモデルや業務そのものを変革することが求められます。

単なるツール導入ではなく、企業経営を変革するのが特徴です。

具体的には、以下のような取り組みが行われています。

  • AIによる融資審査の自動化・リスク管理の高度化
  • ブロックチェーンを活用した決済システムの構築
  • クラウドデータを用いた与信スコアリング

これらの機能は、フィンテック企業との協業を通じて広がってきました。

スマートフォン決済やロボアドバイザーも普及し、顧客が手軽に利用できる環境も整いつつあります。

また、近年はAXへの移行も加速しています。

AXとは、AIを組織の中枢に据えて経営・業務・人材を再設計する考え方です。従来のDXがデジタル化による構造変革を軸としていたのに対し、AXはAIを核とした次世代の変革フェーズといえるでしょう。

意思決定の高度化と人間との協働を実現する仕組みを構築することが、金融DXの本質とされています。

金融業界のDXに関する課題

金融業界のDX推進には、複数の深刻な課題が存在します。

システムの老朽化や組織文化、人材不足など、その障壁は多岐にわたるでしょう。
各課題について、順を追って解説します。

老朽化したレガシーシステム問題

1980年代に誕生した大規模システムは、複雑化・ブラックボックス化しつつあります。

メンテナンスや改修に多大なコストがかかり、新しい変化への対応も困難な状況です。IT予算の多くが既存システムの維持・保守に充てられていると指摘されています。最先端技術への投資が後回しになる「技術的負債」が深刻化している状況です。

資産情報を管理する性質上、強固なセキュリティーと安定稼働が最重要です。

複雑化したシステムの刷新自体が大きなリスクとなり、抜本的な改革が進みにくい状況となっています。

老朽化したシステムの刷新は、いまも道半ばです。経済産業省が2025年5月に公表した「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」では、ユーザー企業の約6割(61%)にレガシーシステムが依然として残存していることが明らかになりました。刷新が進まなければ、DXの停滞やシステム障害、保守コストの増大といったリスクは今後も続きます。

ハンコ・対面重視の組織文化

ハンコの使用や対面を重視する業務慣行は、金融業界でDXを進める際の障壁になり得ます。

印鑑を前提とした業務フローや対面取引の慣行は根強く、電子化への移行を阻んでいます。リスクを回避し安定性を重視する保守的な風土や縦割り構造が、全社横断的な変革を困難にしているでしょう。

単にツールを導入するだけでなく、業務フローや意思決定の進め方も含めて見直すことが重要です。組織文化の変化を伴う取り組みとしてDXを捉える必要があります。

デジタル人材不足と採用難

デジタル人材の不足と採用難も金融業界のDXに対する課題です。

IT業界や事業会社との人材獲得競争が激化しており、優秀なDX人材の採用コストは上昇しています。既存職員へのリスキリング体制が整っていない機関も多いです。人材育成の面でも課題が残っているでしょう。

IPAが2025年6月に公表した「DX動向2025」では、DXを推進する人材が「やや不足」「大幅に不足」と回答した日本企業は85.1%にのぼり、大半の企業で人材が足りていない実態が示されています。人材不足を感じる企業の割合は、米国やドイツと比べても突出して高い水準です

少子高齢化の影響も相まって、デジタル人材の確保はさらに困難になっています。採用と育成の両面から早急に手を打たなければ、DX推進そのものが立ち行かなくなるでしょう。

従来型収益モデルの転換

日銀は2024年にマイナス金利政策を解除し、2026年には政策金利を1.0%まで引き上げるなど、「金利のある世界」への移行が進んでいます。利上げは利ざやの改善要因となる一方で、従来型の収益モデルだけに依存する経営は転換点を迎えています。

人口減少を背景に融資先の企業数は減少傾向にあり、地域金融機関同士の競合も激しさを増しています。金利環境が変化しても、融資による利ざやだけで安定的に収益を確保することは容易ではありません。

加えて、キャッシュレス決済やオンライン証券、アプリ型サービスなど、デジタルを前提とした金融サービスも広がっています。

こうした変化に対応するには、顧客接点の見直しや業務効率化だけでなく、データ活用を通じた新たな提案力の強化も重要です。

金融DXを推進すべき理由

「2025年の崖」への対応

「2025年の崖」への対応は、金融機関にとって避けられない経営課題となっています。

老朽化したシステムの保守を担うエンジニアの退職が相次いでいる状況です。古い言語を扱える技術者の不足により、維持管理コストが急増しています。

「2025年の崖」は2018年に経済産業省が警鐘を鳴らした課題ですが、2025年を過ぎた現在も解消されていません。経済産業省・デジタル庁・IPAがまとめた「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」(2025年5月)では、ユーザー企業の約6割にレガシーシステムが残存し、放置すれば自社だけでなくサプライチェーン全体に悪影響が及ぶと指摘されています。

また、サイバーセキュリティーの脆弱化や、データ流出などのリスクも年々高まっているでしょう。技術的負債の蓄積により、最先端技術への投資が後回しになっている状況です。

DXを推進し技術的負債を早期に解消することが、競争力維持のための急務になります。

顧客の非対面化と競争激化

顧客ニーズは利便性の高いデジタルサービスへと急速に移行しています。

スマートフォンの普及やコロナ禍を経て、銀行窓口を介さない非対面取引が一般化しました。スマホ決済やロボアドバイザーを展開するフィンテック企業の参入も加速しています。従来の金融機関では困難な速度と利便性で、既存のシェアを脅かしてきました。

サービスの体験価値を高め続けなければ、顧客離れを招きかねません。

デジタル化で顧客自身が情報を取得しやすくなり、対面営業の付加価値が低下しています。

非対面チャネルを通じた新たな顧客接点の構築が、今後ますます重要になっていくでしょう。

労働力不足と生産性向上

少子高齢化に伴う労働力不足に対処するには、DXによる業務効率化と自動化が不可欠です。

IPA「DX動向2025」によれば、DXを推進する人材が不足していると回答した日本企業は85.1%に達しており、対応が急がれています。

維持・保守業務に拘束されていたIT人材を、高付加価値分野へシフトさせることも重要です。

限られた人材でより多くの業務をこなす体制が整えば、組織全体の生産性を抜本的に改善できるでしょう。

金融DXの具体的な施策と手法例

金融DXの推進にあたっては、自社の課題に合わせた具体的な施策を選ぶことが重要です。代表的な施策と手法について、順を追って見ていきましょう。

業務プロセスの自動化・ペーパーレス化

業務プロセスの自動化・ペーパーレス化は、金融DXを推進するうえでの第一歩です。

紙やハンコを前提とした業務フローが定着しており、効率化の足かせとなっています。電子契約やRPAの導入は、定型業務の自動化・ペーパーレス化を進める手段の一つです。

コスト削減や人的ミスの防止だけでなく、迅速な顧客対応の実現につながる可能性があります。

事務作業の時間を削減できれば、営業担当者が高付加価値業務に集中できる環境が整うでしょう。自動化の推進は、組織全体の生産性を底上げする取り組みです。

非対面チャネル・顧客接点のデジタル化

非対面チャネルの拡充は、金融機関にとって急務の課題です。

従来の対面営業だけでは、多様化する顧客ニーズを満たせません。Web完結の手続きやオンライン面談など、非対面の顧客接点を拡充することが求められています。

デジタルチャネルの構築は、顧客の利便性向上と他社との差別化において重要です。

行動履歴や潜在ニーズを分析することで、顧客ごとに適した提案が可能になります。一人ひとりに最適な金融商品を届けられる体制こそ、競争優位の源泉となっていくでしょう。

データ活用による営業体制の高度化

情報の属人化を解消し、顧客データを一元管理することが営業体制の高度化に不可欠です。

担当者が個別に名刺情報を管理しており、組織的なアプローチの妨げとなっています。個人管理のままでは、担当者の異動時に顧客接点が失われるリスクを防げません。

CRMや名刺管理システムで情報をデジタル化し、組織全体で一元管理することが重要です。

人脈やコンタクト履歴をデータベース化することで、個人の資産を組織全体で活用できる人脈へと転換できます。全社でデータを共有・活用することで、データドリブンな戦略的営業活動を持続的に展開できるでしょう。

金融DXの効果的な進め方

金融DXを効果的に進めるには、場当たり的な導入ではなく、段階的かつ戦略的なアプローチが求められます。

特に金融業界では、業務の複雑さや既存システムの影響を踏まえた設計が重要です。

ここでは、金融DXを成功に導くための具体的な進め方について解説します。

現状課題の洗い出し

金融DXを成功させるには、まず現状課題の洗い出しが不可欠です。

課題が不明確なままでは、DXの効果は限定的になります。

DXは業務改善が目的であるため、窓口の待ち時間や紙中心の業務など、非効率なプロセスを見直す必要があります。また、既存システムの棚卸しを行い、依存関係や技術的課題を把握することも重要です。

各部門のデジタル成熟度を評価し、改善効果の高い領域を特定します。
これにより、効果的なDX推進が可能になります。

優先順位の決定

金融DXは、課題の優先順位を明確に定めて進めることが重要です。

すべてを同時に進めるのではなく、効果とリスクを見極めた段階的な推進が求められます。

なぜなら、DXは投資規模が大きく、進め方を誤るとリスクが高まるためです。緊急性や経営への影響度を基準に優先順位を設定することで、成果を出しやすくなります。

具体的には、まず影響範囲を限定した小規模な検証から着手しましょう。

その中で得られた成功事例をもとに他部署へ展開することで、組織全体の理解と協力を得やすくなります。段階的に進めることでリスクを分散し、学習を次の施策に生かすことが可能です。

このように、優先順位を明確にした段階的な推進が、金融DXの成功確率を高めます。

解決策・ツールの選定

金融DXでは、自社の課題に合った解決策やツールを慎重に選ぶのもポイントです。

導入時の話題性ではなく、実務で継続的に活用できるかを基準に判断する必要があります。

コストや機能が自社のニーズに合わないツールは、導入後に定着せず損失につながるでしょう。また、短期的な利便性だけでなく、将来的な拡張性まで見据えることも欠かせません。

具体的には、導入コストや維持費を比較したうえで、クラウド活用によるコスト削減、AIや生成AIによる自動化、オープンAPIによるサービス連携など、複数の選択肢を検討します。

検証段階では、どこまで自社で担い、どこを外部に任せるかも含めて整理しておくことが大切です。

実用性と将来性の両面から解決策・ツールを選定することが、金融DXの成果を左右します。

予算の確保

金融DXにおいては、中長期的な視点での予算確保が不可欠です。

短期的な成果のみを基準に据えると、真の効果が顕在化する前に施策が停滞してしまうリスクがあります。

DXツールは組織への定着や投資回収に一定の期間を要します。初期投資と維持費を踏まえた事前試算が重要です。期待される価値を、導入前に多角的にシミュレーションしておきましょう。

具体的には、業務効率化によるコスト圧縮や回収率向上を数値化します。

例えば、督促業務をボイスボット化し、採用・教育コストの削減分を算出。長期的な利益が見込める施策へ優先的に予算を配分します。

投資対効果を見据えた戦略的な予算設計こそが、金融DXを継続的に推進するための盤石な基盤となります。

導入・運用と継続的改善

金融DXの真価は、導入後の運用と継続的な改善を通じてこそ発揮されます。

単なるツール導入にとどまっていては、得られる効果も限定的です。

具体的には、ツールの積極活用と並行して旧来の非効率な業務を大胆に廃止し、生産性を最大化させます。

また、導入初期に生じやすいナレッジ不足や情報共有の課題は、その都度迅速に軌道修正を行います。自社の実態に即した形へと最適化していく姿勢が重要です。

KPIや撤退基準をあらかじめ定義し、状況に応じた客観的な意思決定ができる体制を構築します。既存システムの保守リソースを戦略的に新領域へシフトさせることで、持続的な価値創出を実現します。

金融DXの導入に関する成功事例

金融DXは、適切に導入することで営業成果や業務効率を大きく向上させます。

実際の成功事例を把握することで、自社における活用イメージを具体化できるでしょう。

ここでは、金融DXによって成果を上げた代表的な事例について解説します。

法人営業で新規契約数が30%増になった事例

株式会社クレディセゾンは、名刺情報が個人管理にとどまるという課題を抱えていました。

Sansanを導入し、個人の人脈を全社で共有・可視化する体制を構築しています。他部署の接点や商談履歴を事前に把握できることが、営業効率化につながる重要なポイントです。

導入後1年間で法人領域の新規契約数および商談数が前年比30%増という成果を創出しました。

名刺管理を軸とした営業基盤の刷新が、組織的な営業力強化と収益拡大に直結することを示した事例です。Sansanの活用が、金融業界における営業体制変革の有効な手段と言えるでしょう。

参照:法人領域での新規契約数・取引商談数が 導入後1年間で30%増を実現。

名刺管理システムを9名から全社1200名へ拡大した事例

JA三井リース株式会社では、2013年に9名でテスト利用を開始し、2016年には全社約1200名へ導入を拡大しました。

名刺データの個人管理や異動時の非効率な引き継ぎという課題を解決するための導入です。全社展開にあたり、名刺を会社の資産と捉える意識を社員に浸透させる啓蒙活動も実施しました。

コーポレートライセンスの採用により、コストをID単位課金と比較して約半分に抑えられました。

接点情報や昇進・昇格情報の可視化により、異動時の引き継ぎがスムーズになり組織的な営業が加速しました。先行導入でノウハウを蓄積しながら、全社展開を果たした成功モデルです。

参照:9名で利用開始、2年後には全社1,200名へ。先行導入により社員を啓蒙したことで、リスクを最小限に抑えて拡大できました。

属人化していた情報をデータ化して顧客接点を改善した事例

株式会社静岡銀行では、行員の人脈が組織内で共有されず、営業活動に生かせていないことが課題でした。既存の顧客情報管理システムも活用されておらず、名刺は個人管理にとどまっていました。

働き方改革の一環でスマートフォンを支給したことを機に、Sansanを導入。名刺をデータ化して人脈を可視化し、他部署の人脈を営業活動に生かせる環境を構築しました。

名刺管理の工数を全行で月約500時間削減し、メールアドレスも1年4カ月で約10倍に増加しました。属人化した情報のデータ化が、営業力強化とデジタルマーケティング基盤の構築につながりました。

参照:属人化していた情報がデータ化され、 デジタルマーケティングに活用できることは 大きなメリットです

まとめ

金融DXでは、単にツールを導入するのではなく、顧客データや接点情報を蓄積し、組織で活用できる状態をつくることが重要です。

金融業界では、レガシーシステム、人材不足、対面中心の業務慣行など、さまざまな課題があります。こうした課題に対応するには、まず顧客情報をデジタル化し、部門をまたいで共有・活用できる基盤を整えることが欠かせません。

そのうえで、名刺情報や商談履歴、接点情報を一元管理できれば、アプローチ先の選定、引き継ぎ、営業活動の見直しまで進めやすくなります。事例でも、顧客接点の可視化や情報共有が、営業体制の整備や業務効率化につながっています。

2025年の崖を乗り越え、持続的な収益強化を実現するために行動することが求められます。まずはSansanで顧客接点を組織資産へと変え、データドリブンな営業体制への移行を検討するとよいでしょう。

3分でわかるSansanビジネスデータベース「Sansan」について簡潔にご説明した資料です。

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営業DX Handbook 編集部

ライター

営業DX Handbook 編集部

Sansanが運営する「営業DX Handbook」の編集部です。DX推進や営業戦略、マーケティングノウハウなど、営業・マーケティング課題の解決に導く情報をお届けします。