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リードタイムとは?業種ごとの定義の違いと種類・計算方法について解説
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リードタイムとは業務や作業の開始から完了までにかかる所要時間のことです。リードタイムの短縮は、業務効率化と顧客満足度の向上に直結します。本記事では、リードタイムの基本的な定義や各工程のリードタイムの種類、計算方法、そして短縮のための具体的な方法について解説します。リードタイムの課題を明確にし、生産性向上につなげていきましょう。
いま、企業が注目するDXとは
リードタイムとは
リードタイムとは、工程や作業に着手してから完了するまでにかかる所要時間のことです。
この期間は、業種や作業の内容によってスタート地点とゴール地点が異なります。
例えば、製造業では原材料が工場に届いてから製品が完成して出荷されるまでの時間がリードタイムとなります。一方、サービス業では、顧客から問い合わせを受けてからサービスを提供し終えるまでの時間がリードタイムに該当します。
リードタイムを把握することで、業務プロセスの効率化や納期調整の精度を向上させることが可能です。
リードタイムと納期の違い
リードタイムと納期は似たような文脈で使用されますが、その意味合いは異なります。
リードタイムは、特定のプロセスにかかる所要時間です。
一方、納期は顧客に商品やサービスを納品する期限を意味します。
例えば、製造業においてリードタイムは、部品の調達や組み立て、検査にかかる時間を含む一連のプロセスの所要時間になります。一方、納期は顧客に商品を届けるまでの締め切り日です。
リードタイムを正確に把握することで、納期に余裕を持たせ、遅延を未然に防ぐことができます。これらはスケジュールを組む際の重要な要素であり、どちらか一方だけに注目するのではなく、両方を考慮した計画が重要です。
リードタイムの種類
リードタイムと一口に言っても、業界や業種によってさまざまな意味のリードタイムがあります。製造や物流におけるリードタイムについては、主に工程ごとに4つにわけることができ、すべてを合わせてトータルリードタイムと呼ばれています。

ここではリードタイムの種類や、それぞれの詳細について見ていきましょう。
開発リードタイム
開発リードタイムとは、製品やサービスの企画からリリースまでにかかる時間です。
このリードタイムには、企画や設計段階から始まり、試作やテストを経て最終リリースに至るすべての工程が含まれます。製品やサービスの市場投入を迅速に進めるには、開発リードタイムの効率化が重要です。
生産リードタイム
生産リードタイムは、製造開始から完成までにかかる期間です。
この過程には、加工や組み立て、検査、待ち時間などが含まれます。特に工程内で発生する停滞時間は無駄となる可能性があり、リードタイム短縮の大きなポイントとなるでしょう。
また、生産リードタイムが長い場合、仕掛在庫が増え、管理やスペースに負担がかかりやすくなるため注意が必要です。
調達リードタイム
調達リードタイムとは、生産に必要な資材や部品を発注してから納品されるまでの期間を指します。
新規の発注の場合は時間がかかる一方で、リピート発注では効率的に進むことが多いです。安定した供給を確保するために、調達リードタイムを最適化する取り組みが求められます。
物流リードタイム
物流リードタイムは、製品の出荷指示を出してから配達先に納品されるまでの期間です。
この過程には、在庫確認、ピッキング、検品・梱包、配送業者への引き渡しといった作業が含まれます。物流リードタイムの改善により、顧客満足度の向上やコスト削減を図ることが可能です。
リードタイムの計算方法

リードタイムを正確に把握することは、業務の効率化や納期管理において欠かせないプロセスです。
ここでは、リードタイムを計算するための基本的なステップを解説します。
1.工程の分解と時間を測定する
まず、製造や出荷などの各プロセスを細かく分解し、それぞれにかかる時間を計測しましょう。
例えば、原材料の加工から組み立て、検査、梱包といった段階に分け、それぞれの所要時間を記録します。このプロセスにより、リードタイムの内訳が可視化され、どの工程で時間がかかっているのかが一目でわかるようになります。
また、計測は1回だけではなく、複数回行い平均値を算出することで、より正確なデータを得ることが可能です。これにより、計測誤差や異常値の影響を排除しやすくなります。
2.標準時間を活用してズレがないか確認する
次に各工程の実際の所要時間を、設定された標準時間と比較します。
標準時間とは、過去のデータや平均をもとに計算された基準値のようなもので、効率的な作業が行われているかどうかを判断する指標です。
例えば、組み立てにかかる時間が標準より長い場合、手順や作業方法に改善の余地があると考えられます。このようにズレを特定し、その原因を分析することで、ボトルネックや非効率な箇所を明確にできます。
3.各工程の時間を合計してリードタイムを算出する
最後に、分解した各工程の時間を合計して、全体のリードタイムを算出しましょう。
例えば、生産工程では、原材料の加工に2時間、組み立てに3時間、検査に1時間かかる場合、これらを合計して6時間とします。この際、各工程の間に発生する待機時間や移動時間も加味することで、より正確なリードタイムの算出が可能です。
各工程の時間を厳密に計算することで、改善点のあぶり出しがスムーズに行えるようになるでしょう。
リードタイムを短縮するメリット
ここからは、リードタイムを短縮するメリットについて解説します。
1.在庫コストの削減
リードタイムを短縮すると在庫を抱える期間が短くなり、在庫コストの削減が可能です。
例えば、製造業では仕掛在庫や完成品を保管するスペースが減少し、倉庫の維持費や管理費を削減できます。さらに、過剰在庫を防ぐことで、資金を効率的に活用できる点も大きなメリットです。
結果として、浮いた資金を設備投資や新規事業の開発など、成長のための施策に充てられるようになります。特に、消費財を扱う企業では、在庫ロスや陳腐化のリスクも減少し、財務面での健全性を保つことが期待できるでしょう。
2.顧客満足度の向上
リードタイムの短縮により、顧客への納品スピードが向上します。
例えば、緊急の納品依頼や即時対応が必要な場面でも柔軟に対応できるため、顧客の信頼を得ることができます。また、迅速なサービス提供により、顧客は「待たされる」ストレスを感じることが少なくなり、満足度向上が実現できるでしょう。
このような顧客体験がポジティブな口コミやリピートにつながり、結果的に新規顧客の獲得や長期的な取引関係の構築にも寄与します。
3.競争力の強化
リードタイムを短縮することで、他社との差別化ポイントを明確にし、競争力の強化につながります。
例えば、新製品の市場投入を他社よりも早く行うことで、顧客の注目を集めやすくなるでしょう。また、スピーディーな対応は、信頼関係の構築にも寄与し、既存顧客との取引を継続させる要因になります。
特に競争の激しい業界では、納品やサービス提供のスピードが勝敗を分ける重要な要素となるため、迅速な対応を武器に市場での優位性を確立できます。
4.生産効率の向上
リードタイム短縮は、生産プロセス全体の効率化にも直結します。
各工程での待機時間や非効率なプロセスを見直すことで、無駄を排除し、生産ラインの稼働率を向上できるでしょう。
例えば、生産計画をより詳細かつ柔軟に組み立てられるようになり、需要変動にも迅速に対応可能です。これにより、限られたリソースでの生産量を最大化し、収益性を高めることができます。
5.キャッシュフローの改善
リードタイムの短縮は、売上回収までの時間を短くするため、キャッシュフローの改善に大きく貢献します。
例えば、製品の完成から顧客への納品、そして売掛金の回収までが迅速化されることで、資金繰りが安定します。これにより、急な経費支出や新たな投資機会にも柔軟に対応できるようになるでしょう。
特に資金繰りが重要なスタートアップ企業や成長段階にある企業にとって、このメリットは事業の拡大に大きな後押しとなります。
リードタイムを短縮する方法

リードタイムを短縮するには、工程ごとに具体的な改善策を講じることが重要です。
以下では、開発、生産、調達、物流の各リードタイムにおける短縮方法を詳しく解説します。
開発リードタイムの短縮方法
開発リードタイムを短縮するためには、開発プロセス全体を見直して無駄な手順を削減する意識が重要です。
例えば、同じ部品や資材を複数の製品で共通化することで、設計や試作の手間を削減できます。また、社内の意思決定プロセスを簡略化するなども効果的です。特に、承認フローが複雑な場合、会議の回数を減らし、デジタルツールを活用してリアルタイムに承認を進める仕組みを導入するとよいでしょう。
こうした取り組みにより、製品の市場投入までの期間を短縮できます。
生産リードタイムの短縮方法
生産リードタイムを短縮するためには、生産工程の仕組み化と定期的な見直しが必要です。
例えば、工程ごとに所要時間を計測し、停滞している箇所を特定して改善することで、無駄を排除できます。自動化設備の導入や作業手順の標準化を進められれば、生産効率の向上が可能です。
定期的にプロセスを評価し、新しい方法を取り入れる柔軟性も重要です。これにより、生産ラインの稼働率を向上させ、コスト削減と納期短縮を同時に実現できます。
調達リードタイムの短縮方法
調達リードタイムを短縮するためには、必要在庫を適切に把握し、前倒しで発注する仕組みを整えることが大切です。
複数の仕入れ先を確保することで供給の安定性を保ちつつ、納期リスクを軽減できます。書類業務をデジタル化し、発注漏れや連携ミスを防ぐシステムを導入すれば、効率的な調達が可能です。
例えば、クラウド型の調達管理ツールを活用すると、リアルタイムで在庫状況を把握しつつスムーズな発注プロセスを構築できるでしょう。
物流リードタイムの短縮方法
物流リードタイムの短縮には、在庫管理やピッキング、検品・梱包といった工程の無駄の見直しなどが有効です。
例えば、倉庫のレイアウトを最適化すると、作業者の移動時間を削減できます。また、デジタルツールを導入して、伝票処理や発送通知を自動化することで、作業スピードの向上が可能です。
配送業者との連携を強化し、出荷スケジュールの見直しまで進めると、最短で納品できる体制を整えられるでしょう。
営業におけるリードタイムとは
営業におけるリードタイムとは、見込み客(リード)を獲得してから、受注や契約手続きが完了するまでの期間を指します。

リードタイムを短縮することで、営業活動が効率化されて成約率や顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
具体的には、リード獲得から商談獲得、さらに受注・契約手続きといった各工程でかかる期間を細かく把握することが重要です。
例えば、リード獲得に時間がかかっている場合、マーケティング活動や初期アプローチの方法を見直す必要があるかもしれません。
一方、商談獲得後に長時間停滞するケースでは、見積もり作成や提案資料の準備が遅れている可能性があります。
営業リードタイムを可視化し、無駄な時間を特定して改善を重ねることで、より迅速かつ効率的な営業プロセスを構築できます。
営業のリードタイムが長くなる原因
営業リードタイムが長くなる原因は、社内外のさまざまな要因に起因します。
以下に、主な原因を詳しく解説します。
社内の連携が取れていない
営業チームと他部署間の連携が不十分だと、見積もりや提案に必要なデータがそろわず、対応が遅れることがあります。
例えば、製造部門や在庫管理部門と適切な情報共有ができていない場合、在庫状況の確認に時間がかかり、顧客への納期回答が遅延するケースがあります。このような連携不足は、顧客満足度を低下させるだけでなく、受注の機会を逃すリスクも伴うため注意が必要です。
顧客情報の管理ができていない
顧客情報が分散管理されていると、営業担当者が最新の連絡内容や顧客ニーズを正確に把握できません。
その結果、適切なタイミングでのフォローが難しくなり、商談の進行が遅れる可能性があります。例えば、顧客の問い合わせ履歴や商談内容が一元管理されていない場合、重要な連絡事項を見落としたり、セールスのタイミングを逃したりなどの機会損失リスクがあるでしょう。
ミスを防ぐためには、CRMツールなどを活用して情報を一元化し、営業チーム全体で共有する仕組み作りが必要です。
顧客の意思決定プロセスが複雑
BtoB営業では、顧客側の意思決定プロセスが複雑であることがリードタイムを長くする主な原因の1つです。
複数の意思決定者が関わるケースでは、承認フローに時間がかかることが多く、営業活動を円滑に進めるのが難しくなる場合があります。
このような状況に対しては、事前に必要な資料やデータをそろえて顧客の承認プロセスをサポートすることが大切です。
例えば、提案資料や見積もりをあらかじめ準備し、顧客の決裁権限者に対して分かりやすく説明するといった対策が有効です。
営業リードタイムを短縮するメリット

営業リードタイムを短縮することは、営業プロセスの効率化に直結し、企業の成長や収益向上に多大な影響を与えます。
以下で具体的なメリットについて見ていきましょう。
商談管理と成約率の向上
リードタイムが短縮されると、見込み客からの問い合わせや資料請求への対応スピードが向上します。
これにより、商談開始までの時間が短縮され、迅速な対応が可能になるでしょう。
例えば、競合他社よりも早い段階で提案を行うことで、顧客の関心を引きつけやすくなります。顧客の課題を解決する提案をタイムリーに提供できると信頼を得やすくなり、成約率が向上する可能性が高まります。
また、商談が早く進むことで、次の案件に着手するまでのリードタイムも短縮され、営業全体の効率化につながるでしょう。
顧客満足度と信頼関係の向上
リードタイムを短縮することで、顧客からの緊急対応や即納希望にも柔軟に応えられるようになります。
例えば、製品やサービスの納品を早められると、顧客は「迅速な対応をしてくれる信頼できる企業」という印象を持つでしょう。この信頼は、リピート注文や長期的な取引関係の構築に貢献します。
迅速な対応が可能になることで、競合他社との差別化が図れるだけでなく、顧客満足度を大幅に向上できるなどのメリットも得られるでしょう。
営業チームの稼働率の向上
リードタイム短縮により営業プロセスが効率化されると、営業担当者は新規案件の獲得や既存顧客のフォローに多くの時間を割けるようになります。
例えば、商談準備や提案資料の作成にかかる時間を短縮できると、担当者はより多くの商談を進めることが可能になります。これにより、営業チーム全体の稼働率が向上し、同じリソースでより多くの成約件数や売り上げを達成できるようになるでしょう。
効率化されたプロセスは、営業部門のパフォーマンスを最大化する重要な要素となります。
営業のリードタイムを短縮する方法
営業のリードタイムを短縮するためには、現在のプロセスを可視化し、効率化のための具体的な施策を講じることが重要です。
以下で詳しく見ていきましょう。
プロセスを可視化してボトルネックを特定する
営業リードタイムを短縮する第一歩は、現在のプロセスを可視化し、どこに無駄が発生しているかを特定することです。
例えば、提案資料の作成や見積もり、情報共有の段階で時間がかかっている場合、それらがボトルネックとなっている可能性があります。
具体的には、各工程にかかる時間を計測し、遅延の原因を明確にする対策が必要です。見積もり作成に時間がかかる場合は、テンプレートを活用して作成時間を短縮できるかもしれません。
ボトルネックを特定することで、効果的な対策を講じるための基礎が構築できます。
インサイドセールスを導入する
インサイドセールスは、電話やメールを活用したリード育成や迅速なフォローアップを目的とした営業手法で、リードタイム短縮に効果的です。
例えば、見込み顧客への初期対応をインサイドセールスが担当することで、営業担当者は商談に集中できる環境を整えられます。具体例として、リードが初めて問い合わせを行った際、即座にインサイドセールスが連絡を取り、顧客のニーズを把握して必要な情報を提供します。
このプロセスにより、商談開始までの時間が短縮されて成約率の向上が期待できるでしょう。
効率化のためのツールを導入する
営業活動の効率化には、CRM(顧客関係管理)、SFA(営業支援)、MA(マーケティングオートメーション)などのツールを導入するのが効果的です。
これらのツールを活用することで、顧客情報や商談データを一元管理し、必要な情報を迅速に検索できるようになります。例えば、CRMを使用すれば、顧客との過去のやり取りや商談履歴を即座に確認でき、次のアクションを迅速に計画できるでしょう。
また、MAツールを活用すれば、リードの行動履歴に基づいて適切なタイミングでフォローアップを行うことが可能です。
自社に合ったツールを導入することで、リードタイムの短縮が実現し、営業活動の生産性が向上できます。
まとめ
リードタイムの短縮は効率化や成約率向上に直結します。
そのため、まずは自社のリードタイムを計算して、無駄な業務が発生していないかチェックしてみるとよいでしょう。
営業のリードタイムを短縮したいと考えている場合は、Sansanが役立ちます。
Sansanは、名刺や企業情報、営業履歴を一元管理して全社で共有できるようにすることで、売上拡大とコスト削減を同時に実現する営業DXサービスです。
Sansanを利用することで、名刺関連業務や商談準備を効率化し、削減した時間を顧客対応に充てることで新たな営業機会を創出した事例もあります。
また、顧客情報の一元化や自動更新により、情報共有が円滑になり、商談も効率的に進行できるでしょう。
営業の生産性や成約率を向上したいと考えている場合は、この機会にSansanの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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ライター
営業DX Handbook 編集部