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ロープレとは?効果ややり方、実施のポイントを解説
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ロープレは営業パーソンの育成方法の一つで、実践的な商談練習を行う手法です。ロープレを行うことで個々の営業パーソンの営業スキルが向上し、結果的に会社全体の営業力を高められます。
本記事では、ロープレの概要や種類、ロープレによってもたらされる効果を解説します。ロープレのやり方や効果を高めるポイントも紹介するので、組織的な営業力の向上をお考えの担当者様はぜひ参考にご活用ください。
ロープレとは
ロープレとは、営業における人材育成・学習方法の一つで、ロール(role・役割)プレーイング(playing・芝居)を省略した言葉です。
営業において行うロープレでは、営業役と顧客役をそれぞれに決めて商談の練習を行います。あらかじめ想定されるシーンにおいて各役割を演じることで、課題解決や提案を通じて営業スキルを磨きます。
ロープレの目的
ロープレを行う目的は、営業パーソンの営業スキルを向上させ、会社全体の営業力を強化させることです。ロープレによって想定されるシーンを練習しておくことで、個々の営業パーソンの営業スキルへの理解や場慣れを促します。
また、上司や同僚など第三者からのフィードバックを受けることにより、営業パーソンの持つ課題や改善策を把握し、営業活動をブラッシュアップするのもロープレの目的です。
営業ロープレの形式
営業ロープレには、次の4つの形式があります。
- ケース型ロールプレーイング
- グループロールプレーイング
- モデリング型ロールプレーイング
- 問題解決型ロールプレーイング
各ロープレの形式の特徴や最適な活用シーンについて解説します。
ケース型ロールプレーイング
ケース型ロールプレーイングとは、特定の営業シーンを想定して行う、実践的なロープレです。営業先企業や担当社員、対象商材、先方が抱える課題感、シーンなどの条件を明確に設定し、リアルな状況を再現します。テレアポやヒアリング、会社紹介、サービス説明、クロージングといったシーンの練習に向いています。
ケース型ロールプレーイングでは、より具体的な状況を再現するのが大切です。例えば、先方の担当者が提示しそうな内容を織り込んだり、解決策を即時に提案するなど、実際の現場と同じ対応を行うことで、営業パーソンに気付きを与え、改善につなげます。
グループロールプレーイング
グループロールプレーイングとは、複数のグループに分けてさまざまな役割を交互に演じながら行うロープレです。
さまざまな役割を担当することで、営業に限らず顧客の視点からもシミュレーションして営業活動を把握できます。顧客の立場に立って考える力を養ったり視野を広げられるため、顧客視点に課題を持つ営業に向いています。
モデリング型ロールプレーイング
モデリング型ロールプレーイングとは、代表者となる営業パーソンのロープレをほかの営業パーソンが見て、まね(モデリング)をしながら行うロープレです。
モデリング対象は、営業において高いスキルを持つトップ営業パーソンです。優れたスキルを営業部署全体に共有してスキルの平準化や強化を図り、それぞれの営業パーソンが商談に臨機応変に対応できるようにします。
問題解決型ロールプレーイング
問題解決型ロールプレーイングとは、実際に起きた問題や営業が取り組むべき課題に対して、解決方法を取り上げながら行うロープレです。
例えば、失注になった案件や、クレームにつながった案件などを取り上げ、どのように解決すべきかを習得するのに向いています。新人だけでなくベテランの営業パーソンもともに問題解決型ロールプレーイングを行いスキルアップをめざすことで、営業全体の生産性向上につながるでしょう。
ロープレの効果
ロープレを実践することで、次のようなメリットがもたらされます。
- 効率的に営業スキルを高められる
- 課題・改善点にアプローチできる
- 商品・サービスへの理解が促進される
- ノウハウがチームに共有される
効率的に営業スキルを高められる
ロープレでは実際の商談を想定して練習を行えます。座学では得られない経験を通して、効率的な営業スキルの向上が期待できるでしょう。
スキル習得方法には、ロープレのほかにOJTもあります。ロープレは主に社内メンバーとのシミュレーションを想定して訓練するため、顧客に対する失敗のリスクが低く、何度も繰り返して実施できるのが特徴です。得られた時間で効率的にスキルを身につけられるので、新人研修としても有効活用できます。
課題・改善点にアプローチできる
ロープレの実施は、課題や改善点の把握につながります。また、他者から客観的なフィードバックを受けることで、営業パーソンがそれぞれ抱えている課題や改善点を洗い出すことも可能です。各営業パーソンの課題にフォーカスしたロープレをさらに重ねて行えば、実践的な動きの中で課題を克服できるでしょう。
商品・サービスへの理解が促進される
商品やサービスへの理解が促進されることもロープレに期待できる効果です。例えば、営業ロープレで自社の商品やサービスについて自分の言葉で話す機会を設けることで、営業パーソンの商品への理解を深められます。実際の顧客への営業時に自信を持ってセールスしやすくなるでしょう。
ノウハウがチームに共有される
優秀な営業パーソンのノウハウを共有できることもロープレによってもたらされる効果です。営業は属人化しやすい業務であり、ノウハウの共有が課題になりがちです。
複数名で行うグループロールプレーイングやモデリング型ロールプレーイングを実施すれば、トップ営業パーソンや個々の営業パーソンが持つテクニックや勝ちパターンなどのノウハウを共有できます。成功例がチームに共有されることで、結果的にチーム全体のスキルの底上げにもつながるでしょう。
ロープレのやり方・進め方
一般に、ロープレは次の流れで実施されます。各手順でどのようなことを行うのか詳細を理解することで、より効果的なロープレを実施できるでしょう。
- ロープレの形式・テーマの設定
- 役割の決定
- 事前準備
- ロープレの実施・実施後のフィードバック
1. ロープレの形式・テーマの設定
最初に、目的に沿ったロープレの形式やテーマを設定します。このとき留意したいのが、目的とテーマとの不一致です。実践で役立つロープレを実施するには目的とテーマを一致させることが肝要です。
例えば、以下のような形式やテーマを設定しましょう。
例①
ケース型ロールプレーイングにて実施。初回面談のアポを獲得したが、十分な顧客情報を有していない状況。まずは顧客に課題解決の意識を持ってもらうための商品説明をロープレにて行う。 |
例②
モデリング型ロールプレーイングを実施。新人の営業パーソンがトップ営業パーソンの成功例を学ぶため、価格や納期交渉など顧客の意思決定を促す流れをロープレにて習得させる。 |
また、1回あたりの所要時間や開催スケジュールもこの段階で決めておきましょう。
2. 役割の決定
続いて行うのが、誰がどの役割をするのかの決定です。一般的には、新人など経験の浅い営業パーソンが営業役を、上司やベテラン営業パーソンなどの教育側は顧客を演じることが多くなっています。ただし、役割を入れ替えることで、異なった目線から新たな課題が明らかになるケースもあります。
3. 事前準備
想定シーンや役割が決まれば、そのシーンに関して資料の読み込みや事前調査などの準備を行います。想定されるシーンや質問に対してトークスクリプトを作成したり、提案内容を準備しておけば、ロープレの質をより向上させられるでしょう。
4. ロープレの実施・実施後のフィードバック
役割や準備に従いロープレを実施します。ロープレの効果を最大化させるには、良かった点と改善点のフィードバックを必ず行うことが肝要です。
フィードバックをスムーズに行うために、チェックリストを用意しておくのも有用です。例えば、口調、話すスピードや会話の流れ、視線や姿勢、表情、しぐさなどのふるまい、提案内容(自社の商品・サービスへの理解度、応用力)などのチェックリストを用意しておくと良いでしょう。
ロープレの効果を高めるポイント
ロープレの効果を高めるためには、次の4つのポイントを意識して実践するのが大切です。
- ゴール・スケジュールを明確にする
- 第三者を入れて評価してもらう
- 動画での振り返りを行う
- 定期的に実施する
ゴール・スケジュールを明確にする
ゴールやスケジュールを明確にしておくことで、効果的にロープレを実践できます。いつまでに、営業パーソンとしてどのようなスキルを身につけたいのか、どのような課題を解消したいのか、などを定めましょう。
例えば、「営業に慣れる」「スキルを高める」など漠然としたテーマでロープレをしたり、欠点の指摘にとどまっていては、営業の質は向上しません。目的意識を持ってロープレを実施することが大切です。
第三者を入れて評価してもらう
ロープレの効果を最大限に引き出すには、役割を演じる当事者だけでなくオブザーバー役の第三者を入れることが肝要です。営業担当役と顧客役の二者間では評価やフィードバックに偏りが出やすく、抜け漏れが起こる可能性もあるでしょう。
第三者を入れて俯瞰的に評価をしてもらえれば、より実践的で漏れのないフィードバックが期待できます。
動画での振り返りを行う
ロープレを録画しておき、振り返りを行うことも大切です。ロープレの最中は役割を演じることに必死になり、せっかく得られた気付きを忘れてしまう可能性があるからです。動画にしておけば、あとから何度も振り返りを行えます。また、客観的に自分の様子を把握でき、改善点に加えて良かった点も把握できるようになります。
また、動画を営業パーソン同士で共有すれば、他人の様子も把握でき、提案の幅を広げられるでしょう。動画が撮影できない場合はスマートフォンに搭載されている音声メモ機能や録音ツールなどを用いて録音しておくのもおすすめです。
定期的に実施する
ロープレの効果を高めるには、定期的に実施しましょう。単発の実施では効果を最大化することはできません。理想的なスケジュールは数に数回の実施で、習慣化するとより良い効果が見込めます。
また、1回あたりの所要時間が長いとフィードバックも増えるため、営業パーソンへの負担がかかり吸収しきれない可能性が高まります。営業プロセスごとに想定シーンを分解して30分程度の短時間で複数回行うと良いでしょう。
まとめ
ロープレの実践は個々の営業パーソンの営業スキルを向上させ、会社全体の営業力の向上につながります。効果を高めるためには、確度の高い顧客を想定して週に数回のロープレを実践するのがおすすめです。ただし、ロープレはあくまでも練習であるため、実際の顧客に対して効果を発揮できないと意味がありません。
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ライター
営業DX Handbook 編集部