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営業のKPIとは|効果的な設定方法と目標達成のプロセスを解説

営業のKPIとは|効果的な設定方法と目標達成のプロセスを解説

営業チームや組織のKPI設定は、目標とする売り上げの達成のみならず、チームの進捗を管理したり、営業パーソンの成長にも欠かせません。

しかし、取り扱う商品やサービス、営業形態によって、設定すべきKPIは異なります。

本記事では、営業のKPIとしてどのような指標があるのか、また、設定する際のポイントや注意点などについて詳しく解説します。

営業のKPIとは

KPIは目標とする事業の成長や、進捗管理のために設定します。部署、チーム単位はもちろんのこと、職種や立場、個人など、それぞれ複数にわけて設定することも少なくありません。

では、営業におけるKPIは何があるのか、定義を確認しながら、詳しく解説します。

KPIの定義と重要性

KPI(Key Performance Indicator)は、組織やプロジェクトが目標達成に向けてどれだけ進んでいるかを示す、進捗管理や成果評価のための指標です。

営業におけるKPIとしては、新規顧客獲得数、商談数、成約率などが挙げられます。例えば、新規顧客獲得数は営業活動の成果を示す重要なKPIであり、営業戦略の効果を測定するための指標となります。

このように、営業チームはKPIを用いて活動の進捗を数値で捉え、目標に対して現状がどの位置にあるかを確認しつつ、必要に応じて戦略を調整します。

KPIとKGIの違い

KPIとKGIの違いを示した図

KPIは日常的な業務プロセスや活動の進捗を測る指標であり、営業チームのパフォーマンスを「プロセス」の観点から評価するものです。

一方で、KGIは最終的なゴールや目標を示し、組織やチームが達成を目指す成果そのものを表します。

営業においては、KGIが「売上目標の達成」や「契約件数の達成」などの大きな成果を表す一方で、KPIはその達成に向けた具体的な行動やプロセスを追跡します。

例えば、「商談数」や「新規顧客への訪問数」をKPIとして設定することで、営業チームはKGIである「売上目標の達成」に向けた具体的なアクション計画を立てやすくなります。

KPIを適切に管理することは、KGIの達成を促進するために不可欠なステップと言えるでしょう。

営業のKPI指標の具体例

次に、以下の営業における代表的なKPIについて解説します。
順番に詳しくみていきましょう。

1.新規顧客獲得数

新規顧客獲得数は、特定の期間内に新たに獲得した顧客数を示す指標です。

営業活動の成功度や市場開拓の進捗を測る上で重要な指標であり、営業チームのアプローチが新しい顧客層にどの程度リーチしているかを確認するのに役立ちます。

獲得数が増加すればするほど、営業戦略が効果的であることを示し、今後の活動方針の参考にもなります。

2.商談数

商談数は、営業チームが成立させた商談の総数を表す指標です。商談数の増加は、見込み客との接触機会が増えたことを意味し、営業活動の積極性や活動量を評価するうえで重要な要素となります。

商談の数が多いほど、新規顧客や既存顧客との関係構築が活発に行われていることを示し、次のフェーズである成約や受注へとつながる可能性が高まります。

3.成約率

成約率は、実施した商談のうち、実際に契約に至った割合を示す指標です。成約率を把握することで、営業チームが行った提案の質や商談の進め方が適切かどうかを評価できます。

この数値が高ければ、営業担当者が顧客のニーズを的確に捉え、魅力的な提案ができていることを示します。

成約率の改善は、効率的な営業活動の成果として現れ、目標達成に向けた重要な要素となります。

4.顧客単価

顧客単価は、営業チームが一人の顧客から得られる平均売上額を示す指標です。顧客単価を分析することで、営業チームが扱う商品の価値や顧客層の傾向が見えてきます。

また、顧客単価の把握は、販売戦略の調整に役立ち、高単価の顧客に焦点を当てた営業アプローチや、単価向上に向けた施策の立案に活用できます。

5.SQL(引き合い)

SQL(Sales Qualified Lead)は、営業活動を通じて得られた、見込み度の高いリード数を示す指標です。

これは、マーケティングチームが生成したリードの中で、営業チームが「商談に進められる」と判断したリードを表します。

SQLの数は、営業が優先的にフォローするべきリードの質を示すものであり、営業効率を高めるための重要な指標となります。

6.受注数

受注数は、営業活動の成果として正式に受注に成功した件数を指す指標です。契約件数と似ていますが、受注数は特に商品やサービスの販売が確定した案件の数を示します。

この指標は、営業プロセスの終盤でのパフォーマンスを評価するうえで重要であり、チーム全体の売上達成に向けた進捗を確認するのに役立ちます。

受注数の増加は、営業チームの活動が実際の成果につながっていることを示すのです。

7.訪問数

訪問数は、営業担当者が顧客や見込み顧客を直接訪問した回数を示す指標です。訪問頻度が高いほど、対面での関係構築や信頼性の向上に貢献できる可能性が高まります。

質よりも量が重要視されることが多いため、新規顧客の開拓や既存顧客のフォローアップを強化する際に有効です。

8.コール回数

コール回数は、営業担当者が顧客や見込み顧客に電話をかけた回数を示します。コール回数は、見込み客のフォローアップや新規顧客獲得のためのアプローチに欠かせない指標であり、営業活動の積極性や活動量を測る重要な要素です。

コール数は質だけでなく、量も重要となります。そのため、コール回数を上げるほど顧客と接触する機会が増え、次の商談設定やアポにつながる可能性も高くなります。しかし、顧客に対して、過度なコールを繰り返すと関係性に影響するため注意しましょう。

営業のKPIを設定する手順

次に、営業のKPIを設定する手順を解説します。
それぞれ順番に見ていきましょう。

1.目標を明確にする

 KPIを設定する上で最初に必要なのは、具体的な目標を明確にすることです。この段階で重要なのは、組織全体の目指す方向性と一致するような目標を設定し、それが具体的に何を達成するためのものかを定義することです。

例えば、単に「売り上げを増やす」ではなく、「新規顧客の獲得によって売り上げを20%向上させる」など、具体的な内容が求められます。

また、目標をより効果的にするためには、「SMARTの法則」に従うと良いでしょう。

SMARTとは、目標を「具体的(Specific)」「測定可能(Measurable)」「達成可能(Achievable)」「関連性がある(Relevant)」「期限がある(Time-bound)」にするための基準です。

これらの条件を満たした目標にすることで、現実的かつ明確になり、チーム全体で理解・共有しやすくなります。SMARTを意識することで、曖昧さを排除し、具体的な行動計画に落とし込むことができます。

2.適切なKPIを選定する

KPIを設定する際は、目標達成に直結する指標を選ぶことが重要です。営業チームの目標が「新規顧客の獲得」であれば「商談数」や「成約率」、既存顧客との関係強化が目的であれば「顧客満足度」や「リピート率」など、状況に応じたKPIが必要です。

業種や営業スタイルに応じて、KPIとして何を選ぶかは大きく異なるため、自社の営業活動に適したものを選ぶことが求められます。

例えば、新規顧客獲得数をKPIに設定する場合、営業チームのアプローチ方法や戦略の見直しが重要なポイントです。

適切なKPIを選ぶことで、チームの活動が目標達成に向けた具体的なプロセスに集中しやすくなります。

3.定量・定性目標をそれぞれ設定する

選定したKPIに基づき、具体的な数値目標(定量目標)と、顧客満足度やブランドイメージといった質的な目標(定性目標)の両方を設定することが効果的です。

数値目標は、達成の進捗を具体的に測定する指標であり、例えば「成約率を20%まで向上させる」や「新規顧客獲得数を月10件に増やす」など、明確で測定可能なものにします。

目標は、実現可能でありながらも挑戦的であることが理想です。

また、設定した数値や基準はチーム全体で共有し、共通の目標として意識を統一することで、一体感を持って取り組むことが可能になります。

これにより、チームのパフォーマンス向上や目標達成に向けたモチベーションが高まり、効果的な営業活動につながります。

4.進捗を定期的に確認する

KPIの進捗を定期的に確認することで、目標達成に向けた取り組みが計画通りに進んでいるかを把握できます。進捗確認は、営業チーム全体での共有を行い、進行状況や課題を明確にするために有効です。

定期的なレビューを行うことで、必要に応じて戦略の見直しやリソースの再配分を検討でき、変化する状況にも柔軟に対応できます。

例えば、特定のKPIが予定よりも進捗していない場合、その原因を分析し、目標達成に向けて改善策を講じることが重要です。

営業活動が効果的で持続可能なものとなり、目標達成に近づくためのプロセスが確立されます。

営業のKPIを設定するメリット

営業のKPIを適切に設定することで、営業チームは日々の活動の成果を具体的に測定し、組織全体の目標に向かって効率的に進むことが可能になります。KPIを活用することで得られる主なメリットは次の通りです。

1.成果の可視化ができる

KPIを設定することで、営業チームの活動や成果が数値として明確に表れ、進捗状況を把握しやすくなります。

目標に向けた取り組みが具体的なデータとして「見える化」されるため、チームの努力や改善点が一目でわかるでしょう。

必要な改善がある場合にも、早期に特定して対策を打てるため、効率的な営業活動の継続が可能となります。

2.戦略の見直しが容易になる

KPIを定期的に確認することで、現行の戦略が目標達成にどの程度寄与しているかを把握でき、必要に応じて戦略の見直しが可能になります。

市場の変化や競合状況に迅速に対応し、営業活動の方向性を柔軟に調整できます。

戦略の効果を測定し、適切に修正していくことで、組織全体としての営業成果の最大化が図れます。

3.チームのモチベーションが向上する

明確なKPIが設定されることで、チームメンバーは自身の貢献度を数値として認識しやすくなり、目標に対する達成感を得やすくなります。

各メンバーが成果を具体的に把握できるため、目標達成に向けた意欲ややりがいが高まり、チーム全体のモチベーション向上にもつながります。

KPIは、個々の努力が全体の成果にどう反映されているかを示す指標としても重要です。

4.データに基づく意思決定ができる

KPIを活用することで、データに基づいた意思決定が可能となり、営業チームは感情や直感に頼ることなく、具体的な数値に基づいて判断を下せます。

つまり、より合理的で精度の高い経営判断ができるようになるということです。

さらに、KPIを通じてボトルネックを早期に把握しやすくなるため、業務プロセスの改善やリソース配分の最適化にも役立ちます。結果として、中長期的な売り上げの見通しが立てやすくなり、持続的な成長が期待できます。

営業のKPI設定における注意点

営業のKPIを設定する際には、効果的に運用するためのいくつかの注意点があります。
適切に設定されたKPIは目標達成に向けた確実な指針となりますが、いくつかの点に留意しなければ、逆に業績向上の妨げとなる可能性もあるため、以下のポイントを押さえながらKPI設定を行うことが重要です。

KPIの設定期間は適切に

KPIの設定期間は、業務の特性や目標によって調整する必要があります。期間が短すぎると、結果が不安定になりやすく、十分な成果が見えにくくなることがあります。

一方で、期間が長すぎると、進捗状況の評価が難しくなり、適切なタイミングでの戦略の見直しができなくなる可能性もあります。

そのため、自社の営業サイクルや業務内容に合わせた適切な設定期間を見極めることが重要です。

過度な目標設定は逆効果となることも

チームのリソースやスキルに対し、過度な目標を設定してしまうとかえって逆効果となるため注意しましょう。目標が高すぎると、チームの士気を下げたり、目標達成が難しくなったりすることも少なくありません。

あくまで、現在のチームフェーズにあった目標や、メンバーであればある程度のストレッチをかけたうえで、達成可能で挑戦的な目標を設定しましょう。

定期的に見直しを図る

目標があまりに高すぎると、チームメンバーの士気が低下し、モチベーションが下がる原因となることがあります。

達成が難しい目標は、ストレスを増加させ、営業活動の効率を下げるリスクを伴います。そのため、現実的でありながらも、メンバーが挑戦意欲を持てるような目標設定が、パフォーマンスを向上させるための鍵です。

適度な難易度の目標は、チームの一体感を高め、目標達成への道筋を具体的に示す役割を果たします。

ツールを利用して営業のKPIを効果的に管理

営業のKPIを効率的に管理するためには、専用ツールの活用が非常に効果的です。ツールを使用することで、KPIの進捗をリアルタイムで把握しやすくなり、データの集計や分析も自動化されるため、チーム全体の状況を常に共有することが可能です。

例えば、KPIごとの達成度をグラフやダッシュボードで視覚化できるツールを使用することで、直感的に進捗を把握できます。
また、営業チームが適切に行動しているかどうかを即座に確認し、必要に応じて迅速に対策を講じることも可能です。

ツールの活用により、データに基づいた判断が容易になるため、戦略の精度が向上し、業務の効率化にもつながります。

まとめ

営業におけるKPIの適切な設定と管理は、営業チームが目標達成に向けて一丸となって進むための基盤です。今回解説した手順に沿ってKPIを設定することで、営業活動の進捗状況が可視化され、パフォーマンス向上や戦略の精度向上にもつながります。営業チーム全体で目標に向かって効果的に活動するには、KPIの管理を習慣化し、常にチーム全体で共有し続けることが重要です。

営業のKPIを効率的に管理し、営業活動をデータで強化したいとお考えなら、「Sansan」の導入をおすすめします。
Sansanを活用することによって、営業担当者が記録した商談履歴や顧客との接触情報が集約され営業チーム全体が顧客に対して同じ情報を共有でき、スムーズな連携が可能になります。

例えば、過去の商談履歴や連絡内容をすぐに把握し、適切なタイミングでフォローアップや提案を行うことが可能です。また、顧客ごとのステータスや属性データが明確になり、より効果的な営業戦略を立てられます。

Sansanで顧客データベースを構築することは、KPIの進捗を確認しやすくするだけでなく、営業活動全体の効率化と精度向上にもつながります。

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営業DX Handbook 編集部

ライター

営業DX Handbook 編集部

Sansanが運営する「営業DX Handbook」の編集部です。DX推進や営業戦略、マーケティングノウハウなど、営業・マーケティング課題の解決に導く情報をお届けします。