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ホワイトペーパーとは?意味や目的、作成手順などを解説

ホワイトペーパーとは?意味や目的、作成手順などを解説

BtoBマーケティングでは、Web広告やSNS、オウンドメディアなど、さまざまな媒体やツールを活用して見込み顧客を創出します。ホワイトペーパーもそのうちの一つです。また、リードナーチャリングやブランドイメージの形成、営業の効率化など、見込み顧客の創出以外にも多くの成果が期待できます。

ホワイトペーパーを有効活用するには、作成の目的や種類、基本的な作成方法などを理解しておくことが重要です。そこで本記事では、ホワイトペーパーの概要や目的、期待できる効果を解説します。実際の作成方法や注意点、作成時のポイントなども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ホワイトペーパーとは

ホワイトペーパー(White Paper:白書)とは、特定のテーマへの理解を深めたり、解決策を提示したりするために、詳細情報をまとめたガイドとなる書類のことです。

ホワイトペーパーの本来の意味は「政府が発行する公的な書類」ですが、マーケティング業界においては、潜在客や見込み顧客、既存顧客の課題を解決するための方法を提示しつつ、自社の商品・サービスをPRする際に活用する書類を意味します。

ビジネスにおける目的

ホワイトペーパーには、顧客や取引先に対して、企業から専門的な知識を提供する目的があります。リード数を増やしたい場合や、顧客の購買意欲を醸成したい場合などに活用可能です。

また、マーケティングファネルにおいて、認知獲得から興味関心の引き上げにかけての顧客エンゲージメントを高める効果も得られます

営業資料(サービス資料)との違い

ホワイトペーパーと似たコンテンツに、営業資料(サービス資料)があります。いずれも自社の商品・サービスを伝えるための資料ですが、次のような違いがあります。

ホワイトペーパー

営業資料(サービス資料)

内容

  • ユーザーの興味関心を引くテーマ
  • 課題解決の提案

価格・機能・特徴など商品やサービスの詳細情報

使用シーン

Webサイトからダウンロード

  • Webサイトからのダウンロード
  • 商談の際に利用

対象者

  • ノウハウを知りたい人
  • ホワイトペーパーのテーマに興味がある人
  • 購入意欲が高い人
  • 商談相手

視点

顧客視点(課題解決や悩み解消が主な目的)

企業視点(商品・サービスを売るのが主な目的)

ホワイトペーパーは、まだ自社の商品やサービスを認知していない潜在顧客に向けた資料です。

対して営業資料は、自社の商品やサービスをすでに認知しており、詳しい内容を知りたい見込み顧客に向けた資料という違いがあります。そのため、用途や目的、状況に応じて使い分けることが重要です。

例えば、見込み顧客の創出や信頼関係構築にはホワイトペーパーを、購入を検討中の見込み顧客に対して商品・サービスの魅力をPRしたい場合は、営業資料(サービス資料)を活用するなどの使い分けを行います。

白書との違い

ホワイトペーパーを日本語訳すると「白書」となりますが、両者の意味は異なります。白書とは、政府や公的機関が交付する報告書や公文書のことです。例えば、日本政府からは次のような白書が発行されています。

  • 中小企業白書
  • 厚生労働白書
  • 原子力白書
  • 少子化社会対策白書
  • 男女共同参画白書

ホワイトペーパーは、民間企業が自社の商品・サービスをPRする際に利用する資料を意味するのが一般的です。

ホワイトペーパーで得られる効果

ホワイトペーパーを活用すると、次のような効果を得られます。

  • 見込み顧客を効率的に創出できる
  • リードナーチャリングにつなげられる
  • ブランドイメージの形成
  • 営業資料作成の工数削減
  • 顧客満足度の向上

それぞれの内容を詳しく解説します。

見込み顧客を効率的に創出できる

ホワイトペーパーは、誰でも自由にダウンロードできるよう、ホームページ上にダウンロードページを設けて公開するスタイルが一般的です。その際に、企業名や担当者名、事業内容、事業規模などのデータを入力してもらう形式にすると情報を取得でき、見込み顧客の創出につながります

「まだ個別に問い合わせする段階ではない」と感じているユーザーでも、ホワイトペーパーのダウンロードであれば気軽に行えます。そのため、幅広い顧客層の情報を抽出できる点がメリットです。

リードナーチャリングにつなげられる

リードナーチャリングとは、見込み顧客を育成し、顧客につなげるためのマーケティング活動のことです。

ホワイトペーパーをダウンロードするユーザーの中には、単に情報が欲しいだけのユーザーも多く含まれます。そのため、必ずしも自社の商品やサービスへの興味関心度合いが高い訳ではありません。

しかし、こうした「潜在顧客」と呼ばれるユーザーの情報を、ホワイトペーパーをダウンロードする段階で抽出し、見込み顧客化することで、その後のリードナーチャリングにつなげられます

見込み顧客となったユーザーに対してのステップメールの配信や、セミナー案内などの有益な情報の発信、事例紹介のホワイトペーパーの提供などを通して、徐々に良好な関係を構築できるでしょう。

関係を構築できたあとは、自社の商品・サービスのメリットを訴求して、購入意欲を高めていくことが可能です。

ブランドイメージの形成

ホワイトペーパーには、自社の強みや専門性、信頼性をアピールする効果があり、ブランドイメージの形成が期待できます。また、専門的な知識や内容、経験に基づいて独自の視点から特定のテーマを深掘りすると、その分野での権威としても認知されるでしょう。

「〇〇ならこの企業」「こう悩んでいるからあの企業に相談しよう」と想起させることができれば、問い合わせにつながり、結果として売り上げ拡大につながります。

営業資料作成の工数削減

ホワイトペーパーに商品・サービスの特徴や価格などをまとめておくことで、営業資料(サービス資料)を新たに作成する工数を削減できます

自社の強みや他社との違い、導入前後の変化などを付け加えれば、それだけで商談の際にも活用できる営業資料が作成できるでしょう。

顧客満足度の向上

ホワイトペーパーを通じて、初めて自社の商品・サービスを認知したユーザーから、すでに商品・サービスを利用している顧客まで、幅広い層に有益な情報を提供できるのもメリットです。ホワイトペーパーの種類については後述しますが、操作マニュアルや活用方法などをまとめた資料としての配布も可能です。

こうした価値のある情報提供により、顧客が抱えている悩みや課題を解消できれば、満足度の向上が期待できます。

ホワイトペーパーの種類

単にホワイトペーパーといっても、次のようにさまざまな種類があります。

  • 入門ガイド型
  • 調査レポート型
  • 課題解決型
  • 導入事例型
  • セミナー資料型

それぞれの種類の概要や特徴を紹介します。

入門ガイド型

入門ガイド型は、特定のテーマに関する初級的な内容を扱うタイプのホワイトペーパーです。トレンドや業界知識をまったく知らない状態から、ある程度理解できる状態にまで引き上げることができます。

例えば、オウンドメディア構築代行サービスを提供している企業なら、「オウンドメディアとは|効果やメリット」「SEOで集客するポイント」などのテーマで、入門ガイド型のホワイトペーパーを作成できるでしょう。

入門ガイド型は、専門的な用語をなるべく使わず、わかりやすい言葉や説明で読者の理解を促すことが重要です。

調査レポート型

調査レポート型は、独自の調査に基づいて考察を行うタイプのホワイトペーパーです。ターゲットとなるのは、市場にはあまり出回っていない深い知識や考察をインプットしたい層です。

独自の視点を組み込み、オリジナリティーのある資料を作成できれば、権威性も得られます。

なお、調査レポート型のホワイトペーパーは、作成に当たって調査のための時間的・金銭的なコストがかかる点は理解しておきましょう。

課題解決型

課題解決型は、ノウハウや知識、経験をまとめ、ユーザーが抱えている課題を解決することを目的としたホワイトペーパーです。自社の専門性をアピールしつつ、満足度を高められます。

課題解決型のホワイトペーパーの読者は、課題解決への意欲が高い層です。読者視点で課題を深掘りし、解決策を提示したうえで、自社の商品・サービスの特徴やメリットを訴求しましょう。それにより、自社の商品・サービスに興味を持ってもらいやすくなります。

導入事例型

導入事例型のホワイトペーパーは、導入前の課題や導入に至るまでの経緯、商品・サービスを通して得られた結果などをまとめたホワイトペーパーです。

商品・サービスを比較検討している段階のユーザーは、実際の活用事例や効果を詳しく知りたいと考えています。導入による具体的なイメージをユーザーに持ってもらえる点が、導入事例型のホワイトペーパーのメリットです。

このタイプのホワイトペーパーを作成するには、商品・サービスを実際に利用している顧客からのコメントが必要です。作成が決まったら、事前にアポイントを取ってインタビューなどで情報を集めましょう。

セミナー資料型

セミナー資料型は、実際に自社で行ったセミナーやウェビナーの内容をまとめたホワイトペーパーです。セミナーに参加しなかったユーザーにも臨場感を提供し、具体的なイメージを抱いてもらえるよう、当日の写真を入れることをおすすめします。

セミナー資料型は、セミナーで使用した資料をそのまま転用することで、作成のコストを抑えられます。また、セミナーに参加しなかったユーザーもしっかり理解できるように、資料を転用しながらも、要所で詳細な説明を入れるなどチューニングを施すことが重要です。

商品・サービス紹介型

商品・サービス紹介型は、自社の提供している商品・サービスを紹介するタイプのホワイトペーパーです。活用次第では、商談の際の営業資料(サービス資料)としても活用できます。

商品・サービス紹介型のホワイトペーパーを作成する際の注意点は、「売り込んでいる感」が強く出過ぎないようにすることです。あくまでも情報提供が目的であることを意識し、自社の商品・サービスのデメリットや競合他社の特徴などについても言及しながら、ユーザーが公平な視点で比較できるようにしましょう。

ホワイトペーパーの基本構成

ホワイトペーパーの基本的な構成は、次の通りです。

  • 表紙:ホワイトペーパーのタイトル、発行日、著者名などを記載する
  • 目的:作成の目的や解決できる課題を伝える
  • 目次:全体の内容を簡潔に伝える
  • 調査・考察内容:内容を深掘りすることで読者に最も権威性をアピールできる部分
  • 自社商品・サービスの詳細:解決できる課題や特徴などを紹介する
  • 会社概要:読者の興味を最大限高めたところで問い合わせ情報などを記載する

上記はあくまでも一例なので、目的やユーザーの状況に応じて調整してください。

ホワイトペーパーの作成手順

ホワイトペーパーの作成は、次のステップにしたがって進めていきましょう。

  1. 作成する目的を決める
  2. ターゲット・ペルソナを設定する
  3. テーマやテンプレートを選択する
  4. 提供できる価値を深掘りする
  5. 全体ストーリーを構築する
  6. ページ数やボリュームを決める
  7. 図やイラストも加えつつ制作する

いきなりホワイトペーパーの作成に取りかかると、ペルソナや作成の軸が定まらず、内容にブレが生じます。大まかに上記のステップで進めていけば、記載すべき事項も網羅しつつ、ユーザーの知りたい情報を提供できるでしょう。

ホワイトペーパーは外注と内製どちらが良い?

ホワイトペーパーを作成する方法には、「外注」と「内製」の2つの選択肢があります。どちらにもメリット・デメリットがあるため、次の表を参考にしながら、状況に応じて適切なほうを選んでください。

外注

内製

メリット

  • 早く作成できる
  • 高いクオリティーに仕上がる
  • 作成コストを抑えられる
  • 社内の体制が整えば効果測定を行いやすい
  • 自社にノウハウが蓄積される

デメリット

  • 費用がかかる
  • 自社でPDCAサイクルを回しづらい
  • リソースを確保しなければならない
  • 知識や経験がないと作成が難しい

スピーディーかつ高いクオリティーを求めるなら外注がおすすめですが、その分コストがかかります。自社にノウハウを蓄積させていきたいなら、徐々に体制を整えながら内製すると良いでしょう。

ホワイトペーパー作成のポイント・注意点

ホワイトペーパーを作成する際は、次のポイント・注意点を意識してください。

  • ターゲットに合わせた内容にする
  • タイトルで興味付けする
  • 定期的に更新する
  • 顧客視点を欠かさない

ターゲットに合わせた内容にする

想定ターゲットに合わせて内容を作り込むことで、より読み応えのあるホワイトペーパーになります

例えば、入門ガイド型の場合、特定のテーマの概要をつかみたいユーザーが読むことが想定されます。この傾向がわかっていれば、専門用語や高度な内容をなるべく含まず、理解しやすい内容のホワイトペーパーを作成できるでしょう。

専門的な内容を調査したレポートの場合は、読者に有益な情報を提供するために、深い考察を入れると効果的です。

タイトルで興味付けする

ユーザーはホワイトペーパーをダウンロードする際に、まずはタイトルを確認します。そのため、タイトルだけを見て「読み応えがありそう」「魅力的だ」と感じてもらうことが大事です。

次の例のように数字を入れたり、ターゲットの状況に即した内容を含めたりすると、興味を引きやすいタイトルになります。

  • ターゲットを入れる:(例)初心者向け・営業担当者要チェック
  • メリットを訴求する:(例)これを読むと〇〇が改善、〇〇な悩みを解消
  • 具体的な数値を入れる:(例)コンバージョン率が5%上昇、20%のコストカットを実現

ただし、過剰に期待を高めるタイトルは逆効果になります。あくまでもホワイトペーパーの魅力を正しく伝えるタイトルを設定することを意識しましょう。

定期的に更新する

顧客を取り巻く環境は刻一刻と変化しているため、ホワイトペーパーの内容も更新が必要です。

特に、調査レポート型のホワイトペーパーの場合は、情報が古いと、かえって読者からの信頼を損なう可能性があります。そのままの状態で公開し続け、顧客が何らかの被害をこうむるとトラブルに発展するかもしれません。

情報は常にアップデートして、最新情報を届けられるようにしましょう。

顧客視点を欠かさない

商品・サービス紹介型のホワイトペーパーは、セールス色が強くなり、ユーザーから信頼を得にくくなる傾向があるので注意しましょう。

セールス色を抑えるには、顧客視点を盛り込んでホワイトペーパーを作成することがポイントです。ユーザーが抱えている悩みや解決したい課題を深掘りし、ニーズを満たせるような内容にしましょう。自然な流れで自社の商品・サービスを訴求するほうが、読者から信頼を得ることができ、結果的にコンバージョンへとつながりやすくなります。

ホワイトペーパーのマーケティングへの活用例

ホワイトペーパーは、マーケティング活動に取り入れることでその効果を発揮します。ここでは、ホワイトペーパーの活用事例を具体的に紹介します。

  • Webサイトに掲載する
  • メルマガで配信する
  • 営業資料として活用する

Webサイトに掲載する

ホワイトペーパーの基本的な活用方法は、自社サイトを中心としたメディアに掲載し、ユーザーにダウンロードしてもらうことです。その際に、企業名や担当者名、連絡先といった属性情報に加えて、解決したい悩みなどを入力する欄を設けると、見込み顧客を効率的に創出できます

より多くのユーザーにリーチしたい場合は、関連する他メディアに依頼したり、SNSで宣伝したりする方法も効果的です。

メルマガで配信する

メルマガに登録している見込み顧客に対してホワイトペーパーを提供すると、購入意欲を高める効果が期待できます。また、すでに自社の顧客となっているユーザーに対しては、導入事例や活用事例をまとめたホワイトペーパーを配信することで、コミュニケーションをとるきっかけが生まれます。

さまざまな状況のユーザーに対応するために、複数のホワイトペーパーを作成して配信するのもおすすめです。例えば、導入前には入門ガイド型や導入事例型を、導入後はセミナー資料型を配信するなどの方法があります。

営業資料として活用する

作成したホワイトペーパーは、ダウンロード資料として提供するだけでなく、営業資料にも活用できます。特に、課題解決型や導入事例型、商品・サービス紹介型のホワイトペーパーなどは、商談に活用しやすいでしょう。

営業用の資料を最初から作る手間が省けるだけでなく、各営業担当者が使用する資料の均質化にもつながります。

まとめ

ホワイトペーパーは、特定のテーマへの理解を深めたり、解決策を提示したりするために、詳細情報をまとめたガイドとなる書類です。マーケティングにおいては、新規顧客創出や顧客満足度の向上、ブランドイメージの形成を目的として作成されます。

さまざまな成果が期待できるホワイトペーパーですが、大切なのはホワイトペーパーを提供したあとの営業・マーケティング活動です。

ホワイトペーパーをきっかけにつながった見込み顧客とコミュニケーションをとることは、BtoBマーケティングにおいて特に重要な意味を持ちます。BtoBは、BtoCに比べて商品・サービスの検討期間が長く、購買プロセスが中長期にわたるためです。

見込み顧客の課題を的確に把握し、部門を越えて社内全体で活用するためには、BtoBマーケティングを効率化させるツールの導入が有効です。

Sansanは、あらゆる顧客情報を営業に活用するための営業DXサービスで、BtoBビジネスの導入実績も数多くあります。BtoBマーケティングで成果を上げたいと考えている方は、ぜひご活用ください。

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営業DX Handbook 編集部

ライター

営業DX Handbook 編集部

Sansanが運営する「営業DX Handbook」の編集部です。DX推進や営業戦略、マーケティングノウハウなど、営業・マーケティング課題の解決に導く情報をお届けします。