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ターゲティング広告とは?仕組みや種類、メリットを解説
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ユーザーの情報やWebサイトの閲覧履歴を活用したターゲティング広告は、特定のターゲットに最適化された広告を配信し、マーケティング効果を最大化するために役立つ手法です。
ターゲットのニーズにあわせて広告の内容を変えて訴求することで、より高い反応を引き出し、コンバージョンや成約率を上げることが期待できます。
この記事では、ターゲティング広告の基礎や種類と、メリット・デメリット、運用する際の注意点を解説します。
ターゲティング広告とは

まずは、ターゲティング広告の基礎を確認しましょう。ここでは、ターゲティング広告の概要や仕組み、リスティング広告との違いについて説明します。
ユーザーを絞り込んで配信を行うWeb広告の手法
ターゲティング広告とは、ユーザーを特定の条件や属性に基づいて絞り込み、効果的な広告メッセージを届けるWeb広告の手法です。ユーザーの興味や行動パターンに焦点を当て、より効果的かつパーソナライズされた広告キャンペーンを展開することが可能です。
ターゲティング広告に使用する情報には、年齢・性別・居住地などの属性情報や、Webサイトの訪問履歴などがあります。配信対象を絞り込むことで、広告の内容を特定の対象により適したものに調整できます。
広告の精度が高まると広告に対するユーザーの反応率があがり、コンバージョン率の改善や、より低いコストでの広告配信が可能になります。
ターゲティング広告の仕組み
ターゲティング広告の仕組みは、膨大なデータや分析を基にユーザーをカテゴリ分けし、広告を効果的に配信するといったものです。
ユーザーをターゲティングする方法には、以下のような種類があります。
手法 | 説明 |
---|---|
Cookie | Webサイトを閲覧した情報をブラウザに保存し、ユーザーを識別する。サードパーティCookieとファーストパーティCookieがある。 |
広告識別子 | スマートフォンやタブレットなどのデバイスごとにIDを割り振り、利用者のアプリやWebサイトの利用履歴を取得する。 |
ブラウザフィンガープリント | デバイスやブラウザの特徴からユーザーを識別する。基本的にはデバイスやブラウザ情報しか利用できない。 |
SensorID | スマートフォンに搭載されるジャイロスコープなどのセンサーの情報を分析してユーザーやユーザーの行動を識別する。 |
アプリ内行動分析 | スマートフォンでアプリを使用する際に、位置情報や他のアプリへのアクセスなどを通じてユーザーの行動を識別する。 |
ターゲティング広告の主流はCookieを使う方法で、サードパーティーCookieを使用する手法が広く使われていました。しかし、近年は個人情報保護の観点から規制が強まっており、ファーストパーティーデータを使った施策へと切り替える企業が増えているのが現状です。Cookieの規制に関する詳細は後述します。
ターゲティング広告の4つの種類
ターゲティング広告は、ユーザー情報に基づいて表示する広告です。表示させる条件によって、大きく以下の4種類に分かれます。
- オーディエンスターゲティング
- コンテンツターゲティング
- ジオターゲティング
- デバイスターゲティング
それぞれ、詳細を見ていきましょう。
1. オーディエンスターゲティング

オーディエンスターゲティングは、人に属する情報を基にターゲットを選定して広告を配信する手法であり、属性や行動から商品のターゲットが推定しやすい場合に有効です。
活用する情報によって、次の6種類に区分できます。
- 行動ターゲティング
- 属性ターゲティング
- サーチキーワードターゲティング
- サイトターゲティング
- リターゲティング
- 類似ユーザーターゲティング
行動ターゲティング
行動ターゲティングは、サイトの閲覧履歴や行動履歴・成約履歴などの顧客の行動を基にターゲットを絞る手法です。
ユーザーが普段から関心を持ち閲覧などをしている関心の高い分野を特定し、それに沿った広告を配信できます。
属性ターゲティング
ユーザーのデモグラフィックデータで広告を配信するターゲットを選ぶ手法を、属性ターゲティングといいます。デモグラフィックデータに活用できる情報には、性別や年齢、住んでいる地域などがあります。
商品のターゲットが性別や年齢などで明確に区切られる場合に特に有効です。
サーチキーワードターゲティング
サーチキーワードターゲティングは、特定のキーワードで検索をしたことがあるユーザーをターゲティングする手法です。
ユーザーが検索したキーワードは、その人にとって高いニーズがあると予想でき、サーチキーワードを使用することで大きな集客効果が期待できます。
サーチキーワードターゲティングは、検索キーワードを活用する点ではリスティング広告と似ていますが、検索エンジン以外にも広告配信が可能であり、リスティング広告よりも幅広い範囲に広告を掲載できます。
サイトターゲティング
サイトターゲティングは、特定のWebサイトに広告を出稿する方法です。
特定のテーマを扱うWebサイトに集まるユーザーは、そのテーマに関心があると考えられます。そのため、テーマに対して自社の商品の需要がマッチする場合に有効です。
リターゲティング
過去に自社のWebサイトに訪問したユーザーに対して広告を出稿する方法として、リターゲティングがあります。
自社サイトに一度訪問したもののコンバージョンに至らなかったユーザーに対し、あらためて訴求をする場合に有用です。また、一度購入したユーザーに対して、リピート利用を促す場合などにも活用できます。
類似ユーザーターゲティング
類似ユーザーターゲティングは、自社の商品・サービスに興味を持っている人の集団に似た特徴をもったユーザーをターゲットとする手法です。もととなる集団として使用されるのは、過去に自社の商品を購入したユーザーのデータです。
類似ユーザーターゲティングの場合、ユーザーの特徴や行動がよくわからない場合でも、実際の利用者を基にターゲティングをすることで、精度が高められるという利点があります。
2. コンテンツターゲティング

コンテンツターゲティングとは、ユーザーが閲覧しているサイトのコンテンツ内容に応じて広告を表示する手法です。実際にユーザーが見ているコンテンツに関連するものや、親和性の高い広告を表示することで、より高い効果が期待できます。
例えば、インターネット広告に関するコンテンツを閲覧しているユーザーに対して、インターネット広告の改善に関するコンサルティングを提案する広告を出稿するなどの方法が考えられます。サイトターゲティングと似ていますが、コンテンツ単位にすることでより細かな訴求が行えます。
3. ジオターゲティング

ジオターゲティングは、ユーザーの位置情報を活用したターゲティング手法です。具体的には、GPSやIPアドレスなどからユーザーの位置情報を推定し、広告を表示します。
新規で特定のエリアでの事業を開始した企業が、近隣に所在する企業に自社の事業・サービス情報を届ける際などに活用できます。特定のエリアで行うマーケティングに向いています。
4. デバイスターゲティング

デバイスターゲティングとは、特定のデバイス(端末)を指定して広告を配信する手法です。スマートフォン、タブレット、パソコンなどのデバイスの種類によって、広告を適切に調整します。
商品のターゲットが主にスマートフォンを利用していると想定される場合、スマートフォンに対してのみ広告を配信するなど、デバイスごとに広告のターゲティングを行うことが可能です。同様に、特定の商品が主に会社内での需要が高い場合は、パソコンにのみ広告を配信するなど、デバイス別に戦略を展開することができます。
これにより、広告をより適切なデバイスで表示しやすくなり、見込みの薄いデバイスへの広告費用を削減することも可能です。
ターゲティング広告のメリット
ターゲティング広告のメリットは主に以下の3つです。
- ユーザーからの反応を高められる
- 広告コストを抑えられる
- 離脱したユーザーへ再アプローチができる
それぞれ詳しく解説します。
ユーザーからの反応を高められる
ターゲティング広告は、そもそもニーズの高そうなユーザーに絞り込んで広告を配信するため、反応率を高められる点が大きなメリットです。
対象ユーザーを絞り込むことで、広告内容や訴求をターゲットのニーズにあわせて具体的な調整が可能です。ターゲットの絞り込みによって、より強い反応を促す効果が期待できます。
広告コストを抑えられる
ターゲティング広告では、需要が高いと考えられるユーザーに焦点をあてて広告を配信するため、不要な広告配信を最小限に抑えられます。これにより、広告コストを削減することができます。
特に、予算が制約されている場合は、ターゲットを絞ることで少ないコストで実施しやすくなります。
離脱したユーザーへ再アプローチできる
ターゲティング広告のリターゲティングを活用することで、Webサイトに訪問した顧客や、リピート利用が減少してしまった顧客に対して、広告を再度配信できます。
ユーザーはインターネット上で多岐にわたる情報に触れており、一度良い印象を抱いたWebサイトでも、購入に至らないまま忘れ去られることがあります。また、再度そのサイトを見つけることが難しい場合もあります。
こうしたユーザーに対して、一度訪問したあとに再び広告を提示することで、購買の機会を逃さずとらえることが可能になります。
ターゲティング広告のデメリット
ターゲティング広告にはメリットが多い一方で、デメリットといえる点も存在します。
ここでは、ターゲティング広告の2つのデメリットと、その対策について解説します。
ターゲットの設定を間違えると効果が出ない
ターゲティング広告は、ターゲットを適切に絞り込むことで高い効果が得られる手法です。適切なターゲット設定を行うためには、ユーザーの興味や行動を推測し、ターゲットを正しく絞り込むスキルが求められます。
一方で、ターゲットの絞り込みを間違ってしまうと、期待通りの結果を出すことはできません。自社の商品のターゲットとなるユーザーはどのような条件のユーザーなのかを的確に想像したうえで、対象となる条件を正しく設定するようにしましょう。
配信方法の種類が多く知識と経験が必要
ターゲティング広告には、さまざまなターゲティングの手法があることに加え、広告を配信できるメディアも数多くあります。
うまく組み合わせて運用することで高い効果を期待できますが、商品に適したユーザーを絞り込むための手法やメディアの選択は、容易なものではありません。
計画を策定し、計画に沿った費用対効果を実現するためには、知識と経験が必要です。自社で専門知識のある人材がいない場合は、外部の広告運用会社への依頼なども検討することをおすすめします。
ターゲティング広告運用の注意点

ターゲティング広告は高いCVを実現するために便利な手法ですが、個人情報保護の観点などから、次の3つの点に気を付ける必要があります。
- Cookie規制への対応
- ユーザーからの不快感への注意
- 広告の運用体制
Cookie規制に対応する
従来のターゲティング広告では、サードパーティーCookieを使用するケースが一般的でした。サードパーティーCookieとは、ユーザーが訪れたWebサイトとは異なるドメインが生成したCookieです。
しかし、昨今の個人情報保護を重視する流れを受けサードパーティーCookieの規制が強まっており、自社で取得した顧客データである「ファーストパーティーデータ」を用いた施策へと切り替える企業も増えつつあります。
2020年3月にはApple社が提供する「Safari」が、サードパーティーCookieをブロックする方針を導入しました。また、Google社が提供するChromeでも、Cookieに対する段階的な規制が計画されています。
2022年4月に施行された改正個人情報保護法では、Cookieで収集した情報は「個人関連情報」に当たると定義され、第三者への提供のためには本人の同意が必須とされるようになりました。
今後も個人情報に対する規制は強まっていく可能性があるため、企業は自社で保有する顧客のデータ(ファーストパーティーデータ)を有効活用する必要性が一層高まると考えられます。
ユーザーに不快感を与えない
過剰なターゲティング広告の配信は、ユーザーに「プライバシーが侵害されているような不快感」や「同じ広告に疲れた」といった感情を抱かせる可能性を高めてしまいます。このような状況は逆効果となりかねません。
ターゲット広告を運用する際には、広告の表示頻度や表示期間など、適切な設定を検討することが重要です。
適切な運用体制を構築する
ターゲティング広告には多岐にわたる種類があることから、各ターゲティングの組み合わせなどを考慮すると、運用設計が煩雑になり安い点にも注意が必要です。
このため、社内に経験豊富な運用者が不足している場合や、長期的な体制構築が難しい場合は、外部の広告運用会社に依頼することも一つの手段です。
ただし、外部委託の際には運用手数料や、社内でのノウハウ蓄積が難しいなどのデメリットもあるため、現状と将来の展望を総合的に判断すると良いでしょう。
まとめ
ターゲティング広告は、ユーザーの属性や行動などで対象を絞り込んで配信する広告手法です。オーディエンスターゲティング、コンテンツターゲティングなどの4種類の仕組みがあり、ターゲットの絞り込み方法や、ターゲットのニーズに適した手法を選択することで、高い反応を得ることや、広告コストの最適化を図れます。
広告の効果の向上やCookie規制へ対処するには、自社が保有する顧客データ(ファーストパーティーデータ)を充実させ、適切に管理することが求められます。昨今のCookie規制の動向からも、ファーストパーティーデータの重要性は高まっていくものと考えられます。
効果的なターゲティング広告を実現するためには、精度の高い顧客データが不可欠です。
Sansanは、最新の顧客情報を正確に管理し、社内での共有を容易にする営業DXサービスです。自社のデータベースを整備し、ターゲティング広告の精度を向上させるために、ぜひご活用ください。

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ライター
営業DX Handbook 編集部