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ターゲティングとは?営業・マーケティングにおけるメリットや役立つフレームワークを解説

ターゲティングとは?営業・マーケティングにおけるメリットや役立つフレームワークを解説

マーケティング用語としての「ターゲティング」とは、狙うべき市場や、商品・サービスを届ける顧客を明確にすることです。適切なターゲティングは、自社の商品・サービスを顧客に届けるうえで重要であるため、設定するメリットや設定方法を理解しておく必要があります。

本記事では、ターゲティングの概要やマーケティングや営業にもたらすメリット、役立つフレームワーク、設計する際の注意点について解説します。

ターゲティングとは

ターゲティングとは、細分化(セグメンテーション)した市場の中から、自社の強みや競合分析を基に、マーケティング施策を展開するターゲットを絞り込むことです。端的にいうと、狙うべき市場や顧客を明らかにすることを意味します。

ここでは、マーケティング戦略におけるターゲティングの立ち位置と、用語として混同されやすい「ペルソナ」との違いについて解説します。

STP分析とターゲティング

ターゲティングは、マーケティング戦略のフレームワークである「STP分析」の中の一つの要素です。STP分析とは、自社の市場での立ち位置を理解するための手法であり、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「ポジショニング(Positioning)のステップで進められます。

ここでのセグメンテーションとは、市場を分割・細分化することです。広い市場を、年齢・性別・年収・家族構成・趣味嗜好(しこう)・居住地・悩みなどの要素で分類します。ターゲティングでは、セグメンテーションで分類されたグループの中から、収益性や自社の強みなどを基に絞り込みを行います。ポジショニングでは、4C分析などのフレームワークを活用し、自社の商品・サービスの立ち位置を分析します。

ターゲティングはSTP分析の中間段階に位置し、セグメンテーションのあとに実施します。

ペルソナとの違い

ターゲティングと混同されやすい用語に「ペルソナ」がありますが、両者には明確な違いがあります。ターゲティングは、年齢・性別・趣味嗜好(しこう)などの要素でグループ化した集団であるターゲットを定めるのに対し、ペルソナの設定ではより詳細な人物像を想定し、個人レベルにまで落とし込みます。

ペルソナを設定することでニーズの明確化に役立つほか、社内で統一されたユーザー像を共有でき、部門間でのスムーズな連携が可能になります。

ターゲティングがマーケティングや営業にもたらすメリット

ターゲティングは、マーケティングや営業活動に欠かせない要素の一つであり、実施することで多くのメリットがあります。ここでは、その中から2つのメリットをご紹介します。

多様化したニーズに応えられる

消費者のニーズや企業の購買行動は多様化しており、マーケティングや営業活動では、変化するニーズに対応する必要があります。ターゲティングを用いて特定の市場セグメントに絞ってアプローチすることで、ニーズに沿った価値を提供しやすくなります。

営業効率を高められる

ターゲティングを実施せずにマーケティングや営業活動を行うと、効率が悪くなり、費用対効果の低減につながる恐れがあります。

ターゲティングにより狙うべき層を明確にし、予算とリソースを適切に配分することで、営業効率を高められます。

また、ニーズに沿って価値を提供することで顧客満足度の向上にもつながり、結果的に成約率にも良い影響を与えると考えられます。

ターゲティング戦略の設計に役立つフレームワーク

ターゲティングの設計に役立つ代表的なフレームワークとして、 「3C分析」と「6R」があげられます。各フレームワークの概要や特徴をみていきましょう。

3C分析

3C分析は、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの要素を基に、市場環境を分析する方法です。業界内での自社のポジションなど、相対的な視点を取り入れられるため、顧客のニーズや自社の強み・弱みを客観的に理解でき、事業計画やマーケティング戦略の策定に役立ちます。

3C分析の手順は、次の通りです。

  1. 市場・顧客分析:市場のニーズと傾向の理解
  2. 競合分析:市場での競争状況を把握
  3. 自社分析:内部の強み・弱みの評価

市場・顧客分析では、全体像を理解するために、市場・顧客の分析を行います。マクロ分析・ミクロ分析・顧客分析などの手法を用いながら、顧客ニーズや市場のトレンドなどを把握し、顧客理解を深めるフェーズです。

競合分析は、競合他社の市場対応や施策を調査し、自社との比較を通じて成功の道筋を見つけ出すプロセスです。競合の業種や事業規模、売り上げ・市場シェア・商品やサービスの強みなどの調査を行います。

自社分析では市場・顧客・競合の情報を軸に、自社の強み・弱みや、市場におけるチャンスやリスクを組み合わせ、経営戦略を構築します。3C分析は、市場環境の変化に応じて更新することで、企業として持続的な競争力を維持できます。

6R

6RはSTP分析を行う際に用いられる指標であり、市場とユーザー層を客観的に特定するために役立ちます。次の6要素の頭文字をとり、「6R」と呼ばれています。

  • Realistic Scale(有効な市場規模)
  • Rate of Growth(成長性)
  • Rank/Ripple Effect(顧客の優先順位と波及効果)
  • Reach(到達可能性)
  • Rival(競合状況)
  • Response(反応の測定可能性)

ここでは、6Rの指標を一つずつ詳しくみていきます。

Realistic Scale(有効な市場規模)

Realistic Scale(有効な市場規模)は、実際の市場の規模を評価する指標です。企業が検討する市場が本当に存在し、成長の余地があるかどうかを判断するのに役立ちます。

市場規模の正確な把握は、経営資源の適切な配分や効果的なターゲティングを実施するために重要です。この指標を評価するには、市場調査データ・統計情報・競合分析を活用し、市場の実際の需要や成長可能性を明らかにする必要があります。

Rate of Growth(成長性)

Rate of Growth(成長性)は、市場が成長し得るか否かを探る指標です。競合の売上高や市場の経済規模、消費額などを分析します。

市場の成長率が高い場合、新たなチャンスが生まれ、競争優位性を高められます。

Rank/Ripple Effect(顧客の優先順位と波及効果)

Rank(顧客の優先順位)は、自社の商品やサービスがユーザーにとってどれだけ重要かを測る指標です。優先度が高い場合、競合他社の市場シェアが大きくても、自社の商品・サービスが選ばれる可能性が高まります。

ランク付けには、メディアやSNSでの露出力も影響します。Ripple Effect(波及効果)は、周囲の市場や顧客に与える影響を示す指標です。メディアやインフルエンサーを通じて拡散されやすい商品・サービスは、優先度が高まりやすくなります。

Reach(到達可能性)

Reach(到達可能性)は、ターゲットにアプローチできるか否かを表す指標です。コストに見合ったマーケティング施策の効果を得るには、到達可能性を考慮することが欠かせません。到達可能性を検討するには、市場へのエントリー障壁や販売チャネル、広告・流通網などの評価を行います。

物理的距離の近さの例をあげると、仮に実店舗の飲食店をオープンする場合、人口の少ないエリアよりも多いエリアのほうが、より多くの顧客にアプローチできるでしょう。ターゲットとの距離が近いほど、到達する確率が高まるといえます。

Rival(競合状況)

Rival(競合状況)は、ライバルとなる競合他社が置かれている状況や、売り上げ・事業規模を評価する指標です。競合が複数存在する場合は、高いシェアを持つ競合の特徴を分析します。「競合が多い」「大手企業が市場シェアを獲得している」といった状況でも、自社に強みがあれば新規参入の機会を得られる可能性があります。

Response(反応の測定可能性)

Response(反応の測定可能性)は、ターゲットへのアプローチ効果の計測可否を評価する指標です。マーケティング活動の成功を評価するためには、実施した施策の効果を明らかにする必要があります。例えば、「Webサイトの訪問者を増やす」という目標が設定されているケースでは、訪問者の中で新規訪問者とリピーターを区別して分析可能かどうかがポイントです。

目標の達成度を正確に測定できなければ、マーケティングの戦略の成果を評価することが難しくなり、さらにはチームのモチベーションにも悪影響を及ぼす恐れもあるでしょう。効果の計測を適切に行うことで、施策のコスト効率の評価・調整が可能になります。

ターゲティングを設計する際の注意点

ここまで、ターゲティングのメリットやフレームワークをみてきましたが、実際の業務にとり入れる際には、以下の点に注意してください。

  • すべての人をターゲットにするのは効果的ではない
  • 年齢・性別のみでターゲティングしない
  • ターゲティングで終わりではない

すべての人をターゲットにするのは効果的ではない

すべての人をターゲットとして設定することは、営業やマーケティングの戦略として適切ではありません。年齢・性別・趣味嗜好(しこう)の異なるすべてのターゲットに有効な施策を実行するのは難しいため、施策が散発的になりやすく、コストに見合った効果が得られない可能性があります。

ターゲットを絞ると当然対象人数や企業は減りますが、結果として顧客にあった商品・サービスを提供できます。

年齢・性別のみでターゲティングしない

年齢や性別に焦点を当てるだけでは、効果的なターゲティングには不十分といえます。

例えば「30代の男性」といっても、企業規模・業種・職種・役職はさまざまです。誰に自社の製品やサービスの情報を提供するべきか、それが実際の決裁者であるのかによってニーズやアプローチ方法も変わってくるため、詳細条件まで設定する必要があります

ターゲティングで終わりではない

ターゲティングを行って終わりではなく、その後の実行・評価・最適化のステップも重要です。ターゲティングの成功は、実際の施策の成果に基づき評価されます。新しいデータや市場の変化に対応するためにも、定期的な評価と調整が必要です。

まとめ

ターゲティングは、市場を詳細に分析し、自社の強みや競合情報を考慮したうえでマーケティング施策を展開する対象を絞り込むプロセスです。ターゲティングを行うことで、マーケティング活動における多様化したニーズに応えられることや、営業効率を高められるなどのメリットがあります。3C分析や6Rなど、役立つフレームワークや指標を活用し、効率的に実行しましょう。

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営業DX Handbook 編集部

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営業DX Handbook 編集部

Sansanが運営する「営業DX Handbook」の編集部です。DX推進や営業戦略、マーケティングノウハウなど、営業・マーケティング課題の解決に導く情報をお届けします。