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BtoBマーケティングとは?概要やプロセス、手法について解説
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BtoBマーケティングは、企業対企業型のビジネスをしている企業にとって欠かせないマーケティング活動です。相手方の課題やニーズをとらえてアプローチすることで良好な関係を構築でき、ひいては自社の売り上げ向上が期待できます。
本記事では、BtoBマーケティングの役割や現在において必要とされる理由、代表的な手法について解説します。昨今のトレンドやBtoBマーケティングを成功させるポイント、成功事例もご紹介していますので、ぜひお役立てください。
BtoBマーケティングとは
そもそも、BtoBは「Business to Business」の略語で、企業対企業のビジネスを意味します。つまり、BtoBマーケティングとは、サービスや商品を提供する企業が、それらを購入する企業を対象として実施するマーケティング活動を指します。
BtoBビジネスで売り上げや利益を向上するためには、相手企業の課題やニーズに寄り添いコミュニケーションを取ることが大切です。そのための手段がBtoBマーケティングであり、相手企業の課題解決・目標達成に寄与する役割を果たします。
BtoBマーケティングが必要な理由
BtoBマーケティングが必要とされる理由は、インターネットのインフラ化により購買行動が変化し、マーケティング活動の重要性が高まったからです。
2000年代に入りインターネットが社会インフラとして普及したことにともない、BtoBビジネスにおいても購買行動に大きな変化が訪れました。従来は、サービス提供側の営業担当者が相手企業に対して対面で提案をして取引につなげることが一般的でした。しかし、現在では相手企業側がインターネットを用いて情報収集を行い、営業担当者を通さずに購買検討が完了しているケースも少なくありません。
このような変化から、BtoB領域においても顧客に自社の商品やサービスを見つけてもらい、検討度を高めてもらいながら購買に向けたコミュニケーションを行うマーケティング活動が重要になっています。実際に、2023年6月にSansanが発表した「BtoBマーケティングに関する実態調査」では、対象企業の9割以上が「BtoB事業でもマーケティングは重要」と回答しています。
また、同調査では、「BtoBマーケティングが重要な理由」について、「売り上げ目標の達成」「商圏の拡大」「プッシュ型の営業活動の限界」といった理由が挙げられました。このような理由から、BtoBマーケティングは新たな売り上げ拡大策として検討されていることがうかがえます。
BtoCマーケティングとの違い
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングとの違いは、対象となる顧客が企業・個人であるかで異なるため、購買目的や意思決定に関わる人数、検討期間などに現れます。
ただし、顧客に対して適切なタイミングでアプローチをすることで、成約へとつなげるという点では共通しています。
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングの違いについて、次の比較表にまとめました。
比較軸 | BtoB | BtoC |
顧客 | 企業 | 個人 |
顧客の数 | 少ない・限定的 | 多い・幅広い |
購買目的 | 課題解決による企業の利益 | 所有、利便性、満足、または課題解決 |
意思決定に関わる人数 | 複数(多層にわたる) | 基本的には購入者一人 |
検討期間 | 長い | 短い |
単価 | 数万円~数億円と高額 | 数百円~数百万円と少額 |
取引頻度 | 少ない | 多い |
BtoCは対個人であるため、成約に至るまでに関わる人数は少なく検討期間も短い傾向にあります。一方で、BtoBでは、相手企業内での複数人の確認と承諾が必要となるため、購買プロセスも増えて長期になってしまいます。
成約につなげるためには、相手企業の課題解決に役立つメリットを担当者に示し、決裁権を持つ人物に働きかけるアプローチが求められるのです。
BtoBマーケティングのプロセス・手法
BtoBマーケティングでは次のプロセスをたどります。事前に各プロセスを理解しておき、各段階に応じた手法を実施することが、BtoBマーケティングを成功に導きます。
- リードジェネレーション
- リードナーチャリング
- リードクオリフィケーション
- クロージング
1. リードジェネレーション
リードジェネレーションとは、「顧客創出」を意味し、自社の商品やサービスに興味関心を持つ見込み客を生み出すプロセスです。顧客の興味を惹き、購買のきっかけを創出するための施策を実施します。
リードジェネレーションの具体的な手法例は次の通りです。
- SEO対策(検索エンジン最適化)
- Web広告
- SNSマーケティング
- 展示会
- セミナー(ウェビナー)
- テレアポ
- テレビCM
SEO対策やWeb広告は、見込み客がインターネット検索をした際に接点を作るための受動的な施策です。一方で、SNSマーケティングやセミナー、テレアポなどは、自社に興味を持つ見込み客に対して積極的に働きかける能動的な施策です。各手法を複合的に用いることで相乗効果が期待できます。
どの手法も見込み客に対する訴求方法やコンテンツが異なるため、自社がどのような顧客を獲得したいかを明確にして手法を選別しましょう。
2. リードナーチャリング
リードナーチャリングとは、リードジェネレーションで創出した見込み顧客に対して適切なアプローチを実施し、見込み客を育成(購買の検討度を高める)するプロセスです。見込み客との接点を持ちコミュニケーションを繰り返しながら、興味や信頼を獲得します。
リードナーチャリングの具体的な手法例は次の通りです。
- メールマガジン(ステップメール)
- 導入事例
- ホワイトペーパー
- SNSマーケティング
- セミナー(ウェビナー)
- フォロー架電
リードナーチャリングでは、顧客との接点を繰り返し作り出せる手法が用いられます。商品やサービスの情報をメールマガジンで定期的に配信したり、SNSで露出度を高めたりすることで、顧客からの興味喚起や信頼関係の構築に役立てます。
3. リードクオリフィケーション
リードクオリフィケーションとは、リードナーチャリングで育成した見込み客の中から購買の可能性が高い見込み客(ホットリード)を選別するプロセスです。代表的な手法にスコアリングが挙げられます。
スコアリングでは、例えば、メルマガ開封は3点、資料請求は5点というように行動ごとにスコアを設定しておき、見込み客が起こした行動に対してスコアを加算し、最終的にスコアが高かった見込み客をホットリードとして選出します。
ホットリードをリストアップしておけば、見込み客を絞り込み最適なタイミングでアプローチできるため、効率的な営業活動が可能となるでしょう。
なお、スコアリングの精度を高めるためには、実際に顧客・見込み客と対面する営業担当者や顧客自身へのヒアリングを実施し、属性や行動をスコアに反映させることをおすすめします。
4. クロージング
クロージングは、リードクオリフィケーションで選定したホットリードに対してアプローチを行い、商談によって受注へとつなげるプロセスです。ここまでのプロセスで育んできた顧客との関係性や入手した顧客情報、課題やニーズを活用して成約を目指します。
クロージングの代表的な手法はフィールドセールスですが、業種によってはオンラインでクロージングが完結するケースもあります。クロージングまで進んだ見込み客は、これまでのプロセスで自社商品やサービスへの知識や興味を有している状態です。これらの前提を理解しておけば、見込み客が違和感を抱くことなく商談をスムーズに進められるでしょう。
また、BtoBマーケティングはクロージングすれば終わりではなく、顧客と継続的に良好な関係を構築することが重要です。以下にご紹介する、BtoBマーケティングを成功させるポイントもお役立てください。
BtoBマーケティングのトレンド
BtoBマーケティングのトレンドは次の通りです。
- コンテンツマーケティング
- アカウントベースドマーケティング(ABM)
- インサイドセールスの導入
- カスタマーサクセスの導入
- 営業・マーケティングのDX推進
トレンドをおさえて、適切なマーケティング施策を実施しましょう。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、見込み客にとって有益なコンテンツを提供して興味を引き、最終的な購買へとつなげるマーケティング手法です。
コンテンツマーケティングに該当するコンテンツは、記事コンテンツ、SNSの発信、ホワイトペーパー、導入事例など多岐にわたります。
BtoBマーケティングはBtoCに比べて検討期間が長いため、顧客からの信頼獲得にはコンテンツを用いたアプローチが有効です。企業担当者が自ら情報を収集する、現在のBtoBビジネスの購買行動にも合致した施策といえるでしょう。
また、営業を自動化するMA(マーケティングオートメーション)を導入すれば、顧客の状態に応じて最適なタイミングでコンテンツを配信できるのでうまく活用すると良いでしょう。
アカウントベースドマーケティング(ABM)
アカウントベースドマーケティング(Account-Based Marketing・ABM)とは、特定の企業に向けたOne to Oneの戦略で、マーケティング施策を展開する手法です。大きな売り上げや利益が見込める優良な見込み客にリソースを集中させることで売り上げや利益、ROI(投資収益率)の最大化が期待できます。
アカウントベースドマーケティングは従来から存在する概念ですが、MAやCRM、SFAなどのマーケティングツールの進化によって、特定企業に向けた戦略をより深く練りやすくなっています。
ABMによって対象企業にアプローチできれば、アップセルやクロスセルなどの手法で販路拡大ができ、安定的な案件獲得にもつながるでしょう。ABMについて、詳しくは次の記事をご覧ください。
インサイドセールスの導入
インサイドセールスとは、電話やメール、ビデオ会議などを活用して顧客との関係を構築し、販売活動を行うセールス手法です。社内にいながら営業活動ができるため、出張費用や移動時間などの削減につながります。
従来の営業は、取引先へ訪問し対面でコミュニケーションを取るフィールドセールスが主流でした。しかし現在は、Slack・Zoomをはじめとしたチャット・音声コミュニケーションツールや、CRM・SFA・MAといった営業・マーケティング活動の支援ツールの発達などにより、インサイドセールスを導入する企業も増えています。
カスタマーサクセスの導入
カスタマーサクセスとは、直訳すると「顧客の成功」を指す用語で、自社商品やサービスを導入した企業に対して、課題解決のサポートや満足度を向上させる施策を実施することで、長期的な契約継続をめざすことです。
カスタマーサクセスによって顧客にアプローチを実施する中で、顧客が持つ隠れた課題やニーズを見つけられれば、アップセル・クロスセルにもつながります。現在では、SaaSやサブスクリプションといったビジネスモデルにおいて欠かせない取り組みとなっています。
営業・マーケティングのDX推進
営業・マーケティングにおいてDX化を推進することも、BtoBマーケティングにおいて欠かせないアプローチです。デジタル技術の活用により、マーケティングや営業活動をより効果的・効率的に実施できるようになるからです。
例えば、ツールなどを用いて見込み客・顧客の状況や施策の実施結果などをデータとして数値化・可視化し、関係者間で共有できれば、PDCAを効率的に回せるようになります。属人的な営業・マーケティング活動からの脱却にもつながるでしょう。そのためには、CRM、SFA、MAなどの利用による顧客情報の活用がポイントとなります。
BtoBマーケティングを成功させるためのポイント
BtoBマーケティングを成功させるには、次の3つのポイントをおさえておきましょう。
- 顧客目線で戦略を立案する
- 部門間の連携体制を構築する
- 目的を明確化し、それに合致したツールを活用する
顧客目線で戦略を立案する
BtoBマーケティングは、対企業型のマーケティング施策であるため、効果を上げるには顧客理解を進め、顧客目線で戦略を立案することが大切です。
見込み客や顧客のニーズを理解できていないと、リードナージェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーション・クロージング、どのフェーズにおいても実態に即したアプローチが行えず、成果は最大化できません。
顧客のニーズを把握するためには、既存顧客のインサイト分析や、見込み客へのインタビュー、アンケート調査などのヒアリングの実施が役立ちます。得られた情報から顧客理解を進め、適切なコミュニケーションを取れるよう戦略を立案してください。
部門間の連携体制を構築する
部門間の連携体制を構築し、社内でスムーズなコミュニケーションや情報共有ができる施策も重要です。
先述の通り、BtoBマーケティングでは複数人が関係するため、検討期間が長くなる傾向にあり、購買に至るまでのプロセスが多くなります。そして、一般的にはこれらのプロセスはマーケティング・営業・カスタマーサクセスといった複数の部門をまたいで実施されます。
このとき、部門間で十分に連携されていれば、獲得した見込み客が受注に至ったのかをマーケティング担当者が確認でき、効果的なBtoBマーケティングの実施に寄与するでしょう。一方で、連携体制が取れていない場合には、質を問わず見込み客を獲得し続ける結果、営業効率の低下や機会損失が起こりかねません。
BtoBマーケティングを成功させるためにも、各部門がそれぞれの役割を理解し連携することで情報共有を十分に行い、見込み客や顧客の動向を把握できる体制を整えましょう。
目的を明確化し、それに合ったツールを活用する
BtoBマーケティングを効率化させるためにCRMやSFA、MAツールを導入する際は、事前に目的を明確にして条件に見合うツールを選定することが重要です。なぜなら、ツール導入は一見すると効率的に感じますが、一方でコストがかかり負担となる可能性があるためです。
自社の置かれている状況や、BtoBマーケティングにおけるどのフェーズでツールを導入するのかなど、施策の目的に合致したツールを選びましょう。また、現段階で本当にツールが必要なのかを慎重に検討することも重要です。
顧客データを活用したSansanのBtoBマーケティング取り組み例
最後に、BtoBマーケティングの取り組み例として、Sansanが実践した顧客データ活用戦略の一例をご紹介します。BtoBマーケティングの戦略立案の参考にご活用ください。
事業成長を加速させるデータ活用戦略
企業成長の過程においては、各フェーズごとに採るべきマーケティング戦略が異なります。例えば、創業期には、顧客データを漏れなく収集し、マーケティングのフェーズごとにおける正確な数字の把握、受注率や商談化率などステップが変わる際の転換率を割り出すことでセールス活動に活用できます。
また、拡大期には、相手企業を選別し、各ニーズに沿った商材提案や担当者ごとのアプローチ戦略を練る戦略策定が必要です。以下は、Sansanの事業フェーズごとの戦略例です。
Sansanは、オンライン・オフラインで獲得した顧客情報をデータベースに一元管理。AI技術によって名寄せとデータクレンジングを自動化します。正しいデータを資産として蓄積し、営業・マーケティングのPDCAを回すとともに、顧客ニーズに合致した提案をサポートします。
顧客データベースを活用したインサイドセールス
Sansanでは、2011年頃からインサイドセールスに取り組んできました。その中で、インサイドセールスで成果を上げるための3つのポイントを紹介します。
1.テレアポの際に関係性を作る
単なるテレアポに終始せず、顧客の悩みを適切にヒアリングすることで、商談の土台となる関係性を作る。
2.顧客データベースを構築する
部門間を横断して情報共有ができる顧客データベースを構築し、一元管理する。
3.顧客の興味に沿った提案を行う
顧客データに「興味テーマ」を付与し、顧客の興味に沿った提案を関係部署で一貫して行う。
この中でも特に重要なのが、顧客データベースの構築です。Sansanの活用により、社内のあらゆる顧客データを統合・正規化することで、インサイドセールスをはじめとした各部門間で共有、一貫した提案を実現します。
まとめ
BtoBマーケティングは、企業対企業型ビジネスにおけるマーケティング戦略を練る必要があるため、検討期間が長く長期的なプロセスになりがちです。各プロセスを理解し、見込み客の状況に応じて最適な手法を取ることが成約へとつながります。
そのためには、顧客のニーズや課題を把握し、社内で部門を超えて共有することが大切です。また、BtoBマーケティングを効率化させるためのツール導入を検討することもおすすめします。
Sansanはあらゆる顧客情報を営業に活用できる営業DXサービスです。BtoBビジネスの導入実績も数多くありますので、BtoBマーケティングで成果を上げたいと考えている方はぜひ導入をご検討ください。
部門別Sansan活用例
〜マーケティング部門編〜
Sansanを全社でご利用いただくと、マーケティング部門でどんなメリットを感じるか、具体的にイメージしやすくなる資料です。
ライター
営業DX Handbook 編集部