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企業情報を新規顧客開拓に生かすには?収集すべき情報と取得方法を解説
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企業の営業活動に欠かせないのが企業情報の収集です。取得した企業情報を市場のセグメントやターゲットの選定に活用して、効率的に営業活動を推進することが求められます。
この記事では、収集すべき情報と取得方法、取得した情報の活用法や注意点について解説します。新規顧客開拓のために企業情報の収集を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
企業情報とは?
企業情報とは、取引先(販売先、仕入先)としての可能性や価値、リスクを知るための、企業に関するさまざまな情報です。投資先や就職先を検討する際にも利用されます。
企業情報の項目は、住所や電話番号などの基本情報のほかに、経営理念、財務状況、取引リスクなど多岐にわたります。
企業情報の項目と内容
企業情報の主な項目には次のようなものがあります。
- 基本項目
- 経営理念に関する項目
- 経営状況や財務状況に関する項目
- 評価やリスクに関する項目
それぞれの項目の内容を以下に解説します。
基本項目
企業情報の基本項目には次のようなものがあります。
- 社名、代表者名、法人番号
- 本社所在地、支店・事業所所在地
- 電話番号、fax番号、eメールアドレス、ホームページURL
- 業種、業態
- 資本金、売上高、利益
- 従業員数、設立年月
- 取引金融機関、主要取引先、主要株主
これらの基本情報は企業プロフィールと呼ばれることもあります。
経営理念に関する項目
企業情報には、事業への姿勢を表明する経営理念も含まれます。
最近は、企業理念を「パーパス」「ミッション、ビジョン、バリュー」という言葉で説明する企業が増えてきました。
企業ガバナンス、企業コンプライアンスへの社会の関心、監視が強まる中で、経営理念やパーパスも重要な企業情報の1つです。
経営状況や財務状況に関する項目
資本金が5億円以上の大企業は、毎年の決算公告で貸借対照表と損益計算書を公表しています。
中小企業も、株式会社は貸借対照表の公表義務がありますが、実際に公開している企業は多くありません。決算公告は官報や日刊新聞に掲載されており、企業によってはホームページに掲載しています。官報は、国立国会図書館の官報情報検索サービス(有料)で閲覧することが可能です。
財務データと呼ばれるものには、貸借対照表と損益計算書のほかに、キャッシュフロー計算書があります。
参照:官報情報検索サービス
評価やリスクに関する項目
大企業の評価には、株式会社日本格付研究所(JCR)などによる格付けがあります。中小企業の格付けをおこなっている信用調査機関もありますが、対象企業は限られています。
リスクに関する項目では、与信分析や反社会的勢力との関係を調べる反社チェックがあります。これらは自社で行う以外に、信用調査機関に依頼してデータを取得することができます。
企業情報を取得する目的
企業情報を取得する主な目的は次のとおりです。
- 営業ターゲットの選定
- 与信管理やリスク管理
- 投資先や就職先としての評価
営業ターゲットの選定
BtoB企業では、新規顧客開拓のターゲット選定に企業情報の収集は必須です。
例えば、取得した名刺から営業リストを作る際は、上記の企業情報の項目を洗い出し、アプローチの優先順をつける参考にします。
インサイドセールスの見込み客育成においても、さまざまな企業情報をメールの内容を考える際の参考になります。問い合わせに応える際も、企業情報を確認しておくことが有益です。
一定のセグメントを経た営業リストを購入する場合も、リストアップされた企業の情報を自社なりに確認して、アプローチの参考にする必要があります。
与信管理や反社チェック
与信管理は、取引先から売掛金を回収できなくなるリスクを抑えることを目的とした管理です。
反社チェックは、取引先が反社会的組織に関係していないかを調査して、コンプライアンスリスクを回避するためのチェックです。
投資先や就職先としての評価
投資先や就職先を決めるにも企業情報の収集が必要です。
投資先を決めるときに重要な企業情報は、財務状況はもちろんとして、企業理念やパーパス、ビジョンなどの確認も重要です。
就職先の検討では、ホームページのリクルートページのほかに、企業理念や代表者メッセージも企業風土を知るうえで役に立ちます。Webの企業口コミサイトも参考になります。
本記事では、営業ターゲットの選定を目的とする企業情報に関して、以下に解説します。
企業情報の取得方法
新規顧客獲得のために企業情報を取得するには、次のような方法があります。
- ホームページやSNSなどで企業が発信している情報
- 出版物やWebなどの公知情報
- 口コミや評判
- 検索サイト外部データベースの利用
ホームページやSNSなどで企業が発信している情報
ホームページやSNSの公式アカウントなど、企業が自ら発信している情報も重要な企業情報です。
企業理念やパーパスなどは、ホームページに記載されている例が多く、代表者のあいさつからも経営姿勢をうかがうことができます。
事業案内や商品紹介から、自社製品・サービスのニーズを探るのはもちろん、社員紹介やリクルートページからも対象企業の課題を探ることが可能です。
出版物やWebなどの公知情報
企業情報は、下記のような公知情報からも取得できます。
- 会社四季報などの出版物
- 経済専門紙や一般紙などの新聞
- Web上のさまざまコンテンツ
ただし、Web上の情報には、間違いや意図的な偽情報が含まれていることがあるため、注意しましょう。
口コミや評判
従業員が営業先で耳にした評判、企業のトップ同士の会話から得た情報などの、口コミや評判も企業情報の1つです。
口コミや評判は、トクダネ的な価値がある場合もありますが、基本的には真偽不明なため、情報を利用する際は注意が必要です。
検索サイトの利用
検索サイトと呼ばれる外部データベースから、企業情報を取得することができます。データベースには、公的データベースと民間データベースがあります。
もっとも有名な公的データベースとして、国税庁の法人番号公表サイトがあり、1.商号、2.本店所在地、3.法人番号の基本3情報を検索できます。
各業界団体の公式ホームページでは、加盟企業の一覧を見ることができます。
東洋経済新報社の「会社四季報オンライン」や日本経済新聞社の「日経バリューサーチ」をはじめとして、民間が提供する企業情報の検索サイトは数多くあります。サービスの利用は有料が基本ですが、一部無料で利用できるものもあります。
企業名を入力して検索するサービスのほか、顧客開拓ターゲットとしてリスト化されたデータも販売されています。
企業情報を新規開拓に利用する方法
新規顧客開拓に企業情報を利用するには、収集した情報を
- セグメントをわける
- ターゲットを絞る
- 自社のポジションを定める
という手順でアプローチしていきます。
1.セグメントをわける
自社の製品・サービスへのニーズを想定して、有効と思われる指標に基づき、企業情報をセグメントしましょう。
セグメントの指標には、業種、業態、企業規模、所在地などさまざまなものがあります。事業会社、コンサルティング会社、代理店など、ビジネスモデルによるセグメントもあります。
情報システム部のある会社、研究開発部のある会社など、部署によるセグメントわけも可能です。
セグメントの切り口は1つではなく、有効と思われる複数の切り口で検討することで、各セグメントの特性がよりクリアになります。
2.ターゲットを絞る
セグメントとしたグループから、自社製品への高いニーズが想定されるグループを優先的なターゲットに選定します。
ターゲティングのポイントは次の3つです。
- 有効規模:十分な売り上げと利益を確保できるターゲットか
- 到達可能性:自社の商品・サービスがターゲットのニーズとマッチするか
- 測定可能:アプローチへの反応や効果の測定が可能なターゲットか
ターゲティングは、自社製品の強みの分析と、競合他社との関係で定めるポジショニングに深くかかわっています。
3.競合他社との比較から自社のポジションを定める
ターゲットに対して、自社製品が競合と比較して相対的にどのようなポジションにあるかを明らかにしたうえでアプローチしましょう。
ポジショニングは、顧客視点に立って、自社の優位性を訴求できるポジションを選定することが重要です。自社のポジションを明確にすることにより、見込み客に響く効果的なアプローチや営業トークが可能になります。
企業情報を利用する際の注意点
企業情報を利用する際は、次の点に注意しましょう。
- 情報を取得する目的を明確にする
- 信頼できるソースから情報収集する
- 情報収集にかかる手間とコストを勘案して入手方法を決める
- 取得した情報を整理し共有する
- 情報の取り扱いに注意する
それぞれについて以下に解説します。
情報を取得する目的と範囲を明確にする
膨大な企業から必要な情報を効率的に取得するために、情報の取得目的を明確にし、取得範囲をできるだけ絞っておきましょう。
例えば、各営業パーソンが過去に獲得して商談にいたらなかった名刺は、古くなったからといって各自が勝手に処分するのではなく、改めて集約して企業情報を洗い直す価値があります。
信頼できるソースから情報収集する
SNSやWebサイトなどに流されるフェイク情報に注意し、信頼できるソースから情報を収集しましょう。
取引先で耳にした情報も、自社に都合の良い情報ほどうのみにするのは危険です。
情報収集にかかる手間とコストを勘案して入手方法を決める
一から社内で企業情報のデータベースを構築するのは、手間やノウハウの不足を考えると現実的ではありません。手間とコストを勘案しつつ、外部データベースの利用と社内での情報収集を組み合わせることが必要です。
外部の企業データベースを利用するメリットは、データベース提供会社の独自のカテゴリやセグメントで分析することで、単純な業界区分ではヒットしないターゲットを抽出できる可能性があることです。
企業データベースの提供サービスとして有名なものには、東京商工リサーチ、帝国データバンク、SalesNow Targeting、法人企業データベースLBCなどがあります。
取得した情報の共有と更新
取得した情報を、目的に照らして取捨選択しながら整理し、適切なツールを用いて社内で共有しましょう。
取得した企業情報を蓄積して共有するのに役立つツールには、MA(マーケティング オートメーション)CRM(顧客関係管理)SFA(営業支援システム)などがあります。
また、企業情報は変化するため、最新の情報に更新される必要があります。更新のルールを定めてつねに最新の情報に書き換えるようにしましょう。
情報の取り扱いに注意する
取得した企業情報の取り扱いでは、とくに個人情報に関わる情報が含まれる場合は、個人情報保護法、番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)、不正アクセス禁止法など、情報に関する法規制に注意しましょう。
Webや印刷物などにある公知情報でも、利用目的によっては個人情報保護法に抵触する場合があります。
取得した情報の漏えいを防ぐセキュリティーにも、十分な配慮と対策が必要です。管理ツールの運用では、閲覧権限の適切な設定が欠かせません。
まとめ
企業情報のさまざまなデータベースが利用可能になった現在、新規顧客開拓を目的とする企業情報を効率的に収集するには、目的に沿ったデータベースの選定と活用が必要です。
取得した企業情報は適切なツールで整理し、セグメントと分析を行って、確度の高いターゲットを抽出することが肝要と言えるでしょう。
そのためには、Sansanに搭載されている企業情報の活用が有効です。これにより、ターゲット市場の選定が正確に行うことでき、マーケティング活動の効果が最大化します。
例えば、新規開拓のための営業リストを効率良く作成することが可能です。従来のやり方であれば、見込みの高いリストを作成するためには元となるデータを用意し、自社にあった条件で抽出して加工するなど、多くの手間がかかっていました。
Sansanに搭載されている企業情報を用いれば、受注しやすい企業を絞り込み、アプローチに最適なキーマンも特定することができます。
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ライター
営業DX Handbook 編集部