- 営業戦略
紹介営業とは?メリット・デメリットと具体的な方法、注意点を解説
公開日:
従来のテレアポや飛び込み営業など、見込み顧客獲得が難しくなりつつある営業手法に代わり、効率的な営業活動の手段として「紹介営業」に注目している企業も多いのではないでしょうか。
実際に、優れたセールスパーソンの中には、既存の法人顧客や人脈を生かして営業成績を向上させている人もいます。ただし、紹介営業を誤った方法で行うと、トラブルの原因となるリスクもあるため、注意が必要です。
本記事では、紹介営業のメリット・デメリットや具体的な方法、紹介営業の注意点を詳しく解説します。
紹介営業とは
紹介営業とは、既存の法人顧客や知人などの人脈から、新たな見込み顧客を紹介してもらう営業手法です。紹介を受けるためには、営業担当者と紹介者との信頼関係が求められます。信頼が築かれている場合、紹介を受けた顧客とのコミュニケーションが円滑に進み、高い成約率が期待できます。
紹介営業は、一部の優秀な営業担当者のみが行うものではありません。仕組み化することで紹介数を増やし、組織全体での見込み顧客の獲得単価を下げることも期待できます。
紹介営業のメリット
企業の営業活動において、紹介営業を取り入れることで、さまざまなメリットを享受できます。ここでは、紹介営業の主なメリットを3つ解説しますので、参考にしてください。
効率的に見込み顧客を獲得できる
紹介営業は、効率的に見込み顧客を獲得できることが大きなメリットです。特に、新規で見込み顧客を開拓するための時間や関係構築に要する手間が少ない点が魅力です。
既存顧客との商談や打ち合わせの際に、紹介を促すコミュニケーションを取ることで、新たな見込み顧客につながる可能性が高まります。実現すれば、1つの企業から複数の紹介を受けるケースもあり、効率性の高い営業手法の一つといえます。
さらに、紹介者の知人は同業界の企業や、同様の課題を抱えていることも多く、成約につながりやすいことも特徴です。
高い成約率を期待できる
一般的に、紹介営業では紹介者と関係性が深い企業を紹介してもらえることから、紹介された時点で一定の信頼関係が築かれている状態が多いです。信頼関係をゼロから築く必要がないため、従来の営業手法に比べて高い成約率が期待できます。
また、紹介者が第三者の視点で自社の強みを説明してくれる場合もあり、他社との差別化が図りやすいため成約率が向上することもあります。
コストがかからない
紹介営業は、コストがかからないことも利点の一つです。DM(ダイレクトメール)やWeb広告などのような広告宣伝費が不要であり、多額の営業コストをかけずに、質の高い見込み顧客を増やすことも期待できます。
また、テレアポや飛び込み訪問のように、営業リスト作成の手間やアプローチのための時間がかからないため、人件費を抑えることにもつながります。そのため、紹介営業は数ある営業手法の中でもコストパフォーマンスの高い方法の一つといえるでしょう。特に、予算が限られている中小企業やスタートアップにとっては、導入しやすい営業手法であると考えられます。
紹介営業のやり方4ステップ
紹介営業はハードルが高いと思われがちですが、一連のプロセスを丁寧に実行することで成功率を高めることが可能です。ここでは、紹介営業を効率的に実施する方法を4つのステップに分けて解説します。
1. 顧客や知人との信頼関係を構築する
紹介営業において重要なことは、顧客や知人との信頼関係の構築です。信頼関係がなければ、相手からの紹介は期待できません。自社の製品やサービスが優れていたとしても、営業担当者の対応が不適切であれば、紹介の機会を失うでしょう。
信頼関係の構築にはさまざまな要因が影響しますが、基本的には相手の要望に応え、丁寧で迅速かつ誠実な対応を心がけることが大切です。信頼は一朝一夕で成し遂げられるものではなく、小さな約束も守るなど、一つひとつの積み重ねによって構築されます。そのため、日々の営業活動を通じて、顧客や知人との信頼関係を着実に築き上げておく必要があります。
2. 紹介者のピックアップ・紹介依頼の実施
実際に紹介営業を進めるためには、紹介者の選定を行う必要があります。紹介が見込まれやすいのは、成果を実感している顧客や長期にわたる取引実績のある顧客など、自社の商品やサービスを深く理解し、信頼関係のある相手が理想的です。
また、顧客以外にも、SNSや勉強会でつながったビジネスパーソンなど、日々の交流の中で関係構築ができている人脈も積極的に活用しましょう。
ピックアップした紹介者と商談や打ち合わせの機会を設け、適切なタイミングで紹介を依頼します。紹介営業をはじめて実施する場合は、上手に依頼するためのトークスクリプトの準備や、ロープレの実施などの準備を行うと良いでしょう。
3. 紹介先の担当者とコンタクトを取る
次に、紹介された見込み顧客に対して適切な方法でコンタクトを取ります。紹介者を通じて自社がどのように紹介されたかが不透明な場合もあるため、あらためて自己紹介や会社、サービスについて丁寧に説明しましょう。
紹介先からの自社に対する期待が高まっている状態であるため、第一印象をよくするためにも、細やかな対応が求められます。
4. 紹介者へお礼と報告は必ず行う
紹介先との面談が終了後、紹介先の担当者に対して感謝の意を示し、進捗状況を報告することが礼儀とされています。紹介者は紹介後の結果に関心があるものであるため、適切なフォローアップが重要です。
感謝の言葉や報告がない場合、紹介者の心証を損ねることにつながりかねません。紹介者への適切なフォローアップは、今後の関係維持にもつながるため、適切に行いましょう。
紹介営業のポイント・コツ
紹介営業を実際に行ったとしても、「紹介してもらえない」「商談中にうまく言い出せない」といった課題も発生するでしょう。
紹介営業を成功させるポイントは、次の通りです。
(1)紹介してほしい相手の条件を明確にする
紹介してほしい相手の条件を具体的にすることが重要です。業種・企業規模・地域・課題感などを明確にし、紹介者に伝えましょう。これにより、紹介者は適切な人物を紹介しやすくなります。同業界の紹介先であれば、課題が似ているケースもあるため、比較的話が進みやすいでしょう。
(2)紹介を強要しない
紹介を過度に迫ると、信頼関係を損ねる可能性があります。紹介は自然な流れで行われることが理想です。信頼関係を大切にし、相手が自発的に紹介したくなるような関係を築くことが重要です。
(3)自らも積極的に紹介する
自分からも相手を第三者へ紹介することは、紹介を得るために効果的な方法です。相手に役立つ情報を提供するなど価値を提供することで、相手から紹介を受けやすくなります。
紹介営業のデメリット・注意点
紹介営業には多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットや注意点も存在します。営業活動においては、これらを念頭に置いたうえで取り組むことが重要です。
紹介数に限度がある
紹介営業の大きなデメリットは、紹介数に限度があることです。サービス内容にもよりますが、通常は一つの企業が提供できる紹介数には限りがあります。
一度紹介を受けたあとに、その企業からの追加の紹介は期待しにくいことが多いです。そのため、紹介営業は継続的な営業手法としては限界があるといえます。
計画を立てづらい
紹介営業では、紹介依頼をしてもすぐに紹介してもらえるとは限りません。紹介が得られるタイミングや頻度は、営業担当者側がコントロールできない要因が大きいためです。
また、紹介はあくまでも「お願い」の性質があるため、タイミングや見込み度合いを判断しにくい点もデメリットといえます。
紹介者との信頼関係の構築に時間がかかる
紹介営業においては、紹介者との信頼関係が重要です。紹介者側の立場で考えると、信頼が置けない営業担当者に対し、自分の知り合いを紹介したいとは思わないためです。また、営業担当者が信頼関係を築けていると思っていたとしても、相手が同様に感じているとは限りません。
信頼関係の構築には時間がかかり、さらに営業担当者が替わった場合などには、再び信頼を築く必要があります。このような理由から、紹介者との信頼関係の構築に時間がかかり、紹介営業は成果が出るまでに時間を要する手法といえるでしょう。
紹介者との関係性が悪化する可能性がある
紹介された見込み顧客に対しては、丁寧に対応することが求められます。特に、紹介先の企業から見ると、他社の営業担当者に比べて期待値が高まっている状態です。
しかし、紹介営業であっても成約に至らないこともあります。商品説明が雑だったり、無理にクロージングを迫ってしまったりすれば、紹介先は落胆し、紹介元の評判に悪影響を与える懸念もあります。
対応の仕方によっては、紹介元との関係悪化にまで影響を及ぼすため、紹介営業は通常の営業以上の高い対応力が求められます。
紹介してもらう顧客を選ぶことはできない
紹介営業はあくまで紹介してもらう立場であるため、基本的に顧客を選ぶことができません。紹介してもらった顧客の見込みが低い場合や、自社と相性が悪い場合であっても、断ることが難しいこともあるため注意が必要です。
必要以上のサービスを要求されることがある
紹介先からは、「◯◯さんからいろいろと良くしてくれると聞いたから、当社にも同じようなサービスを」といった、必要以上のサービスを要求されることも想定されます。
丁寧かつ誠実な対応は基本ですが、紹介元に特別なサービスを提供している場合は、紹介先からも同等あるいはそれ以上の対応を期待されることがあるため、慎重に対応しましょう。
まとめ
紹介営業は、その効率性と高い成約率から多くのビジネスにおいて有効な手段の一つです。しかし、紹介数に限りがあることや計画が立てにくいなどのデメリットも存在します。
これらの点を踏まえると、紹介営業を営業戦略の一部として取り入れることは有効ですが、それだけに依存するのは避けたほうが良いでしょう。
継続的な売り上げの向上をめざすには、紹介営業だけでなく、複数の営業手法を取り入れつつ、自社の営業力を強化することが重要です。
例えば、受注確度を高めるための営業リストを作成することも一つの方法です。Sansanでは営業を効率化するためのDXサービスを提供しています。受注確度の高い営業リストの作成や、効果的なアプローチを実現できますので、営業戦略の設計にお役立てください。
3分でわかる Sansan
営業DXサービス「Sansan」について簡潔にご説明した資料です。
ライター
営業DX Handbook 編集部