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スコアリングとは?必要性や評価基準、設定のやり方を詳しく解説
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スコアリングは、見込み顧客の属性や行動などのデータをもとにサービスへの関心度を数値化することです。
スコアリングを活用すれば、関心度や理解度に分けて顧客にアプローチできるため、マーケティング活動に欠かせない手法です。ただし、有効活用するためには、スコアリングの目的やその効果を理解して正しく実施する必要があります。
この記事では、スコアリングの定義や目的、重要性などの概要とともに得られる効果や使われる評価軸、やり方を解説しています。スコアリングの課題、デメリットや実施のポイントも紹介しているので参考にご活用ください。
スコアリングとは
スコアリングとは、属性・行動などをもとに見込み顧客のサービスへの関心度を数値化することを指します。マーケティング活動においては、見込み顧客の選定・抽出の工程で行われます。
マーケティングをフェーズに分類すると、見込み顧客を獲得するための「リードジェネレーション」、アプローチにより購買意欲を高める「リードナーチャリング」、確度の高い見込み顧客を絞り込む「リードクオリフィケーション」があります。スコアリングは、リードクオリフィケーションのフェーズで行う抽出手法です。顧客の属性や行動に従い点数をつけることで購買意欲の高い見込み顧客を絞り込み、営業部門へリストを引き渡します。
スコアリングの目的
スコアリングの目的は、より優先度の高い見込み顧客へのアプローチを行うためです。たとえ多くの見込み顧客を獲得できたとしても、数が多くなりすぎるとすべてをフォローするのは難しくなるでしょう。また、フェーズの異なる見込み顧客に対して同様のアプローチをしては、効果的な営業活動を行えません。
そこで、自社の商品・サービスへの関心度が高い見込み顧客を絞り込むためにスコアリングを実施します。
スコアリングの重要性が増している背景
スコアリンの重要性が増している背景には以下の2つの理由が挙げられます。
- 消費者の購買行動の変化
- MA(マーケティングオートメーション)を始めとしたテクノロジーの進化
インターネットやSNSが広まった昨今において、顧客の購買行動が変化しています。自発的に情報収集して購買プロセスを進める消費者が増えたため、見込み顧客のおかれたフェーズに応じたアプローチが求められています。また、BtoBビジネスにおいては、関係者が複数に及ぶなど複雑な購買プロセスから検討期間が長くなる傾向にあり、成約可能性を高めるためにもスコアリングを実施してタイミングを絞り込み、適切な時期にきめ細やかなアプローチを行う必要があるのです。
また、MA(マーケティングオートメーション)、つまりマーケティング施策に関わる業務を自動化できるツールの進化により、より効率的に顧客にアプローチできるようになったことも、スコアリングが重要視される理由の一つといえるでしょう。
MAツールにおけるスコアリング機能
多くのMAツールでは、ユーザーの属性や行動などのデータをもとに点数化させるスコアリング機能が搭載されています。点数化により、より購買に近い行動を多くとっている見込み顧客を選別することが可能です。
例えば、広告クリックは+3ポイント、資料請求は+15ポイント、サイトの直帰は-1ポイントのように設定することができ、各点数の合計によって見込み顧客の点数を導き出して購入意欲が高いであろう見込み顧客を選定します。
詳細は後述しますが、一般的にMAでは、主に以下の3点を評価軸にしたスコアリングが実施できます。
- 属性
- 興味
- 活性度
MAの概要や機能に関する詳細は、次の記事をご参照ください。
スコアリングにより得られる効果・メリット
スコアリングを実施すれば、さまざまな効果が得られます。ここでは以下の主な5つの効果やメリットを紹介します。
- マーケティング・営業活動の効率化
- 部門間の連携がスムーズになる
- 収益の最大化をめざせる
- 人手不足の解消
- 効果測定・改善がしやすい
マーケティング・営業活動の効率化
スコアリングの実施は、マーケティングや営業活動の効率化につながります。スコアリングにより購買確度の高い見込み顧客を明確にしてアプローチの優先順位を定められるからです。
また、マーケティングと営業との連携時に起こりやすいのが、マーケティングから受け取った見込み顧客のリストに対して商談をしたものの、実は購買意欲が低く成約に至らないケースです。スコアリングにより確度の高い見込み顧客を選定しておけば、このようなリスクを減らし、営業活動を効率的に行えます。
部門間の連携がスムーズになる
マーケティングと営業との連携をスムーズにさせることもスコアリングによるメリットです。マーケティングから営業へ連携する際、見込み顧客の質が低いと営業での不満につながります。このようなケースでは、渡した見込み顧客が商談につながっていない点でマーケティングにとっての不満にもつながる可能性があります。
スコアリングを実施すれば、可視化された数値をもとに効果的な選定ができ、質の高い見込み顧客を営業に引き継ぐことができます。連携がスムーズになり、部門間での不満の軽減も期待できるでしょう。
収益の最大化をめざせる
収益の最大化をめざせるのもスコアリングの利点です。購買確度の高い見込み顧客を絞り込んでアプローチすることで、商談にかかる人件費などのコストを削減でき、1件あたりの収益率を向上させられます。
また、現時点では検討段階にいる見込み顧客をそのまま放置してしまえば将来的な機会損失につながります。認知フェーズにいる見込み顧客であっても、将来的に興味や関心が高まる可能性はあるため、期間を置いて再度スコアリングすることも大切です。
このように、コスト削減による利益率の向上、機会損失を減らすことによる売り上げ向上という双方の視点から収益の最大化をめざせるでしょう。
人手不足の解消
見込み顧客の選定や営業への引き継ぎを担当者の経験や勘などのスキルに頼ってしまうと、属人化が生じて人手不足に陥りやすくなります。一方、MAツールなどを用いると自動でスコアリングを行えます。経験の浅い担当者でも見込み顧客の優先順位を付けられるようになり、属人化を防げるため、結果的に人手不足の解消にもつながるでしょう。
効果測定・改善がしやすい
スコアリングにより見込み顧客の購買意欲を数値化すれば、マーケティングや営業活動における効果測定や改善がしやすくなります。データをもとに客観的に分析し、改善策を立案できるからです。さらに、改善策が効果を上げているかも測定できるため、PDCAを回して継続的な改善を行えます。
また、担当者の勘に頼った評価では属人化が生じやすくなりますが、スコアリングでは客観的な指標により数値化できるため、属人化の抑制にもつながるでしょう。
スコアリングに使われる評価軸
ここからは、スコアリングで用いられる主な評価軸を解説します。
- アトリビュート(属性)
- インタレスト(興味)
- アクティビティ(活性度)
アトリビュート(属性)
アトリビュートとは、担当者が所属する企業の規模や所在地、部門や役職などの顧客情報で用いる指標です。BtoBとBtoCでも属性は異なります。BtoBの場合は、企業と担当者それぞれの属性で分けて評価すると良いでしょう。
企業の属性
- 企業規模(資本金、従業員数)
- 業種(建設業界、金融業界など)
- 地域
個人の属性
- 年代
- 所属部門
- 役職名
例えば、企業属性が資本金5,000万円以上なら5点、それ未満なら3点というように属性に分けて加点します。実際の運用では、ターゲットに近づくほど高得点とするケースが多くなっています。
インタレスト(興味)
インタレストとは、見込み顧客の持つ興味関心の高さを評価する指標です。資料のダウンロードの有無や商品ページ閲覧、ウェビナーへの参加などの見込み顧客の行動に応じて加点し、興味関心の度合いを測ります。
- 資料のダウンロード数
- 問い合わせの有無
- セミナー参加
インタレストは見込み顧客が特定の行動をしたかどうかで評価するため、ほかの手法に比べて容易に行えます。
アクティビティ(活性度)
アクティビティとは、見込み顧客がとった行動(インタレストに該当するもの)の時期や回数を判断して数値化させる指標です。
例えば、ウェビナーに3カ月前に参加し、3日以内に資料をダウンロードした、直近1カ月以内で複数回にわたり商品ページを訪れている、以降まったくほかのアクションがないなどを数値化します。
アトリビュートとインタレストでは加点されますが、アクティビティでは減点点方式で数値化を行います。行動をとったタイミングから時間が経過するほど、購買確度は低下するからです。
- 一定期間におけるサイトの訪問数
- 次のアクションをとった日までの経過日数
スコアリングのやり方・手法
ここでは、MAツールを利用したスコアリングのやり方を解説します。スコアリングの準備と運用、改善において行うべき内容の理解にお役立てください。
スコアリングの準備
準備段階では、既存の見込み顧客のリストをサンプルとして、スコアリングを試行します。実際に属性や興味関心、行動をもとに点数を設定し、スコアを割り当てましょう。
MAツールを利用する場合は、デフォルトのスコア設定がされています。スコアリングの運用経験がない場合や具体的な点数の設定が難しい場合は、デフォルト値を利用して計測するのも良いでしょう。
続いて、スコアリングを行う計算期間を設定します。計算期間の決定はより購買確度が高いと判断できる高スコアをもつ見込み顧客への対応の頻度を基準とします。
例えば、営業目的でスコアリングを実施する場合、営業日は毎日MAを活用するため、計算期間を2日程度に設定しておくと良いでしょう。
スコアリングの運用・改善
実際にスコアリングの運用を始めます。準備段階で設定したスコアと実際の受注状況などのデータとを照合しつつ、スコアリングが正常に機能しているかを検証しましょう。市場変化や商品・サービスのリリースがあればその変動に応じてスコアリングも最適化させます。
運用の初期段階では、マーケティング・営業部門間で定例ミーティングを行うなど、運用に関するすり合わせや連携の機会を設けるのが肝要です。互いの知見を共有でき、改善するために何をすべきなのか、マーケティングと営業間の認識やアイデアを共有できるでしょう。
スコアリングの課題・デメリット
マーケティングや営業活動の効率化に欠かせないスコアリングですが、運用の課題やデメリットがあります。
ここでは以下の4つの課題やデメリットを解説します。
- スコアリングが正確に機能しないことがある
- 初期構築の設定にはスキルが必要
- ツール導入にコストや工数がかかる
- ある程度のデータ量が必要
スコアリングが正確に機能しないことがある
スコアリングを運用する前提として理解しておきたいのが、正しく機能しないケースが起こりうる点です。消費者の購買行動は一人ひとり異なります。購買行動を100%正確に予測するのは難しいため、評価される数値は必ずしも正確な実態を反映できません。スコアリングの結果はあくまで目安であると理解しておく必要があります。
また、市場動向により評価も変化します。一度作成したスコアモデルが完成形であるとは考えず、常にPDCAを回して最適化することが大切です。
初期構築の設定にはスキルが必要
スコアリングの準備でも解説した通り、スコアリングの運用には点数設定や評価する行動の洗い出しなど初期設定の段階から専門知識やスキルを要します。
見込み顧客がもつ特性や自社のビジネスモデルへの理解、顧客の購買行動や市場変化への対応力も求められます。スコアリングの設定に専門の担当者を配置する場合、その期間は本来の業務が滞る可能性もあるので、留意が必要です。
ツール導入にコストや工数がかかる
ツール導入のために工数やコストがかかる点も課題です。エクセルやスプレッドシートによってスコアリングを行うことも可能です。しかし、見込み顧客数が多い場合に手動ですべてを行うのは現実的ではなく、MAツールの導入が必須となるでしょう。
ただし、MAツールの導入にはコストがかかります。また、業務フローの見直しなど工数もかかるため、移行期間においては社内の負担も増えてしまいます。
そのため、予算内でツールを導入できるのか、業務に支障を与えないためにはどのタイミングで導入すべきかなど、計画的に導入を進める必要があるでしょう。
ある程度のデータ量が必要
スコアリングの精度を上げるためには、十分な量と質のデータを確保しなければなりません。なぜなら、量的に不十分であればスコアリングの導入自体が難しくなり、質が落ちれば評価の精度が低くなるからです。
自社でスコアリングを実施する際は、コストだけでなく、スコアリングを適切に行うための十分なデータ量を確保できるのかなども検討する必要があるでしょう。
質の高いスコアリングを行うポイント
質の高いスコアリングを実施するには、以下の3つのポイントをおさえた運用を心がけましょう。
- 最適な評価項目を設定する
- 定期的に見直して改善を繰り返す
- 顧客管理を徹底する
最適な評価項目を設定する
最適な評価項目を設定することで、スコアリングの精度は向上します。ただし、スコアリングの評価ポイントは企業によって異なります。先述したアトリビュート(属性)やインタレスト(興味)、アクティビティ(活性度)も、企業によって必ずすべてを取り入れる必要はありません。自社にとって必要な評価項目を明確にしてから設定しましょう。
なお、過去データの分析は最適な評価項目の絞り込みに有効です。これまで成約に至った見込み顧客はどのような行動をとっていたのか、などの傾向をパターン化し、分析できた属性や行動を評価対象にすると良いでしょう。
定期的に見直して改善を繰り返す
定期的に運用方法や結果を見直して改善を繰り返すことも大切です。なぜなら、初期設定したスコアリングが正しい結果を反映している可能性は低いからです。
各属性や行動の項目や点数が実際の購買行動に即しているか相関性を継続的に検証することが肝要です。適当なタイミングで分析を実施して項目や点数の変更など改善を繰り返すことで、スコアリングの精度は向上するでしょう。
顧客管理を徹底する
スコアリングを運用する際は、顧客管理を徹底するのも重要です。既存の顧客データをもとに顧客理解を深めましょう。そのうえで、自社の商品・サービスを利用する顧客がどのような課題を解決したいのか、何を求めているのか、どのような属性の人に多く利用されているのかを理解するのが大切です。
これらの情報を把握するためにも、全社的に顧客管理を徹底し、適切に管理する必要があります。
まとめ
スコアリングは属性や行動などのデータをもとにサービスへの関心度を数値化してより購買意欲の高い見込み顧客を絞り込むのに有効な手法です。確度の高い見込み顧客を絞り込んで商談を進められれば、成約率が高まり収益を最大化できるだけでなく営業活動を効率化できます。
正しくスコアリングを運用するためには、質の高い顧客データベースの作成や運用、顧客分析が求められます。
Sansanと合わせてSansan Data Hubを活用すれば、社内に蓄積された顧客データを整理・統合し、マーケティングに最適なデータへ進化させることが可能です。また、Sansanは100万件を超える企業情報を標準搭載して登録された顧客データに自動付与できるため、顧客データのリッチ化も行えます。
質の高い顧客データベースをもとにした精度の高いスコアリングを実施するためにも、ぜひSansanの導入をご検討ください。
ライター
営業DX Handbook 編集部