• 営業戦略

CS(顧客満足度)を向上させるポイントとは?企業が取り組む意味とメリットを解説

CS(顧客満足度)を向上させるポイントとは?企業が取り組む意味とメリットを解説

CS(顧客満足度)向上は、従来は主にBtoC企業が重要テーマとして取り組んできました。しかし、近年はBtoB企業にもその重要性が認識されるようになりました。

顧客のことは担当に聞けばわかる、というBtoB営業の常識が、コロナ禍以後は通用しなくなったからです。

その理由として、ネットでまず情報収集する顧客行動の変化や、インサイドセールスの導入による営業プロセスの分業化などで、顧客の顔が見えにくくなったことがあげられます。

この記事では、企業にとってのCS向上のメリットと、取り組み方法やポイントについてわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてください。

目次

  1. CS(顧客満足度)とは?
  2. CS(顧客満足度)を向上させる3つのメリット
  3. CS(顧客満足度)を向上させる方法
  4. CS(顧客満足度)の測定方法
  5. CS(顧客満足度)向上に取り組む際のポイント
  6. Sansanを活用してCS(顧客満足度)向上を実現した事例
  7. まとめ

CS(顧客満足度)とは?

CSはCustomer Satisfactionの略で、顧客満足度と訳されます。自社の商品やサービスに対する顧客の満足度を数値化したものです。

商品・サービスが顧客の期待値を上回ることで、CS(顧客満足度)が向上します。それだけでなく、営業パーソンの印象や企業イメージ(社会的評価)などもCSの要因となります。

カスタマーサクセスとの違いとは

CS向上と混同されやすい言葉として、カスタマーサクセスがあります。

カスタマーサクセスとは、提供した製品やサービスによって顧客が成功を収めるのを支援する取り組みです。顧客の個々の要望に応えるカスタマーサポートより、より広く、深い視野で顧客の利益の最大化をサポートします。

顧客の問い合わせやトラブルに対応するカスタマーサポートも重要ですが、一歩踏み込んだカスタマーサクセスに取り組むことで、さらなるCS向上が実現します。

CRMはCS(顧客満足度)向上に欠かせない取り組み

CRMはツールの名前として知られていますが、本来の意味はカスタマーリレーションシップマネジメント、つまり顧客と良好な関係を築くためのマネジメントのことです。

CRMは、顧客との関係を継続的に築き上げ、売り上げや利益、企業価値を向上させることを目的にしています。

適切なCRM(カスタマー リレーションシップ マネジメント)によって、重要な顧客を見極め、そのニーズにいかに応えるかが明らかになります。

このように、CRMはCS向上を目的とする行為であり、CS向上によってLTVを最大化し、売り上げを拡大するために欠かせない取り組みです。

CS(顧客満足度)を向上させる3つのメリット

CS(顧客満足度)向上には次のようなメリットがあります。

1. アップセルやクロスセルにつながる

CS向上によって、アップセル(上級モデルへの買い替え)、クロスセル(関連商品の購入)の提案が受け入れられやすくなります。

アップセル・クロスセルは、顧客にとっては経費の増加となるため、新たな提案を受け入れてもらうのは簡単ではありません。

しかし、カスタマーサクセスを目指すCRM(顧客関係管理)に取り組むことでCSが向上すれば、提案が単なるセールスではなく、顧客の課題を理解しそれを解決するために役立つ提案と受け止めてもらうことができます。

CSの向上によって顧客の信頼感が増し、アップセル・クロスセルにつながるのです。

2.取引が継続してLTVが向上する

CSが向上することで、他社への乗り換えリスクが低下して、LTV(顧客生涯価値)が向上します。

LTVとは、取引の開始から終了までのスパン(生涯)で、顧客が企業にどれだけの利益をもたらすかを表す指標です

商品の耐用年数が過ぎたときにリピートされない、サブスクリプションサービスを他社に乗り換えられるなどでLTVは低下します。その大きな要因となるのが顧客満足度の低さです。

CS向上に取り組んで、顧客のニーズを把握し、顧客体験を向上することでLTVの向上が期待できます。

3.企業価値が向上する

CS向上によって、商品やサービスへの評価が高まるだけでなく、それを提供する企業の経営姿勢や、社員のパフォーマンスからうかがえる企業風土に対する評価も高まります。

評価が高まることで、顧客から新たな顧客を紹介してもらえる可能性が大きくなります。

評判を聞いた企業から問い合わせが入ることもあるでしょう。資金調達や人材採用にもプラスになるかもしれません。

顧客や社会のこのような反応は、CS向上によって企業価値が向上したことによる効果と言えます。

CS(顧客満足度)を向上させる方法

CS(顧客満足度)を向上させるには、次のような方法があります。

アンケート調査などでCS(顧客満足度)を把握する

CS向上には、まずCSの現状を把握し、顧客がどこに不満を感じているか、どの程度満足しているかを把握する必要があります。

CSの現状を測定するには次のような方法があります。

  • アンケート調査(ネットまたは紙)
  • 顧客へのインタビューや自社社員へのヒアリング
  • アクセス解析ツールでWEB上の顧客の行動を分析する

調査結果は定量的に把握し、定期的に調査をおこなって数値の推移を見ることが重要です。

調査結果に基づいてカスタマーサクセスを強化する

調査結果に基づき、カスタマーサポートの強化のみではなく、顧客の成功を支援するカスタマーサクセスの視点で、顧客にアプローチしましょう。

カスタマーサクセスでは、長期的、継続的、能動的にアドバイスや提案をして、顧客の利益拡大と満足度の向上を目指します

具体的には、調査結果で見えてきた「満たされていない顧客のニーズ」に対して、例えば

  • 商品の機能を改善する
  • ユーザートレーニングをおこない、使い勝手の良さを体験してもらう
  • 適切なアップセル、クロスセルの提案で顧客の課題を解決する

といった施策を行います。

CRMやSFAなどのITツールを活用して顧客満足度を管理する

CSに関するさまざまなデータを蓄積・管理してカスタマーサクセスに生かすには、CRMやSFAなどのITツールを活用する必要があります。

CSの向上に利用できるデータには、購買履歴、問い合わせ履歴、チャットボット利用歴、メール配信履歴、商談履歴などさまざまなものがあります。

これらのデータは一元管理して、可視化、分析、共有することで、初めてCS向上の取り組みに生かすことができます。そのためには膨大なデータを自動的あるいは効率的に処理するITツールの利用が欠かせません。

CS(顧客満足度)の測定方法

CS(顧客満足度)を測定する際は、下記の手順で調査を実施します。

調査課題を定義する

漠然とした顧客満足度の調査ではなく、CS調査で何を明確にしたいかを調査課題として定義することが必要です。

具体的な調査課題の例としては、下記のようなものがあります。

  • 商品やサービスに対する評価から改善点を把握する
  • 満足度の低さに影響した要因を把握する
  • 満足度の高さに貢献した要因を把握する
  • 自社製品が満たしていない顧客ニーズを探る
  • リピート率の高低に影響している要因を把握する
  • 解約率の高さに影響している要因を探る

調査課題をあまり多く設定せずに、優先順位を付けて絞り込むことが大切です。優先されるのは、自社の営業課題の解決のために有効なデータ(施策の根拠となるデータ)が得られると想定される質問です。

アンケート、インタビューなど調査方法を決める

CSを調査する方法には、アンケート調査、ユーザーインタビュー、社内ヒアリングなどがあります。

定義された調査課題に応じて、どの調査方法を選択するかを決定しましょう。

例えば、「商品やサービスに対する評価から改善点を把握する」のが調査課題なら、できるだけ多くの顧客にアンケートする必要があります。

「自社製品が満たしていない顧客ニーズを探る」のが課題なら、顧客へのインタビューをおこなって、対話の中で不満点を探る調査方法がふさわしいかもしれません。

「満足度の低さに影響した要因を把握する」のが課題の場合は、顧客と自社社員のサービスに対する認識の乖離を調査するために、自社でのヒアリングが必要なケースがあります。

どのような示唆を得たいのか、検証したいどのような仮説があるのか、という調査課題に応じて調査方法を決めましょう。

調査項目と質問を作成する

顧客アンケートをおこなう際は、調査課題に応じた質問項目と質問の文章を作成します。

調査結果を数値化するには、CSI、JCSI、NPSなど、いくつかの指標があります。質問の形式は、採用する指標に合わせる必要があります。

CS(顧客満足度)調査の主な指標

どの指標にも一長一短があるため、メリット、デメリットを吟味して、自社の調査目標に適した指標を採用しましょう。

CSI(Customer Satisfaction Index)

CSIの概要を示した図

CSIとは、商品やサービスに対して関連性の高い質問を複数行い、平均を取って顧客満足度を測定する指標です。アメリカで開発された指標で、世界30カ国以上で利用されています。

自社または自社商品に関して30問程度の質問をおこない、各質問に0~100点で回答してもらいます。

一般的に、質問は以下の項目に分類されますが、調査課題によってどの項目を重点的に質問するかは変わってきます。

  • 顧客期待値
  • 顧客不満度
  • 顧客忠実度
  • 知覚品質(商品に対する顧客の主観的な評価)
  • 知覚値(価格に対する満足度)

【スコアの総合点÷回答者数】がCSIの測定値です。総合点のみでなく、各質問のCSI値に着目することで、顧客の具体的な期待、不満、評価などが明らかになります。

JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index

JCSIの概要を示した図

JCSIとは、アメリカで開発されたCSIに、日本独特の評価基準を加えた顧客満足度指数です。

上記のCSIの5項目に、「推奨意向」(商品を他人に勧めたいか)という指標を加えて測定します。

  • 顧客期待値
  • 顧客不満度
  • 顧客忠実度
  • 知覚品質(商品に対する顧客の主観的な評価)
  • 知覚値(価格に対する満足度)
  • 推奨意向

推奨意向の測定は、下記で紹介するNPS®のスコアを援用するのが一般的です。

公益財団法人日本生産性本部内に設立されたサービス産業生産性協議会は、サービス産業の約30種類の業種を対象に毎年JCSI調査をおこない、スコア上位企業を公表しています。

NPS®(Net Promoter Score)

NPS®の概要を示した図

NPS®とは、顧客が企業や商品・サービスにどの程度の信頼や愛着を抱いているかの顧客ロイヤリティを測定する指標です。

※NPS®は、「ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ」の登録商標です。

NPS®は、対象の商品について「誰かにおすすめや紹介をしたいか」という質問に0〜10までの数字で答えてもらい、高評価者と低評価者の比率の差をスコアとして算出します。

【NPS®計算方法の手順】

  1. 「どの程度お薦めしますか」という質問に、0-10の11段階で回答してもらう
  2. 0~6の【批判者】の数を集計し、割合を算出する
  3. 9~10の【推奨者】の数を集計し、割合を算出する
  4. 【推奨者の割合】-【批判者の割合】がNPSスコア

定期的に測定して推移を見る

CS調査は定期的におこない、その推移を注視しましょう。

 定期的な測定をおこなう意味は、単発の調査では、CS向上のための課題や対策は十分に見えてこないからです。定期的に調査して測定結果の変化や推移を見ることで、商品やサービスの改善点が見えてきます。

調査のペース(頻度)は、年に一度、四半期に一度などが一般的です。企業のステージ(創業期など)や経営状況、経営課題によっても異なります。

調査結果は、前回の調査と次のようなポイントで比較します。

  • 全体の満足度のスコア
  • 各項目の満足度のスコア
  • セグメントごとのスコア
  • アンケートから参加者の声の変化

このようなポイントで調査結果の推移を見ることで、施策がCS向上につながっているかを確認できます。顧客ニーズの変化を把握することも可能です。

CS(顧客満足度)向上に取り組む際のポイント

調査結果に基づいてCS(顧客満足度)向上に取り組む際は、次のようなことがポイントになります。

SMARTの原則に基づいて目標を設定する

CS向上の目標は、SMARTの原則に基づいて設定しましょう。

SMARTとは、

  • Specific(具体的)
  • Measurable(測定可能)
  • Achievable(達成可能)
  • Relevant(関連性がある)
  • Time-bound(期限がある)

のことです。

SMARTの原則によって目標を設定することが重要な理由は、次のとおりです。

  • 目標が具体的でなければ、有効な施策が立てられず、成果の判定もあいまいで抽象的にならざるを得ない
  • 測定可能でなければ、目標が達成されたかどうかをふり返って判定することができない
  • 達成不可能な大きな目標、完璧な成果を目標とするのは、リソースの浪費であり、かえって従業員のモチベーションを低下させることになる
  • CS向上との関連性を見極めて目標を立てないと、上記と同様にリソースを浪費になる
  • 目標には期限を設けないと、達成へのモチベーションが上がらないし、そもそも成果の測定、判定ができない

上記は当然のことのようですが、ややもすると逸脱しかねないため、SMARTの原則を意識しながら目標設定することが重要です。

定期的な測定でCS(顧客満足度)向上施策の効果を計測する

「CSを測定⇒対策の立案と実施」を定期的におこない、CSの推移を見ることで対策の効果測定が可能になります。

定期的にCS測定をおこなうことで、前回の測定からの変化が見え、前回の対策の効果や是非が判定できるからです。

BtoB企業では、全体の推移だけでなく顧客ごとの推移にも着目し、効果が上がった要因、上がらなかった原因を分析して施策に生かすことが大切です。

解約理由やチャーンレート(解約率)の情報を活用する

チャーンレートの概要を示した図

チャーンレートとは、一定期間における解約者数の割合で、次の式で算出されます。

【チャーンレート=解約者数÷顧客数×100】

解約者にも可能な限りCS調査をおこない、解約理由やチャーンレートを把握し、商品や顧客対応の弱点を探りましょう。

CS向上のもっとも大きな目的の一つが解約を防ぐことにありますが、現存の顧客の調査だけでは、解約した顧客の不満がどこにあったかが見えてこないことがあるからです。

チャーンレートが顧客満足度や顧客ロイヤリティを測る重要指標とされるのはそのためで、CS向上によって解約率の低下が期待できます。

アプローチする顧客に優先順位を付けて取り組む

リソースに限りがある以上、すべての顧客に手厚いアプローチをすることはできないため、CS向上の施策は優先順位を付けて取り組む必要があります。

カスタマーサクセスでは、個別の顧客に細やかに対応する「ハイタッチ」と、セミナーなどで複数の顧客に対応する「ロータッチ」、ITツールで多数の顧客に対応する「テックタッチ」を使い分けることが推奨されています。

CS向上の取り組みは、ハイタッチ、ロータッチの区別をつけて、企業利益の最大化を図る必要があります。

データの蓄積と分析・効果測定が可能なITツールを活用する

CS向上の取り組みでは、調査やそれに基づく施策、その効果を時系列で可視化し、共有することができるITツールの活用が必須です。

Excelなど従来型のツールでは、データの蓄積や可視化、共有に限界があり、それに要する手間も大きいからです。

例えば、CRAは購買履歴、閲覧履歴にCSの調査結果をひもづけて時系列で分析するために有効で、SFAは、商談履歴などの顧客管理データにCSの結果をひもづけて、効率的に分析や施策立案に役立てることができます。

Sansanを活用してCS(顧客満足度)向上を実現した事例

CS(顧客満足度)向上をSansan活用して実現した、株式会社静岡銀行と河合製氷冷蔵株式会社の事例をご紹介します。

【株式会社静岡銀行】各行員が持つ人脈を可視化・共有することで顧客理解を深めてCS(顧客満足度)を向上

地域の経済的・文化的な発展に寄与することを理念とする株式会社静岡銀行は、Sansanの導入によって「企業対企業」のつながりに加えて、担当者レベルで「人対人」のつながりを可視化できるようになり、より緻密な顧客対応が可能になりました。

そもそも「名刺を共有する」という意識がそれまでなかったため、担当者レベルでは財務関係以外の人脈と名刺交換していても、それが共有されて営業につながることがまれだったのです。

しかし、すべての名刺がデータ化されたことにより、ある企業では営業部門にM&Aチームがあるなど、これまで可視化されなかった情報が共有され、従来はなかった交渉ラインからアプローチすることができるようになりました。

Sansanの導入から1年4カ月の間で、データ化された名刺の枚数は30万枚を超えています。それまでネットバンキング事業を通して蓄積されたメールアドレスが3万5000件ほどなので、短期間でアプローチできるメールアドレスの数が約10倍になりました。

【河合製氷冷蔵株式会社】「永続顧客」の理念をSansanを活用して推進

河合製氷冷蔵株式会社では、これまでさまざまな名刺管理ソフトを使ってきましたが、パソコンの前でしか見られない、他の社員と共有できない、更新が手作業になる、などデメリットが多く、利用の際にストレスを感じていました。

「一度ご縁をいただいたら、その関係をずっと継続していく」を理念とする同社では、顧客への訪問歴を担当者からトップまで共有し、関係を途切らせない細やかなアプローチをモットーとしています。

Sansanを導入することで、名刺情報をリアルタイムに共有できるだけでなく、離れた拠点の社員の顧客への訪問履歴もすぐに確認できるようになりました。

「永続顧客」を目指す同社は、お客様との関係づくりが非常に大事であり、その関係づくりのためにSansanの名刺管理によって構築されたデータベースが非常に役立つと考えています。

まとめ

CS(顧客満足度)向上は、BtoCに限らずBtoBにおいても重要なテーマです。

CS向上によって、アップセルやクロスセルにつながる、取引が継続してLTVが向上する、企業価値が向上するなどのメリットがあります。

CS調査によって現状と課題を把握し、カスタマーサクセスを強化することでCS向上が実現します。

営業DXサービス「Sansan」は、顧客情報の共有と可視化により顧客理解を深めてCS向上に寄与します。CS向上への取り組みを考えている方は、ぜひSansanをご活用ください。

3分でわかるSansan営業DXサービス「Sansan」について簡潔にご説明した資料です。

3分でわかるSansan

営業DXサービス「Sansan」について簡潔にご説明した資料です。

営業DX Handbook 編集部

ライター

営業DX Handbook 編集部

Sansanが運営する「営業DX Handbook」の編集部です。DX推進や営業戦略、マーケティングノウハウなど、営業・マーケティング課題の解決に導く情報をお届けします。