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営業活動のパフォーマンスを最大化させるSFAの活用
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営業の働き方やあり方が大きく変わりつつある中で注目されているSFA。しかし、せっかく導入したのにも関わらず、うまく活用しきれない事例も存在します。本記事では、SFAのメリットとともに、導入が失敗してしまう要因から、活用ポイントまで解説します。
※本記事は2021年3月に作成されました。掲載されている内容は作成時点の情報です。
先行きが見えない中で、売上のパイプラインをSFAで正確に把握
SFAとは、Sales Force Automation(セールス・フォース・オートメーション)の略で、「営業支援システム」を指します。顧客情報の管理や案件進捗管理といった営業担当者の業務を効率化・自動化することから、多くの企業で導入が進んでいます。
1993年に、アメリカのシーベル・システムズ社が今のSFAの原型である製品を開発しました。しかし、当時のSFAは情報を入力・整理するシステムにすぎず、現在のようにマーケティング機能が実装されていなかったため、広く普及するには至りませんでした。SFAが日本に上陸したのは1990年代後半ですが、本格的に導入が進んだのは2010年代からとされています。
混同しやすいものとしてCRM(Customer Relationship Management、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)があります。CRMは「顧客関係管理」を意味し、セールスに限らず、経理や財務、開発などあらゆる部署が持つ顧客データを横串で管理します。顧客が持つニーズを把握・理解し、マーケティング戦略の精度向上や効率化につなげるものです。
矢野経済研究所が国内の民間企業を対象に行った調査によれば、2012年でCRMおよびSFAを導入している企業の割合は9%だったのに対し、2018年には28%と、20%近く増加していることが分かっています。
SFAが注目される理由
SFAが注目される理由としては、ビジネス環境の変化、複雑化・膨大化するデータ管理の限界、購買プロセスの変化の三つが挙げられます。
・目まぐるしく変化するビジネス環境
新型コロナウイルス感染症の影響により、一部の企業では業績が悪化しています。企業が存続していくためには、現状どのくらい売上の見込みが立つのか、また不足しているかを精緻に把握したうえで、営業戦略を策定する必要があります。
新型コロナウイルスが収束したとしても、AIやIoTなど新技術の普及により、ビジネス環境は幾度も激しい変化を引き起こすでしょう。特に、収益に直結する営業部門においては、常に売上や顧客情報のデータを管理・可視化し、滞りなく変化に対応できる事業戦略・営業戦略を立てる必要があります。
・複雑化・膨大化するデータ管理の限界
ビッグデータという言葉を耳にして久しいですが、奇しくも新型コロナウイルスの感染拡大により、ビッグデータ活用が一気に浸透しました。商談ひとつを取っても、商談内容、商談時間、資料閲覧回数、失注理由など、多くの情報が取得できるようになっています。しかし、収集できるデータは際限なく増えるため、ビジネスパーソン自身が膨大なデータを紙やエクセルを基に、リアルタイムに収集し分析するのには限界があります。効率的に、異なるデータ同士のひも付けや分析、管理が可能となるSFAのようなシステムが必要になるでしょう。
・購買プロセスの変化
従来では、いわゆる「プロダクトアウト」であり、顧客はマス広告やマスメディアから情報を収集し、購買をしていました。そこからインターネットが普及し、購買プロセスが大きく様変わりしました。顧客は、インターネットやSNSを使えば、膨大な情報を通してサービスや商品のレピュテーション、価値などを知ることができるようになりました。
そのため、企業に求められるのは顧客が持つニーズを把握し、そのニーズに見合ったサービスや商品を開発することです。そこで大切になるのはデータです。いかに、多くのデータを収集・分析し、適切なタイミングで適切なターゲットにアプローチするかが重要になります。
SFAを活用するメリット
SFAを活用すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
・営業活動の効率化
営業で意外と時間をとられるのが日報業務です。株式会社ビーブレイクシステムズの調査では、日報業務にかかる時間は5分未満が21%、5〜10分未満が16%、10分以上30分未満が10%であることが分かっています。5分はほんのわずかな時間に感じますが、積み重なれば1カ月で1時間半、1年で20時間であり、けっして軽視できる数字ではないでしょう。
【参考】【番外編2】社内業務に関する実態調査(1)~日報・週報~
SFAでは、チェックボックスやプルダウン方式で日報の記入フローを簡略化できたり、オフィスに戻らずに外出先からでも簡単に日報作成が可能です。そのほか、営業成績や案件進捗などの各データをクロス集計したレポートも自動作成できるなど、データ分析やレポート作成業務の効率化にもなります。
・営業の属人化の解消
一部のトップセールスの売上に依存してしまうと、トップセールスはマネジメント側に立てずに、現場に出続けて若手の営業が育たない状態になってしまいます。万が一、この状況でトップセールスが会社を離職した場合、会社は大きな損害を被るでしょう。SFAを使えば案件進捗状況や売上金額など営業に関するデータが蓄積されるだけでなく、お礼メールを送るタイミングや、初回商談のスクリプトなど今までブラックボックス化されていた成功要因も蓄積でき、営業全体のレベルを高めることができます。
・営業活動の進捗管理が可能
紙やエクセルベースでも営業進捗を可視化できますが、営業メンバーが多いと、マネジャーは各担当の日報や報告書を全て読む必要があります。SFAを使うことで、メンバー一人ひとりの営業活動の進捗が一覧で可視化されるシステムもあるため、容易に停滞案件の発見・対策ができるようになります。
多くの企業が使いこなせていないSFA
ここまで、SFAの利便性を解説しましたが、一方で、SFAをうまく活用できずに運用をやめてしまったケースも少なくありません。
株式会社マツリカがSFA導入企業を対象に実施した調査では、問題の解決状況について「どちらとも言えない」「ほとんど解決されていない」「全く解決されていない」が合わせて55.0%と、半数以上がSFAを導入しても、問題が解決できていないことが見て取れます。
【参考】【SFA満足度調査】営業支援システムを導入した企業の約半数は 導入時の課題を解決できず、不満を抱えている
SFA導入には、業務フローの見直しや入力工数の増加など、現場で働く従業員に負担がかかります。導入の先にあるメリットを明確に提示できない限り、SFAの運用は形骸化してしまうでしょう。
“SFAの単体使い”が導入効果を最大化できない原因に
ここでは、SFAが定着しない原因について、もう少し深堀りをして考察します。原因としては、大きく以下の三つが挙げられます。
1. 運用フローが確立されていない
顧客データの登録方法が整理されておらず手間がかかる状態だと、現場への入力負荷が高く、営業担当者が個人個人で入力しなければならないことで更新頻度に差が出てしまうことが多くあります。
よくあるケースが、とりあえず計測したい項目を全て盛り込んでしまうことです。多くのデータを収集できるが、入力項目が多くなり、担当者によって入力状況や更新頻度にばらつきが出てしまいます。入力の手間が増えると現場にシステムが浸透しづらいため、目的を実現するのに必要な項目に絞って担当者の負荷を減らすことが必要になります。
2. 入力ルールが整備されていない
入力ルールが統一されていないため、SFAに入っている顧客データの重複が起こったり、記入形式が異なるデータ(例:「株式会社A」「(株)A」)の混在などが起こったりして、正しくデータの集計や分析ができなくなってしまうことが多くあります。具体的な表記ルールからテンプレートの用意など、入力ルールの整備が求められます。
3. 登録情報が不足している
商談情報のみしか蓄積されておらず、マーケティング領域での接点情報や、企業・人物の詳細な基本情報は連携されていない場合、受注確度の精度は上がりづらくなります。企業の登記情報を参考にしたり、営業部門以外で得た情報を組み合わせたりすることで、顧客の所属部署の変更や興味関心の変化に気づきやすくなります。
SFAをフル活用するポイントは、他システムとの連携
前述したように、SFAを導入するだけでは、営業活動は効率化しません。重要なのは、SFAで分析した結果を基に、的確な戦略を設計し実行することです。
SFA導入の目的と運用フローを明確にし、SFAを実際に利用する営業担当者に理解を示してもらう、メリットを感じてもらうことで、ある程度の導入効果を出せますが、CRMやMAなどの他システムとの連携をすることで、SFAの導入価値を最大限に引き出すことができます。
営業DXサービス「Sansan」は、SFAやCRM、MAへ連携との連携も可能で、社内に蓄積された顧客データを整理・統合し、マーケティングに最適なデータに進化させることができます。
運用方針を見直し、SFAの効果を最大化させよう
SFAは非常に有用なツールですが、導入が目的化しないよう、SFA導入後の運用方針を明確にすることが大切です。また、行動を監視するためではなく、業務を効率化するために活用するという導入意義を営業部署に伝えることで、スムーズに定着させることができるでしょう。
さらに、CRMやMAなどの他システムと連携させれば、より大きな効果を出すことができます。ただし、他システムの導入にはコストがかかり、システムに合わせた業務フローの見直しが必要になるため、事前に既存のシステムとの連携や、運用体制の整備など、導入計画を明確にしておくことが重要です。
導入目的や運用の仕方を明確にすれば、SFAは営業活動を強化するうえで心強い味方になります。ぜひこの機会に運用方針を見直してみてはいかがでしょうか。
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ライター
営業DX Handbook 編集部