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ステップメールのシナリオとは?配信の作成手順や注意点・活用例を紹介

ステップメールのシナリオとは?配信の作成手順や注意点・活用例を紹介

顧客育成に効果的なステップメール。メルマガと混同されることも多いこの施策は、リードナーチャリングと販売促進に極めて有効です。しかし、ステップメールは適切なシナリオを作成しなければ、本来の効果を得ることができません。

本記事では、ステップメールのシナリオについて基本から実践まで、作成手順や具体例を交えて徹底的に解説いたします。

ステップメールのシナリオとは

ステップメールのシナリオを示した図

ステップメールのシナリオは、顧客とのコミュニケーションを効果的に構築するための重要な戦略です。これは、起点からゴールまでの道筋を計画的に設計し、顧客の購買意欲を段階的に育成していく過程を指します。

具体的には、興味を引くことから始まり、ベネフィットの訴求、事例紹介、購買情報の開示を経て、最終的にクロージングへと導くプロセスを構築していきます。このプロセスは、一見単純に見えるかもしれませんが、実際にはかなり複雑で繊細な作業です。特に、興味を引く段階やベネフィットを訴求する部分は、多くのマーケターが苦心する箇所でしょう。

顧客の購入意欲を育てるためには、商材の特性を十分に理解し、適切なアプローチを見極める必要があります。これは、ただ単に情報を羅列するだけでなく、顧客のニーズや心理状態を深く理解し、それに合わせたコンテンツを提供することを意味しているのです。

そもそもステップメールとは

ステップメールは、一定の間隔で自動的に送信される一連のメールのことです。これは、メールマーケティングの重要な手法の一つとして広く認識されています。

具体的には、ウェルカムメールやサンクスメールなども含まれます。ウェルカムメールは新規登録者に対して送られる最初のメールで、サービスの概要や使い方を説明するものであり、サンクスメールは購入や問い合わせなどのアクションを取った顧客に対して感謝の意を表すメールです。

ステップメールの主な目的は、顧客との関係性を段階的に構築し、最終的な購買行動へと導くことにあります。特徴としては、個々の顧客の行動や状況に応じて、適切なタイミングで適切な情報を提供できる点が挙げられるでしょう。

このアプローチは、展示会で獲得した見込み客へのフォローアップなどにも非常に効果的です。展示会直後の熱量が高いうちに、段階的なアプローチを行うことで、より高い成約率を期待できるでしょう。

シナリオメール・メルマガとの違い

ステップメールの特徴をより深く理解するために、類似のメールマーケティング手法であるシナリオメールやメルマガ(メールマガジン)との違いを比較してみましょう。

特徴

メルマガ

ステップメール

シナリオメール

配信タイミング

定期的に一斉配信

個別のタイミングで自動配信

特定の行動を取った人に向けて配信

内容

同じ内容を全員に

顧客の段階に応じた内容を個別に

特定の顧客に特定の内容を送信

この表からわかるように、ステップメールは他の手法と比較して、よりパーソナライズされたアプローチを取ることができます。顧客の段階や行動に応じて、最適なタイミングで最適な内容を提供できるのが大きな特徴です。

メルマガが広く浅いアプローチであるのに対し、ステップメールはより深く、個別化されたコミュニケーションを可能にします。また、シナリオメールが特定のアクションに対する即時的な反応であるのに対し、ステップメールは長期的な視点で顧客を育成していく戦略と言えるでしょう。

このような特性を生かすことで、ステップメールは顧客との関係性を段階的に深め、最終的な購買行動へと効果的に導くことができるのです。

ステップメールのシナリオを作成する手順6STEP

効果的なステップメールのシナリオを作成するためには、以下の6つのステップを踏むことが重要です。

STEP1:カスタマージャーニーの分析

カスタマージャーニーの分析は、効果的なステップメールシナリオを構築する上で不可欠な第一歩です。この段階では、顧客の購買行動プロセスを詳細に把握し、各段階での顧客のニーズと課題を特定することが主な目的となります。

まず、顧客が製品やサービスを知ってから購入に至るまでの一連のプロセスを可視化します。これには、認知、興味、検討、購入、使用後の評価といった各段階が含まれます。各段階で顧客が何を考え、何を感じ、どのような行動を取るのかを深く理解することが重要です。

例えば、認知段階では顧客がどのような情報源を利用するのか、興味段階ではどのような要素が顧客の関心を引くのか、検討段階ではどのような比較や評価を行うのかなどを詳細に分析します。

また、各段階での顧客のニーズや課題を特定することも重要です。例えば、検討段階では製品の詳細な仕様や他社製品との比較情報が必要かもしれません。一方、購入段階では価格や購入方法に関する明確な情報が求められるでしょう。

このような分析を通じて、顧客の行動パターンやニーズの変化を把握し、それぞれの段階に適したコンテンツや情報を提供するための基礎を築くことができます。カスタマージャーニーを深く理解することで、より効果的で顧客中心のステップメールシナリオを設計することが可能となるのです。

カスタマージャーニーについては、下記記事で詳しく解説しているのでご参照ください。

STEP2:ゴールの設定

次に、明確なゴール(最終的な目標)を設定しましょう。このゴールは通常、コンバージョン(望ましい行動の実行)として定義されます。例えば、商品の購入、サービスの契約、資料請求、デモの予約などが考えられます。

ゴールを明確に設定することで、ステップメールの各段階でどのような情報を提供し、どのような行動を促すべきかが明確になります。例えば、最終目標が商品購入であれば、初期段階で商品の特徴や利点を紹介し、中間段階で他社製品との比較情報を提供し、最終段階で具体的な購入方法や特典情報を伝えるといった具合です。

また、ゴールの設定と併せて、具体的なKPI(重要業績評価指標)も設定することが重要です。KPIは、ステップメールの効果を測定し、改善点を見いだすための重要な指標となります。例えば、メールの開封率、クリック率、最終的なコンバージョン率などです。

KPIを設定する際は、SMART(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性、Time-bound:期限)の原則に基づいて設定することが推奨されます。例えば、「3カ月以内にメール開封率を現在の15%から20%に向上させる」といった具合です。

このように、明確なゴールとKPIを設定することで、ステップメールの各段階での施策がより焦点を絞ったものとなり、効果的なシナリオ設計が可能となります。また、定期的にKPIを確認し、必要に応じてシナリオを調整することで、継続的な改善と最適化が可能となるのです。

KPIについては、下記記事で詳しく解説しているのでご参照ください。

STEP3:ターゲット設定

この段階では、カスタマージャーニーを元にどの顧客層にアプローチするのかを決定します。単に表面的なペルソナを設定するだけでなく、実際の購買行動を基にしたセグメンテーションを行うことが重要です。

まず、カスタマージャーニーの各段階にいる顧客を分析し、どの段階の顧客にアプローチすることが最も効果的かを見極めましょう。例えば、製品に興味を持ち始めた初期段階の顧客なのか、すでに詳細な情報を求めている検討段階の顧客なのか、あるいは購入直前の顧客なのかによって、提供すべき情報や訴求ポイントが大きく異なってきます。

次に、購買行動パターンに基づいたセグメンテーションを行いましょう。これには、過去の購買履歴、サイト上での行動、問い合わせ内容などのデータを活用します。例えば、頻繁に購入する顧客、高額商品を好む顧客、新製品に敏感な顧客など、さまざまな切り口でセグメントを作成できるでしょう。

さらに、業種や企業規模、役職などの属性情報も考慮することも重要です。BtoBビジネスの場合、意思決定者と実際の利用者が異なることも多いため、それぞれに適したアプローチを考える必要があります。

このように、多角的な視点でターゲットを設定することで、より精緻なステップメールシナリオの構築が可能となります。各セグメントの特性や課題に合わせたコンテンツを提供することで、より高い開封率やコンバージョン率を期待できるでしょう。

ただし、過度に細かいセグメンテーションは運用の複雑化を招く可能性があるため、注意が必要です。初期段階では比較的大きなセグメントから始め、徐々に細分化していくアプローチも有効でしょう。

STEP4:コンテンツ分割

コンテンツ分割は、ステップメールシナリオの核となる重要なプロセスです。この段階では、既存のコンテンツをAIDMA(Attention:注目、Interest:興味、Desire:欲求、Memory:記憶、Action:行動)のような顧客行動モデルに基づいて仕分けし、必要に応じて新たなコンテンツを作成します。

まず、既存のコンテンツを棚卸しし、各段階に適したものを分類していきます。例えば、注目を集めるためのコンテンツ、興味を深めるための詳細情報、欲求を刺激する事例紹介、行動を促すための特典情報などです。この過程で、不足しているコンテンツが明確になるでしょう。

次に、足りない部分を補うための新しいコンテンツを作成します。ここで重要なのは、各ステップに適した有益な情報を準備することです。例えば、初期段階では業界全体の動向や課題に関する情報が有効かもしれません。中期段階では、自社製品・サービスの特徴や優位性を詳しく解説したコンテンツが求められるでしょう。最終段階では、具体的な導入事例や ROI(投資対効果)に関する情報が効果的かもしれません。

また、顧客の興味を引く魅力的な題材の選定も重要です。業界のトレンド、最新の技術動向、成功事例など、顧客が「知りたい」と思う情報を提供することで、開封率やエンゲージメントの向上が期待できます。

この段階で、ホワイトペーパーの活用も検討しましょう。ホワイトペーパーは、特定のトピックについて詳細かつ客観的な情報を提供する文書で、BtoBマーケティングにおいて特に効果的です。例えば、業界の課題とその解決策を解説したホワイトペーパーを提供することで、自社の専門性をアピールしつつ、顧客の信頼を獲得することができるでしょう。ホワイトペーパーについては、下記記事で詳しく解説しているのでご参照ください。

コンテンツ分割の過程で、各コンテンツの目的と位置づけを明確にすることで、効果的なステップメールシナリオの骨格が形成されていきます。この段階で十分な準備を行うことで、後の配信内容や頻度の決定がスムーズに進むことでしょう。

STEP5:配信内容・頻度の決定

配信内容と頻度の決定は、ステップメールシナリオの実効性を左右する重要な要素です。この段階では、準備したコンテンツを生かしつつ、顧客のカスタマージャーニーのフェーズに合わせて最適な配信計画を立てます。

まず、配信内容については、STEP4で分割したコンテンツを基に、各メールで何を伝えるかを具体的に決定します。ここで重要なのは、単にコンテンツを羅列するのではなく、ストーリー性を持たせることです。例えば、業界の課題提起から始まり、解決策の提案、自社製品・サービスの紹介、導入事例の紹介、という流れで構成すると、顧客の理解と興味を段階的に深めていくことができるでしょう。

次に、配信頻度を決定します。これは、カスタマージャーニーのどのフェーズをターゲットにするかによって大きく変わってきます。例えば、初期段階の顧客に対しては、興味を持続させるために比較的頻繁に(週1-2回程度)メールを送ることが効果的かもしれません。一方、検討段階の顧客に対しては、より詳細な情報を含むメールを、やや間隔を空けて(2週間に1回程度)送ることが適しているでしょう。

また、顧客の行動や反応に応じて配信頻度を調整することも考慮に入れるべきです。例えば、メールの開封率が高い顧客に対しては、より頻繁にメールを送ることで興味を維持し、逆に開封率が低い顧客に対しては頻度を下げて、より価値の高い情報に絞って配信するなどの工夫が可能です。

さらに、季節性やビジネスサイクルなども考慮に入れます。例えば、BtoBビジネスの場合、年度末や予算策定時期に合わせてより具体的な提案や特別オファーを盛り込んだメールを配信するなど、タイミングを見計らった戦略的な配信計画を立てることが効果的です。

配信内容と頻度を適切に設定することで、顧客との関係性を段階的に深め、最終的な目標(商談や購入など)へとスムーズに導くことができます。ただし、最適な配信計画は顧客層や業界によって異なるため、配信後の反応を細かく分析し、継続的に改善していくことが重要です。

STEP6:メール文の作成・配信

メール文の作成・配信は、ステップメールシナリオの最終段階であり、これまでの準備を実際のコミュニケーションに落とし込む重要なプロセスです。効果的な件名と本文の作成、そして適切なタイミングでの配信が、シナリオの成功を左右します。

まず、効果的な件名の作成から始めましょう。件名は、受信者がメールを開くかどうかを決める最初の要素です。簡潔で魅力的、かつ内容を適切に反映した件名を心がけます。例えば、「【無料ダウンロード】業界最新トレンドレポート」や「あなたの課題を解決する3つの方法」など、受信者の興味を引き、価値を明確に伝える件名が効果的です。

本文の作成においては、以下のポイントに注意しましょう。

・冒頭で受信者の興味を引く:最初の1-2文で、なぜこのメールが重要なのかを明確に伝えます。

・簡潔で読みやすい文章:長文は避け、短いパラグラフと箇条書きを活用します。

・パーソナライゼーション:可能な限り、受信者の名前や企業名を使用し、個別化された印象を与えます。

・明確なCTA(Call To Action):各メールに一つの明確な行動喚起を含めます。例えば、「資料をダウンロード」や「デモをリクエスト」など。

・モバイル対応:多くの人がスマートフォンでメールを確認するため、モバイルでも読みやすいデザインを心がけます。

業界や商品特性に応じた文例も用意しておくと良いでしょう。例えば、B2B向けのソフトウエア製品の場合、以下のような文を参考にしてみてください。

件名:【無料体験実施中】業務効率を30%向上させる方法をご存じですか?

○○様

いつも大変お世話になっております。△△株式会社の□□です。

貴社では、日々の業務効率化に課題を感じていらっしゃいませんか?

弊社の最新ソフトウエア「●●」を導入いただくことで、平均30%の業務効率向上が実現できます。

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このような具体的な文例を、自社の商品やサービスに合わせてアレンジし、活用することで、効果的なメール文を作成することができます。

最後に、配信のタイミングも重要です。業界や顧客層によって最適な配信時間は異なりますが、一般的には勤務時間中、特に午前中の配信が効果的とされています。ただし、これは絶対的なルールではなく、自社の顧客層に合わせて最適なタイミングを見つけることが重要です。

メール文の作成と配信は、継続的な改善が必要なプロセスです。開封率、クリック率、コンバージョン率などのデータを細かく分析し、常に最適化を図ることで、より効果的なステップメールシナリオを構築することができるでしょう。

ステップメールのシナリオを設定するメリット

ステップメールのシナリオを適切に設定することで、ビジネスにはさまざまなメリットがもたらされます。主に以下の4点が大きな利点として挙げられるでしょう。

1.リードナーチャリングに効果的

ステップメールは、リードナーチャリング(見込み客の育成)において非常に効果的なツールとなります。見込み客の段階に合わせて適切な情報を提供することで、長期的な関係構築が可能となり、結果として成約率の向上につながるのです。

具体的には、初期段階では基本的な情報や興味を引くコンテンツを提供し、徐々により詳細な製品情報や事例紹介へと移行していきます。このプロセスを通じて、見込み客の理解度や興味を段階的に高めていくことができるのです。

さらに、展示会やコンテンツマーケティングと併せて行うことで、相乗効果を期待できます。例えば、展示会で獲得したリードに対して、展示会で紹介した内容をさらに深掘りするステップメールを送ることで、興味を持続させ、次のアクションへとつなげやすくなるでしょう。

2.顧客接点の増加による関係構築

定期的なコンタクトによる信頼関係の醸成もステップメールのシナリオを設定するメリットです。通常のメルマガとは異なり、ステップメールは特定の起点(例えば資料請求や会員登録)からスタートするため、顧客の興味が高いタイミングで接点を増やすことができます。

これにより、顧客の「熱い」うちに効果的なアプローチが可能となり、より深い関係性を構築しやすくなるのです。例えば、資料請求直後から段階的に情報を提供することで、顧客の興味を持続させ、さらなる疑問や要望を引き出すことができるでしょう。

このような継続的なコミュニケーションは、単に製品やサービスの情報を伝えるだけでなく、企業のブランドイメージや価値観を伝える機会にもなります。結果として、顧客との長期的な信頼関係の構築につながり、ビジネスの安定性と成長に寄与することになるのです。

3.適切なコンテンツ提供

ステップメールのシナリオ設定の大きなメリットとして、顧客の興味・関心に合わせた情報の段階的な提供が可能になることも挙げられます。これにより、ゴールに向けて最適な導線設計が可能となるのです。

例えば、初期段階では業界全体の動向や課題に関する情報を提供し、徐々に自社製品・サービスの特徴や優位性に関する情報へとシフトしていくことができます。このように、顧客の理解度や興味の深まりに応じて、適切なタイミングで適切な情報を提供することで、より効果的な情報伝達が可能となります。

また、顧客の反応(メールの開封率やリンクのクリック率など)を分析することで、各顧客の興味や関心をより詳細に把握し、さらにパーソナライズされたコンテンツを提供することも可能です。これにより、顧客満足度の向上とともに、最終的な購買行動へのスムーズな誘導が期待できるでしょう。

4.商談やアポイントメント獲得がしやすくなる

適切に設計されたステップメールのシナリオは、商談やアポイントメントの獲得を容易にする効果があります。これは、ユーザーのカスタマージャーニーや態度変容、抱える課題に合わせてシナリオを設計し、適切なコンテンツを提供することで実現されるでしょう。

中期的な視点で見ると、この戦略は普通のリードをホットリードへと引き上げる効果があり、結果として商談やアポイントメントにつなげやすくなります。特筆すべきは、リード獲得時や初回アプローチの段階で見込みが低いと判断された顧客に対しても、この方法を通じて確度が上がる可能性が生まれることです。

ステップメールのシナリオテンプレート

ステップメールのシナリオは、顧客との接点や目的によってさまざまな形態が考えられます。ここでは、代表的な以下の3つのシナリオ例を紹介します。これらの例を参考に、自社の状況に合わせたシナリオを構築していくことができるでしょう。

展示会後のフォローアップ

展示会で獲得した名刺(見込み客情報)に対するフォローアップは、ステップメールの典型的な活用例です。以下に、5通のメールシリーズの例を示します。

1.あいさつ・自社紹介(展示会1-2日後)

  • 展示会でのお礼
  • 簡単な自社紹介
  • 今後のメールシリーズの予告

2.お役立ち情報(3-4日後)

  • 展示会のトレンドレポート
  • 業界の最新情報や課題分析

3.商品比較(1週間後)

  • 自社製品・サービスの特徴
  • 競合との比較情報

4.事例紹介(2週間後)

  • 具体的な導入事例
  • 顧客の声や成功事例

5.商談提案(3週間後)

  • 特別オファーの案内
  • 個別相談や商談の提案

このシナリオでは、展示会直後の熱量が高いうちに段階的なアプローチを行うことで、より高い成約率を期待できるでしょう。以下に一番最初のメールの文例を紹介します。

件名:【○○展示会】ご来場ありがとうございました

△△様

先日の○○展示会では、弊社ブースにお立ち寄りいただき、誠にありがとうございました。

株式会社●●の××と申します。

展示会では、弊社の新製品「■■」にご関心をいただき、大変うれしく思っております。

今後、「■■」に関する詳細情報や業界動向などを、メールにてお送りさせていただきます。

ご多忙中誠に恐縮ですが、ご一読いただけますと幸いです。

まずは取り急ぎ、お礼のごあいさつまで。

株式会社●●

営業部 ××

このように、各メールで段階的に情報を提供し、最終的に商談へとつなげていきます。展示会後のホットな関心を維持しつつ、徐々に自社製品・サービスの価値を伝えていくことが重要です。

セミナー後のフォローアップ

セミナー参加者へのフォローアップも、ステップメールの効果的な活用場面です。このシナリオでは、次回の参加確度を高めることと、高い関心を示した参加者を商談へ導くことが主な目的となります。

以下に、3通のメールシリーズの例を示します。

1.お礼メール(ウェビナー当日または翌日)

  • ウェビナー参加へのお礼
  • 資料のダウンロードリンク
  • 質疑応答の補足

2.お役立ち情報(3-4日後)

  • ウェビナーの内容に関連する追加情報
  • よくある質問とその回答

3.次回案内(1週間後)

  • 次回ウェビナーの告知
  • 個別相談の案内

以下に一番最初のメールの文例を紹介します。

件名:【ウェビナー】ご参加ありがとうございました

△△様

本日は「●●業界の最新トレンド」ウェビナーにご参加いただき、誠にありがとうございました。

株式会社■■の××でございます。

ウェビナーでお伝えした内容が、△△様のお役に立てれば幸いです。

<資料ダウンロード>

ウェビナーで使用した資料は、以下のリンクからダウンロードいただけます。

[ダウンロードリンク]

<質疑応答の補足>

時間の都合上お答えできなかったご質問について、補足回答をご用意いたしました。

[補足回答へのリンク]

今後とも、△△様のお役に立てる情報を提供して参ります。

引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

株式会社■■

マーケティング部 ××

このシナリオでは、ウェビナーの内容を補足しつつ、参加者の関心を維持・向上させることが重要です。また、次回ウェビナーへの参加を促すとともに、高い関心を示した参加者には個別相談を提案するなど、状況に応じたアプローチを行います。

資料送付後のナーチャリング

資料請求に対応した後、見込み客を商談化させるためのナーチャリングも、ステップメールの重要な活用シーンです。このシナリオでは、資料に含まれていない追加情報や深掘りした内容を提供し、徐々に商談へと導いていきます。

以下に、4通のメールシリーズの例を示します。

1.資料送付確認(資料送付直後)

  • 資料送付の確認
  • 追加情報の予告

2.補足情報提供(3-4日後)

  • 資料の内容に関する補足説明
  • よくある質問とその回答

3.事例紹介(1週間後)

  • 具体的な導入事例
  • 導入による効果の数値データ

4.商談提案(2週間後)

  • 個別相談の案内
  • 特別オファーの提示

以下に一番最初のメールの文例を紹介します。

件名:【資料送付完了】ご請求いただいた資料をお送りしました

△△様

この度は、弊社製品「●●」の資料をご請求いただき、誠にありがとうございます。

株式会社■■の××でございます。

先ほど、ご指定のメールアドレス宛てに資料を送付いたしました。

お手元に届いているかご確認いただけますと幸いです。

<今後の予定>

今後、「●●」に関する補足情報や導入事例などを、順次メールにてお送りさせていただきます。

ご多忙中誠に恐縮ですが、ご一読いただけますと幸いです。

ご不明点やご質問がございましたら、お気軽にご連絡ください。

株式会社■■

営業部 ××

このシナリオでは、資料に記載されていない情報や+α情報の配信に重点を置きます。例えば、2通目では資料の内容を補足する具体的な使用方法や、導入時のポイントなどを紹介します。3通目では、資料では触れられなかった詳細な導入事例や、ROI(投資対効果)に関する具体的な数値データを提供することで、製品・サービスの価値をより明確に伝えます。

最終的に4通目で、さらに詳しい情報が必要な場合は個別相談や商談をご案内する、という流れを作ります。この際、「期間限定の特別オファー」などを提示することで、商談へのモチベーションを高めることも効果的です。

例えば、4通目は以下のような内容になります。

件名:【期間限定】●●導入に関する個別相談のご案内

△△様

株式会社■■の××でございます。

これまで「●●」に関する情報をお送りしてまいりましたが、いかがでしたでしょうか。

本日は、△△様限定の特別なご案内をさせていただきます。

<個別相談のご案内>

「●●」の導入をご検討いただいている企業様向けに、無料の個別相談を実施しております。

貴社の課題やニーズに合わせた具体的な活用方法をご提案させていただきます。

さらに、今月中にご相談いただいた方には、以下の特典をご用意しております。

・導入サポート(通常50万円)を無料で提供

・初年度のライセンス料を20%割引

ご興味がございましたら、以下のリンクから日程をご予約ください。

[予約フォームへのリンク]

この機会に、貴社の業務効率化についてじっくりとお話しできれば幸いです。

お問い合わせ・ご質問などございましたら、お気軽にご連絡ください。

株式会社■■

営業部 ××

このように、資料送付後のナーチャリングでは、徐々に具体的かつ詳細な情報を提供しながら、最終的に商談へとつなげていきます。各段階で顧客の反応を見極めながら、適切なタイミングで次のステップに進むことが重要です。

ステップメールのシナリオを作る際の注意点

効果的なステップメールシナリオを作成するには、いくつかの重要な注意点があります。これらを踏まえることで、より効果的で顧客に寄り添ったコミュニケーションを実現できるでしょう。以下の4点に注意してください。

最初はシンプルなシナリオにする

ステップメールシナリオを構築する際、初めから複雑な分岐を設けることは避けるべきです。複雑な分岐は運用を煩雑にし、効果測定や改善を困難にする可能性があります。

まず、シンプルな直線的なシナリオから始めることをおすすめします。例えば、「認知→興味→検討→購入」といった基本的な流れに沿って、4-5通程度のメールシリーズを設計することから始めましょう。これにより、各ステップでの顧客の反応を明確に把握し、シナリオの有効性を評価しやすくなります。

また、分岐を判断する根拠を得ることも容易ではありません。顧客の行動や反応を正確に予測し、適切な分岐点を設定するには、相当量のデータと経験が必要です。そのため、初期段階では分岐を最小限に抑え、顧客の反応データを蓄積することに注力するのが賢明です。

複雑なシナリオは、立案すること自体が非常に難しい作業のため、まずは配信を始めてみることが重要です。実際の配信結果を分析し、顧客の反応を見ながら徐々に改善を重ねていくアプローチが、より効果的なシナリオ構築につながります。

例えば、最初は以下のようなシンプルなシナリオから始めることができるでしょう。

  1. ウェルカムメール:サービス概要の紹介
  2. 業界課題に関する情報提供
  3. 自社製品・サービスの特徴紹介
  4. 導入事例の紹介
  5. 特別オファーや無料トライアルの案内

このようなシンプルなシナリオから始め、各メールの反応率や顧客からのフィードバックを基に、徐々に内容を最適化していくことで、より効果的なシナリオへと発展させていくことができるでしょう。

特定電子メール法に反していないか確認する

ステップメールを配信する際、コンプライアンスの順守は非常に重要です。特に、「特定電子メール法」(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)に違反しないよう、細心の注意を払う必要があります。

特定電子メール法の主な要点は以下の通りです。

オプトイン規制:受信者の事前の同意なしに、営利目的の広告・宣伝メールを送信することは禁止されています。

表示義務:送信者の氏名または名称、住所、連絡先を明記する必要があります。

オプトアウトの機会提供:受信者が容易に受信拒否できる方法を、メール内に明示的に記載しなければなりません。

送信者情報の偽装禁止:送信者情報を偽ったり、架空のものを使用したりすることは禁止されています。

これらの規制に違反すると、企業イメージを大きく損なうだけでなく、法的制裁を受ける可能性もあります。さらに、顧客との信頼関係を壊し、マーケティング活動全体に悪影響を及ぼす可能性があります。

したがって、ステップメールのシナリオを作成する際は、以下の点に特に注意を払いましょう。

  • メール配信リストの管理を徹底し、明確な同意を得た相手にのみ配信を行う。
  • 各メールに、企業名、住所、問い合わせ先を明記する。
  • 簡単に配信停止できる方法(例:ワンクリックでオプトアウトできるリンク)を、メール内の見やすい位置に配置する。
  • 送信者アドレスや件名に偽装や誤解を招く表現を使用しない。

例えば、メールの末尾に以下のような文言を入れることが考えられます。

本メールは、○○サービスにご登録いただいた方にお送りしています。

配信停止をご希望の場合は、以下のリンクをクリックしてください。

[配信停止リンク]

---------------------

株式会社●●

〒xxx-xxxx 東京都○○区××1-2-3

お問い合わせ:info@example.com

このように、法令順守を徹底することで、顧客との健全な関係を維持し、長期的に効果的なメールマーケティングを展開することができます

毎回クロージングをしない

ステップメールのシナリオを作成する際、毎回のメールでクロージング(最終的な購買や契約の締結を促すこと)を行うのは避けるべきです。特に、ゴールが資料請求や商談化、商品購買の場合、それを最初から前面に出すのは効果的ではありません。

なぜなら、ステップメールの主な目的は、顧客との関係性を徐々に構築し、購買意欲を段階的に育てていくことにあるからです。最初からゴールを強調しすぎると、顧客は押し売りされているような印象を受け、興味を失ってしまう可能性が高くなります。

段階的にアプローチすることで、顧客の興味と信頼を徐々に高め、最終的なクロージングへとスムーズに導くことができます。自社の商品やサービス、顧客層に合わせて最適な構成を見いだしていくことが重要です。

どのメールも初見でわかる内容にする

ステップメールを作成する際、各メールが独立して理解できる内容にしましょう。なぜなら、多くの人が日々大量のメールを受信しており、全てのメールを順番通りに読むことはまれだからです。

実際、日本ビジネスメール協会の調査によると、1日に受信するビジネスメールの数は平均で約50.12通とされています。これだけの量のメールの中で、特定のメールシリーズを順番通りに読むことは難しいでしょう。

したがって、各メールは以下の点に注意して作成する必要があります。

独立した価値提供:各メールが、それ単体で有益な情報や価値を提供できるようにする。

コンテキストの提供:前のメールの内容を知らなくても理解できるよう、必要な背景情報を簡潔に盛り込む。

シリーズの位置づけ明示:そのメールがシリーズのどの位置にあるのかを明確にし、前後の文脈を理解しやすくする。

重要ポイントの再強調:キーメッセージは繰り返し伝える。ただし、単純な繰り返しではなく、異なる角度や文脈で伝えることが効果的。

簡潔な要約:メールの冒頭で主要ポイントを簡潔にまとめ、読み手が内容を素早く把握できるようにする。

例えば、シリーズの3通目のメールであっても、次のような書き出しで始めることができます。

○○様

いつもお世話になっております。△△株式会社の□□です。

本メールは、業務効率化ソリューション「●●」に関する情報シリーズの3通目です。

今回は、「●●」の導入事例と具体的な効果についてご紹介いたします。

<本メールのポイント>

1. A社での導入事例:作業時間30%削減を達成

2. B社での活用例:顧客満足度20%向上を実現

3. 導入企業の声:現場からの評価

それでは、詳細をご説明いたします。

このような書き出しにより、読み手はこのメールがシリーズの一部であることを理解しつつ、前のメールを読んでいなくても内容を把握できます。

また、続き物系のコンテンツは避け、各メールが完結した内容になるよう心がけましょう。例えば、「前回のメールの続きで...」といった書き出しは使わず、毎回新しいトピックを提供するようにします。

このように、各メールを独立して理解できる内容にすることで、読み手の理解を促進し、メッセージの効果を最大化することができます。同時に、シリーズ全体を通して一貫したメッセージを伝えることで、段階的な関係構築と購買意欲の醸成を実現できるでしょう。

まとめ

ステップメールのシナリオ作成は、効果的な顧客育成と商談獲得のための重要な戦略です。本記事で紹介した要点を押さえつつ、自社の商品・サービスや顧客層に合わせてカスタマイズすることで、効果的なステップメールシナリオを構築することができます。

重要なのは、シナリオを固定的なものと考えずに、常に顧客の反応を分析し、改善を重ねていくことです。開封率、クリック率、コンバージョン率などの指標を細かく観察し、必要に応じてコンテンツや配信タイミングを調整していきましょう。

ステップメールのシナリオ作成は、一朝一夕には完成しません。しかし、本記事で紹介した考え方や手法を基に、継続的な改善を重ねていくことで、より効果的な顧客コミュニケーションを実現することができるでしょう。顧客の声に耳を傾け、常に改善を重ねていく姿勢が、成功への近道となります。

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営業DX Handbook 編集部

ライター

営業DX Handbook 編集部

Sansanが運営する「営業DX Handbook」の編集部です。DX推進や営業戦略、マーケティングノウハウなど、営業・マーケティング課題の解決に導く情報をお届けします。