- マーケティングノウハウ
タッチポイントとは?意味や重要性、強化のためのポイントを解説
公開日:
更新日:
マーケティングにおける「タッチポイント」とは、企業や商品・サービスと顧客が関わる接点(顧客接点)です。企業としてタッチポイントを設定・強化することで、サービスや商品に対する顧客の意識や態度に良い影響を与えることが期待できるため、新規顧客の創出や既存顧客の満足度向上の施策として活用できます。
本記事では、タッチポイントの概要やチャネルの違い、タッチポイントの重要性、マーケティングにおけるタッチポイントの具体例、設定・強化方法について解説します。
タッチポイントとは
まずは、タッチポイントについて理解を深めるために、タッチポイントの概要と混同されやすい「チャネル」との違いを確認していきましょう。
タッチポイント=顧客との接点
タッチポイントとは、企業や商品・サービスと顧客との接点のことです。サービスや商品に対する考え方や態度に変化をもたらす可能性がある接点を意味し、日本語では「顧客接点」とも呼ばれます。
具体的なタッチポイントの例として、企業が運営するホームページやSNS、展示会・セミナーなど、顧客と接する機会があげられます。
企業や商品・サービスと顧客の接点は、オンライン・オフラインを含め、すべてがタッチポイントとなります。
昨今は、インターネットを介したオンラインでのタッチポイントが増加していますが、インターネットを活用しない層や商品の特性によっては、オフラインのタッチポイントが重要な場合もあります。
タッチポイントは顧客創出や顧客満足度向上を図る際に重要な役割を担うため、オンラインとオフラインの両方からのアプローチによって、顧客のニーズを理解することが求められます。
チャネルとの違い
タッチポイントは「チャネル」としばしば混同されることがありますが、これらは異なる概念です。チャネルは情報やサービスの提供手段であり、タッチポイントはそれを通じて生まれる実際の顧客との接触機会を指します。
例えば、Webサイトがチャネルであるならば、その中のお問い合わせフォームやチャット機能は具体的なタッチポイントといえます。
タッチポイントの重要性
タッチポイントの適切な設定・強化は、企業が競争激化するビジネス環境で差異化を図り、持続的な成功を収めるうえで不可欠です。
ここでは、タッチポイントが重要視される理由について解説します。
顧客行動の多様化に対応できる
顧客行動が多様化する中で、タッチポイントはマーケティングに有効に活用できます。近年、インターネットやスマートフォンの普及によって顧客行動が多様化したため、個々の嗜好(しこう)や利用状況に応じたマーケティング施策を実施する必要性が増しています。
タッチポイントを最適化することで、顧客や見込み顧客は好みに応じてさまざまなコミュニケーションチャネルを選択できるようになります。例えば、SNS・メール・店舗訪問などの接点を一貫性を持って提供することで、企業はより広範かつ柔軟に市場に参入し、異なるニーズに対応しやすくなります。
認知度を高める効果がある
適切に設定されたタッチポイントは、ブランドや商品の認知度向上に寄与します。タッチポイントを多角的に配置・強化することで、その商品やサービスを必要としている企業担当者の目に触れる可能性が高まります。
例えば、オンライン広告・パートナーシップマーケティング、店舗内プロモーションなどです。これにより、企業はターゲット層にアピールし、競合他社との差異化を図れます。
ブランドイメージの向上につながる
顧客は、直接的または間接的な接点を通じて企業と関わります。良好なタッチポイントは顧客に良い印象を残し、ブランドイメージの向上につながります。
例えば、商品購入時の体験や問い合わせ対応、アフターサービスなどが含まれます。これらのタッチポイントを一貫して高水準で提供することで、企業の信頼性や質の高さを打ち出すことができます。
顧客満足度・ロイヤリティの向上が期待できる
顧客満足度やロイヤリティを向上させるためには、優れた顧客体験が欠かせません。これには、商品やサービス提供だけでなく、コミュニケーションやサポートなどが含まれます。
タッチポイントを通じて提供される体験は、顧客満足度を向上させ、長期的な顧客ロイヤリティの構築に寄与します。
特に、支払い方法としてサブスクリプションモデルを採用しているツールやサービスの場合、長期的に利用してもらい、LTV(顧客生涯価値)を高めることが重要です。
そのためには、購入後も顧客との持続的な接点を確立し、良いコミュニケーションを築く必要があります。これにより顧客満足度やロイヤリティが向上し、継続的な利用を促進できます。
マーケティングにおけるタッチポイントの具体例
マーケティングにおけるタッチポイントは、購買プロセスごとに異なります。
タッチポイントの具体例は、オフラインとオンラインでそれぞれ以下の表の通りです。
購買プロセス | オフラインでの | オンラインでの |
認知 | テレビCM、展示会、セミナー、新聞広告、ポスティング | Web広告、SNS、オウンドメディア、ウェビナー |
興味・関心 | DM、電話、訪問営業、セミナー | メール、Web広告、SNS、オウンドメディア、ウェビナー、ホワイトペーパー |
比較・検討 | 店舗、営業担当者 | SNS、自社サイト、ホワイトペーパー |
購入 | 店舗、営業担当者 | 自社サイト、モール型ECサイト |
継続 | サポートセンター | オウンドメディア、FAQ、メルマガ |
紹介 | イベント、直接の紹介 | SNS、ファンサイト |
これらのタッチポイントを戦略的に利用することで、企業は効果的な顧客コミュニケーションを実現でき、購買プロセス全体に良い影響を与える可能性が生まれます。
タッチポイントを設定・強化する手順
タッチポイントを設定・強化することは、顧客との深いつながりを築くために重要です。
ここでは、タッチポイントの設定・強化する手順について5つのステップで解説します。
1. ブランドイメージの明確化
はじめに、自社のブランドイメージを明確にしましょう。これにより、企業として一貫性のあるメッセージを伝えるための施策を講じやすくなります。
例えば、BtoB向けの製品・サービスを扱う企業の場合、構築したいブランドイメージにあわせて、タッチポイントとして用意するコンテンツの内容や発信するチャネルを工夫する必要があります。
具体的に、ブランドイメージとして「信頼性と安全性」を掲げている企業を想定してみましょう。この場合のコンテンツは、製品の品質やセキュリティーに関する詳細なケーススタディーや、専門家の寄稿記事などが適しているでしょう。
使用するチャネルは、信頼性の高い業界専門誌やセキュリティー関連のウェビナーなどが良いかもしれません。
ブランドイメージと一貫性のあるタッチポイントを構築することで、顧客により強く印象づけることが可能です。
2. ペルソナの設定
次に、自社のサービスや商品のターゲットとなる顧客の特性を把握し、ペルソナを設定しましょう。これにより、顧客のニーズや行動パターンを理解しやすくなり、それに基づくタッチポイントを戦略的に設定することが可能になります。
このとき、単にターゲット層を決めるのではなく、実際に自社のサービスや商品を必要としている企業や人を詳細に設定する必要があります。
例えば、BtoB向けのシステムの場合のペルソナ設定に必要な項目として、以下があげられます。
- 企業の規模(従業員数の設定)
- 業種
- 担当者の部署、役職
- 解決したい課題
- システム導入によって何を実現したいか
ペルソナを設定することで、ターゲット層が自社のサービスを「いつ・どこで・どのようにして接点を持つのか」が明確になります。ペルソナ設定は、効果的なタッチポイントを設定するうえで有効な方法です。
3. カスタマージャー二ーマップの作成・タッチポイントの設定
ペルソナを設定したら、カスタマージャーニーマップを設定しましょう。カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品を認知してから購入するまでの一連の流れを可視化したものです。
このマップを基にして、各段階でのタッチポイントを明確に設定します。顧客がどのような情報やコミュニケーションを求めているかを把握し、それに合わせた接点を構築しましょう。
4. 施策の実行
カスタマージャーニーマップを基にタッチポイントを設定したら、具体的な施策に落とし込みます。
選択したチャネルや手法が、企業のビジョンや顧客の期待に合致しているかを確認しながら実行する必要があります。
5. 成果検証
施策実行後は成果検証を行いましょう。定期的なモニタリングと分析を通じて、顧客の反応や変化を把握し、必要に応じて調整を行います。
成果検証を通じて得た洞察は、将来のタッチポイント戦略の改善につながるはずです。仮説と検証を繰り返し、長期目線でタッチポイントを最適化していくことが重要です。
タッチポイントを強化する際のポイント・注意点
タッチポイントの強化は、顧客との深い関係構築において重要です。タッチポイントを強化する際のポイント・注意点は、以下の4点です。
顧客ニーズに合ったタッチポイントを複数用意する
顧客の異なる状況やニーズに応じて、タッチポイントを複数用意することを検討しましょう。さまざまなチャネルやコミュニケーション手段を提供し、顧客が快適にアクセスできるような環境を整える必要があります。
例えば、オンラインではWebサイトやSNS、オフラインでは店舗やセミナーなど、複数の接点を配置することで、幅広い顧客層にアプローチできます。
タッチポイントが多すぎるのは問題ですが、少なすぎても機会損失リスクが高くなります。さまざまな顧客のニーズに対応するためにも、顧客のニーズに合った複数のタッチポイントを用意すると良いでしょう。
各タッチポイントを連動させて運用する
複数のタッチポイントは、連動して運用することが重要です。タッチポイントを複数設定しても、それらが連動していないと効果を最大化できません。
例えば、オンラインでの購買体験をオフラインのサポートと一貫させることや、複数のプラットホームで統一感のあるキャンペーンを展開することで、顧客へ一貫したブランドイメージを提供しやすくなります。
どのタッチポイントを経由しても同様のサービスが受けられるよう、戦略を立てる必要があります。そうすることで顧客からの信頼感も増し、顧客が起点となっての情報発信も期待できます。
各タッチポイントの特徴を理解する
それぞれのタッチポイントが持つ特徴や利点を理解し、その特性に応じて適切な情報やコンテンツを提供することが重要です。
例えば、SNSでは短く魅力的なメッセージが有効である一方で、ウェビナーではより詳細な情報を提供することで深い理解を促進できます。各タッチポイントの特徴は、下記の通りです。
- テレビCM・展示会・セミナー・新聞広告・Web広告:大規模な広告媒体で、広範な視聴者層や参加者にアプローチが可能
- DM・電話・訪問営業・セミナー:直接的な対話やプレゼンテーションが可能。ターゲットを絞って訴えかけることができるが、効果にはコストや時間の要因が影響する
- SNS・オウンドメディア・ウェビナー:オンラインで効果的なコンテンツ展開が可能。ターゲット層に直接アプローチしやすく、リアルタイムな相互作用が期待できる。効果測定しやすい
- 店舗・営業担当者:商品やサービスを直接体験してもらうことや、顧客との対話が可能。顧客の実際の反応や質問に直接答えられる
- サポートセンター:顧客サポートや問い合わせに対する直接の対応が可能。信頼性向上や顧客満足度の向上に寄与する
- FAQ・メルマガ:顧客とのコミュニケーションを強化できる
- SNS・ファンサイト:ソーシャルメディア上でのファンコミュニティ形成や拡散が期待できる
- イベント・直接の紹介:直接対話できる機会となり、信頼関係を築く効果が期待できる
なお、タッチポイントには、広告やCMなど自社で直接コントロールできるものと、口コミや評判など間接的にしか影響を与えられないものがあります。それぞれのタッチポイントの特徴を理解し、全体の戦略を立てていくことが大切です。
データのサイロ化を防ぐ
タッチポイントが増えすぎると、データの「サイロ化」の問題が起こる恐れがあります。データのサイロ化とは、異なるチャネルでのデータが分散し、個別に管理されている状態です。
データの管理が統一されていない状態では、顧客理解を深めることが難しく、結果を分析して施策に生かすことができません。データを統一して管理できていないと業務も非効率になってしまいます。
データのサイロ化を防ぐためには、顧客データを一元管理することが重要です。データを統合して管理するためには、顧客データ管理システムを導入することも検討することもおすすめします。
まとめ
タッチポイントを設定・強化することは、新規顧客の創出や既存顧客の満足度向上など多くのメリットがあります。タッチポイントはオンライン・オフラインともに存在し、多様化する顧客行動に対応するためには、ペルソナやカスタマージャーニーを設定することが有効です。
タッチポイントが増えすぎるとデータのサイロ化が起きやすくなることから、効率的・効果的な運用のためにも、データを一括管理できるシステムを導入することをおすすめします。
Sansanでは、顧客データを一元管理し、ビジネスのあらゆる接点での情報を統合するプラットホームを提供しています。活用することで、ブランドイメージの構築やタッチポイントの設定・強化、顧客行動の把握といったマーケティングの各段階で、効果的なデータ活用が実現できるでしょう。
3分でわかる Sansan
営業DXサービス「Sansan」について簡潔にご説明した資料です。
ライター
営業DX Handbook 編集部