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売上アップを実現する具体的な方法とは?基本的な考え方や成功事例を解説
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事業の売り上げをアップさせるにはどうしたら良いのか、具体的な方法や考え方がわからないという方もいるでしょう。
まずは売り上げがどのように成り立つのか、そのうえで構成するどの指標にアプローチすれば良いのかを整理していく必要があります。
本記事では、売上アップを実現するための具体的な方法やポイント、実現した企業事例についてご紹介します。
売り上げとは
売り上げとは、企業や個人が商品やサービスを販売することで得られる総収入のことです。具体的には、顧客が商品を購入したり、サービスを利用した際に支払う金額が売り上げに該当します。
売り上げは、ビジネスの成長や存続を図る上で非常に重要な指標です。なぜなら、売り上げが企業の利益の基盤を形成し、経費の支払い、従業員の給与、さらには新しい投資や成長戦略の資金源となるからです。
売り上げを構成する主な要素
売り上げを構成する要素は業種やビジネスモデルによって異なりますが、基本的なフレームワークとして次の3つの要素が考えられます。
- 顧客数(または取引数)
- 取引あたりの平均価値
- 取引頻度
顧客数(または取引数)
ターゲット顧客を増やし、マーケットシェアを拡大するためには、まず自社の商品やサービスがどのような顧客に求められているかを明確にすることが必要です。次に、新規顧客を獲得するための戦略として、オンライン広告やSNSキャンペーンなどのマーケティング手法が有効です。
例えば、特定の業界向けのソリューションを提供する企業が、無料トライアルキャンペーンを実施することで、新規取引社数を増加させることができます。また、既存顧客に対して製品のアップグレードや追加サービスを提案することで、顧客単価を向上させ、売上の増加につなげることができます。このような戦略は、新規顧客の獲得と既存顧客との取引拡大の両方に寄与し、BtoB企業の売上向上に効果的です。
取引あたりの平均価値
取引あたりの平均価値を最大化するために有効な戦略が、クロスセルとアップセルです。
クロスセルとは、顧客が購入する商品に関連した別の商品を提案することで、一つの取引の総額を増やす方法です。例えば、パソコンを購入する際にソフトウェアやアクセサリを一緒に購入するケースが典型です。
一方、アップセルは、顧客により高価格の商品やサービスを勧めることで、取引価値を高める手法です。例えば、基本プランの代わりにプレミアムプランを勧めることが該当します。
業界によって平均取引価値は異なりますが、クロスセルやアップセルといった戦略を効果的に活用することで、収益を最大化できます。
取引頻度
取引頻度は、売り上げを構成する重要な要素の一つです。取引頻度を高めるためには、リピーターを増やすことが鍵となります。リピーターを増やす方法として、顧客満足度の向上やロイヤリティプログラムの導入が効果的です。また、サブスクリプションモデルや継続的なサービス提供も取引頻度を高める重要な戦略です。
例えば、定期的に商品を提供するサブスクリプションサービスでは、顧客が定期的に購入するため、取引が持続的に発生します。具体的には、定期的に商品やサービスを提供し、顧客が継続的に取引を行うことを目的としたビジネスモデルです。サブスクリプションサービスは、顧客との長期的な関係を築き、安定した収益を確保するために有効です。
業種別の売上構成要素の違い
売り上げを構成する要素は業種によって異なります。以下に、主な業種別の特徴を整理します。
製造業の場合
製造業の売り上げは、生産数量、単価、取引頻度の3つの要素で構成されます。
生産数×単価×取引数=売り上げ
製品の生産数量に単価を掛け合わせ、取引頻度を考慮することで、総売り上げが計算されます。生産数量を増やすためには生産性の向上が不可欠となります。
単価を適正に保つためには、品質管理や市場動向の分析が重要となり、取引頻度を高めるには、安定した需要の確保が必要です。生産性向上やコスト削減は、単価、生産数量、取引頻度のすべてに影響を与えるため、製造業において特に重視されるポイントとなっています。
サービス業の場合
サービス業の売り上げは、顧客数、サービス単価、サービス利用頻度の3つの要素で構成されます。
顧客数×サービス単価×サービス利用頻度=売り上げ
顧客数が増えるほど、またサービス単価が高くなるほど、売り上げは増加しますが、サービス利用頻度も重要な要素です。
特にサービス業では、顧客満足度が売り上げに大きな影響を与えます。顧客が満足すれば、リピーターとして定期的にサービスを利用する可能性が高まり、利用頻度が上昇します。
また、サービスの質が高いほど、顧客が他の人にサービスを薦める可能性が高くなり、新たな顧客を獲得するチャンスが広がります。
BtoBビジネスの場合
BtoBビジネスにおける売り上げは、案件数、契約額、契約期間の3つの要素で構成されます。
案件数×契約額×契約期間=売り上げ
案件数が増えれば売り上げも増加しますが、契約額や契約期間も重要な要素です。契約額を増やすためには、提供する製品やサービスの価値を明確にし、顧客にとってのメリットを強調することが有効です。
また、契約期間の長期化は、安定した収益を確保するために重要です。長期的なパートナーシップを築くためには、定期的なフォローアップや、顧客のニーズに合わせた柔軟な提案が求められます。
売上アップのための5つの基本原則
売上アップを実現するためには、以下の5つの基本原則を理解し、実践することが重要です。これらの原則は、ビジネスの成長と持続可能な収益の確保に不可欠な要素となります。それぞれの原則について、具体的な方法や戦略を詳しく見ていきましょう。
- 新規顧客の獲得
- リピーターの獲得
- 既存顧客へのクロスセルを狙う
- 客単価の向上
- プランや価格の見直し
1.新規顧客の獲得
既存顧客だけでなく、新たな顧客を開拓することで、ビジネスの成長が期待できます。新規顧客開拓には、インバウンドとアウトバウンドの2つのアプローチがあります。インバウンドは、顧客の興味を引くコンテンツを提供して自然に引き寄せる方法で、アウトバウンドは、企業が積極的に顧客にアプローチする方法です。
インバウンドでは、ブログ記事やSNSを通じて魅力的なコンテンツを提供し、顧客の問い合わせや購入を促します。
一方、アウトバウンドでは、営業電話、メール、広告を活用して直接顧客にアプローチします。新規顧客の獲得はビジネスの成長に不可欠です。
2.リピーターの獲得
複数回の購入や利用ごとに課金されるビジネスモデルでは、リピーターが継続的な売り上げの柱となります。新規顧客獲得のコストは高いため、既存顧客に繰り返し購入してもらうことが効率的です。リピーターを増やすには、優れた顧客体験と高品質なサービスの提供が不可欠です。
さらに、顧客にとって価値ある情報や特典を定期的に提供することで、再利用の動機を強化できます。リピーターが増えれば、安定した収益の確保が容易になり、長期的な成長が見込めます。
3.既存顧客へのクロスセルを狙う
クロスセルとは、すでに商品やサービスを利用している顧客に対し、関連する別の商品やサービスを提案して追加の売上を狙う手法です。例えば、ソフトウェアを提供している場合、既存顧客にそのソフトウェアの追加機能やサポートサービスを勧めることが考えられます。
また、顧客企業の別の部署やチームへの導入を提案することで、売上の拡大が期待できます。既存顧客はすでに信頼関係が構築されているため、提案の成功率が高く、効率的な売上増加が見込めるでしょう。
4.客単価の向上
アップセルとは、顧客に対して、購入予定の商品やサービスよりも上位のものを提案することで、単価を引き上げる方法です。例えば、基本プランを選んでいる顧客に、より多機能なプレミアムプランを勧めるケースが典型的です。
アップセルを効果的に行うためには、顧客のニーズを正確に把握し、より価値のある選択肢を提示することが重要です。適切なタイミングと魅力的な提案によって、顧客はより高い単価の製品やサービスを選びやすくなり、結果として売上の増加につながります。
5.プランや価格の見直し
市場環境や顧客ニーズが変化する中で、現行のサービスや価格が最適であるとは限りません。新規サービスやプランを提示することで、顧客に新たな選択肢を提供し、興味を引き続けることができます。
また、現状の価格設定を見直し、競合他社と比較して適切な価格設定にすることも効果的です。価格が適正であれば、顧客の購入意欲が高まり、売上の向上につながります。
さらに、既存顧客により高度な機能や上位のサービスプランを提案し、より価値の高い製品やサービスへの移行を促すことも売上増加につながります。
売上アップをするための具体的な施策
売上アップを実現するためには、具体的な施策を実行に移すことが重要です。以下では、効果的な売上アップのための具体的な方法をいくつか紹介します。
商品やサービスを改良・新規企画する
ターゲットを明確にすることが成功の鍵となります。まず、顧客のニーズや市場のトレンドを把握し、顧客のニーズに応える商品やサービスを企画することが重要です。
例えば、市場調査や顧客フィードバックを基に、既存の商品に新機能を追加したり、顧客の具体的な課題を解決する新サービスを提供することで、ターゲット市場に対して強力なアピールが可能です。
また、新規企画を通じて、競合との差別化を図ることもできます。効果的なサービス企画を行うことで、既存顧客の満足度を高め、新規顧客を引きつける力を強化できます。
アップセル・クロスセルに力を入れる
成約率の向上を目指す場合、人材育成と業務の標準化が鍵となります。まず、人材育成では、営業スキルや商品知識を強化するための研修やトレーニングを実施し、スタッフが顧客に対して自信を持って提案できるようにします。
また、成功している営業手法やプロセスを業務の標準化として整備することで、全スタッフが一貫した品質で営業活動を行えるようにすることが重要です。このような取り組みにより、営業全体のパフォーマンスが向上し、成約率の増加や売上アップにつながります。
他社との協業や共催企画を実施する
売上アップに有効な具体的な施策として、他社との協業や共催企画が挙げられます。アライアンスを組むことで、互いの強みを生かしながら新たな販路を開拓し、顧客基盤を広げることが可能となります。
例えば、異業種の企業と協力し、共同でセミナーやイベントを開催することで、互いの顧客に新たな価値を提供し、新規顧客の獲得が期待できるでしょう。また、他社の販路や顧客ネットワークを活用することで、自社だけではリーチできない市場にもアクセスできるようになります。
こうした協業や共催企画は、効率的に新規開拓を進め、売上の増加に大きく貢献する可能性があります。
売上アップに活用できるツール
売上アップを実現するためには、さまざまなツールや戦略を効果的に活用することが重要です。以下では、売上向上に貢献する主要なツールとその特徴について詳しく解説します。
SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)
SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)は、営業活動の効率化と効果向上を目指して、営業プロセスを自動化・管理するためのツールです。
例えば、見込み客の情報管理、営業活動の進捗追跡、契約の履歴管理などが一元化され、営業チーム全体のパフォーマンスを向上させます。
SFAの導入により、営業担当者は効率的に活動し、成約率を高めることが可能です。また、データに基づいた意思決定ができるため、より効果的な営業戦略を立てやすくなります。SFAを導入することで、営業活動が最適化され、売上アップに直結します。
MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)
MA(Marketing Automation:マーケティングオートメーション)は、マーケティング活動を自動化し、効率化することで、見込み客の育成や顧客とのコミュニケーションを最適化します。
例えば、メール配信、SNS投稿、リード管理などを自動化することで、顧客の行動に応じたパーソナライズされた対応が可能になります。
MAを活用することで、見込み客が購入に至るまでのプロセスを効率的にサポートし、コンバージョン率を高めることができます。MAを活用することで、マーケティング活動全体が効果的に運営され、結果的に売上の増加につながります。
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)
CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)は、顧客との関係を管理・強化するためのシステムで、顧客情報を一元管理し、営業、マーケティング、カスタマーサポートの各部門が連携して顧客対応を行えるようにします。
例えば、顧客の購入履歴や問い合わせ履歴を把握し、個別に最適な提案やサポートを提供することで、顧客満足度が向上し、リピーターを増やすことが可能です。
また、顧客のニーズや行動を分析し、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。CRMを活用することで、顧客との長期的な関係を築き、売上の持続的な向上が期待できます。
売上アップのために考えるべきポイント
売上アップを実現するためには、具体的な方法や戦略を理解し、実践することが重要です。以下では、売上を向上させるための主要なポイントについて詳しく解説します。
- データをもとに現状把握する
- ボトルネックを特定する
- 顧客情報の管理と活用がカギとなる
データをもとに現状把握する
経験や勘に頼った判断では、的確な対策を講じることが難しいため、実際の数値を活用することが求められます。
特に、月次決算の数値を活用することで、売上のトレンドやコストの変動を把握し、どの分野で改善が必要かを明確にできるでしょう。具体的な数値に基づいた分析を行うことで、効果的な戦略を立てやすくなります。その結果、売上アップにつながる可能性が高まります。
定期的にデータを見直し、現状を正確に理解することが、持続的なビジネス成長の鍵となります。
ボトルネックを特定する
集客数、成約数、単価などの各要素に注目し、それぞれのプロセスでどこに問題があるのかを明確にすることで、具体的な改善策を講じることができます。例えば、集客数は十分でも成約数が低ければ、営業や提案の方法に問題がある可能性があります。
また、成約数は高いものの、単価が低い場合は、アップセルやクロスセルの機会を見逃しているかもしれません。これらの要素ごとにボトルネックを特定し、改善することで、売上アップに効果的にアプローチできます。
顧客情報の管理と活用がカギとなる
顧客情報の管理と活用は、売上アップに直結する非常に重要な要素です。顧客の購入履歴や行動データを適切に管理することで、個々のニーズや好みを正確に把握できるようになります。これにより、顧客に合わせた提案やキャンペーンが可能となり、リピーターの増加や成約率の向上が期待できるでしょう。
また、顧客情報を活用してターゲット層に効果的なアプローチを行うことで、新規顧客の獲得にもつながります。顧客との関係を深め、長期的な信頼関係を築くためには、顧客情報の管理と活用が欠かせません。適切な管理こそが、売上アップの鍵となるのです。
優先順位の高い施策から取り組む
優先順位の高い施策から取り組むために、四象限を用いた分析が役立ちます。まず、施策を「リソース(必要な時間やコスト)」と「影響(売上に与える効果)」の2つの軸で分類します。四象限に分けることで、リソースが少なくても影響が大きい施策を最優先に取り組むべきことが明確になります。
一方で、リソースが多く必要だが影響が小さい施策は、後回しにするか見直しが必要となります。四象限分析を用いて施策の優先順位を設定することで、リソースを効率的に配分し、効果的に売上アップを図ることが可能です。具体的には、リソースが少なくて影響が大きい施策を最優先に実行し、リソースが多くて影響が小さい施策は後回しにするなど、戦略的なアプローチができるようになります。
売上アップを実現した企業事例
売上アップを実現するためには、具体的な方法や事例を理解することが重要です。実際に売上アップに成功した企業3社の事例を紹介します。いずれもSansanを導入することで顧客データの有効活用や、そのためのデータ整備・共有体制を確立したことで案件や商談の創出数を高めることに成功しています。
NECソリューションイノベーター
株式会社NECソリューションイノベーターは、営業活動の効率化とデータ活用を強化することで、案件創出額を2.3倍に増加させることに成功しました。
具体的には、デジタルマーケティングを強化する中で展示会で得た名刺のデータ化に時間がかかっており、フォローアップが遅くなっていたことをSansanを用いて即時データ化し、最短で獲得したリードのフォローアップが可能となりました。
また、SansanのDataHubによって毎月35時間ほどかけていたデータクレンジングの作業は、毎月12時間に短縮し、さらに獲得したデータが想定するペルソナと合致しているかを紹介することができ、リードのデータ品質が向上しています。
それによって、見込み客の発掘とアプローチが効果的に行われた結果、短期間での成果を上げることができました。
トレジャーデータ株式会社
トレジャーデータ株式会社様は、営業活動のデジタル化と顧客データの活用により、成約率の向上を実現しました。
具体的には、SansanとMarketoを連携し顧客の行動データを一元管理することで、各営業担当者が最適なタイミングで効果的なアプローチを行えるようになり、成約率の向上につながりました。
また、営業プロセス全体を効率化し、データドリブンな意思決定を行うことで、より高い成果を得ることができております。
株式会社クレディセゾン
株式会社クレディセゾンは、Sansanの導入・活用によって顧客情報を整理し、人脈共有を円滑にしたことで、新規契約数と取引商談数を大幅に増加させました。
具体的には、導入後の1年間で新規契約数と取引商談数が30%増加し、営業効率の向上が実現しました。この成果は、Sansanを用いて組織の営業活動を可視化し、データを用いることで、営業チームがより効果的にターゲット顧客にアプローチできたことが要因です。
その結果、組織としての営業力強化を実現し、売上アップを実現しています。
まとめ
売上アップを実現するためには、顧客情報の管理と活用が極めて重要です。効果的な販売戦略の立案と実行により、企業は競争優位を確立し、収益を最大化することが可能です。
主要なポイントとしては、ターゲット市場やペルソナの明確化、データに基づく意思決定と戦略の柔軟な調整、顧客ニーズに合わせた商品やサービスの改善・提案、クロスセルやアップセルの手法を活用した売上増加、そして顧客との密接なコミュニケーションとフィードバックの活用が挙げられます。
Sansanは、単なる名刺管理ツールを超えた営業DXサービスとして、営業力の強化を後押しし、売上アップに貢献する機能をそろえています。顧客情報の一元管理により、人脈情報、企業情報、商談履歴を組織全体で活用し、販売戦略の策定に役立てられます。
また、過去のアプローチ情報を確認し、商談準備を効率化することで、提案の精度向上につなげることが可能です。デジタル名刺を活用したオンライン商談の円滑化、マネジャーによる商談履歴の確認と戦略の継続的な改善、さらにSFA、CRM、MAとの連携による顧客情報の全社共有と高度な営業戦略の実行が可能です。
3分でわかる Sansan
営業DXサービス「Sansan」について簡潔にご説明した資料です。
ライター
営業DX Handbook 編集部