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ルート営業とは?メリット・デメリットや成功のポイントを解説

ルート営業とは?メリット・デメリットや成功のポイントを解説

ルート営業は、取引実績のある既存顧客に特化した営業活動によって、長期的な信頼関係の構築と維持をめざす営業手法です。

ルート営業はすでに多くの企業が取り入れている手法ですが、その効果を最大化するためには、メリットとデメリットを正確に理解し、適切な戦略を立てることが大切です。

本記事では、ルート営業の基本やメリット・デメリット、ルート営業の成果を最大化するためのコツを詳しく解説します。ルート営業を通じてチームの成果を最大限に引き出したい方は、ぜひ参考にしてください。

ルート営業とは、既存顧客を対象とした営業方法です。すでに関係性が築かれている顧客に焦点を当てたアプローチを行うことで、信頼関係をより深め、持続的なビジネスチャンスを探求することを目的としています。

営業手法には、新規営業やアカウント営業などいくつかの種類があるため、ここではルート営業の主な役割や、ほかの営業手法との違いについて解説します。

ルート営業の主な役割

ルート営業の主な役割は、既存顧客との関係を維持し、さらに強化を図ることです。

具体的な活動内容として、以下の内容があげられます。

既存顧客のアフターフォロー

製品やサービスの使用状況を確認し、不具合がないか、使用方法に関する疑問がないかをヒアリングします。また、製品の最新情報やアップデート情報を提供し、契約率の向上を図ります。

既存顧客への追加提案

顧客の現在の契約状況を見直し、契約の更新や追加オプション、別の製品やサービスの提案を行います。顧客のニーズに応じた最適なソリューションを提供し、顧客満足度の向上を図ります。

顧客要望のヒアリング

顧客が直面している問題や解決すべき課題についてヒアリングします。契約中のサービス以外にも、自社の製品やサービスで解決できる部分について提案につなげます。

ルート営業と新規営業の違い

ルート営業と新規営業は、ターゲットとする顧客層において大きな違いがあります。

新規営業は、自社とこれまで取引のない顧客に対して営業活動を行う営業スタイルです。具体的には、テレアポや飛び込み営業、マーケティング部門から引き継いだリードに対するアポイントなどを通じて、信頼関係の構築から始めます。そのため、新規営業ではコール数(架電数)や訪問数、アポイント数などの具体的な目標を設定し、それを達成することが求められます。


一方でルート営業は、すでに取引のある既存顧客に焦点を当て、長期的な関係構築と維持に努める手法です。信頼関係がすでに確立されているため、新規営業に比べて提案が受け入れられやすく、継続的なビジネスチャンスを生み出しやすい点が特徴です。

ルート営業とアカウント営業の違い

ルート営業とアカウント営業も似ているようでいて、対象となる顧客層に違いがあります。

アカウント営業は、特定の顧客に絞り込み、その顧客との関係性を深めながら成約につなげる営業手法です。事前の顧客理解や情報収集、課題分析が重要とされ、ターゲットを絞って深く関わることで、より適切な提案を目指します。特に、競合シェアが高い企業や大手企業など、高い取引額を見込める企業に対して実施されることが多いです。

一方、ルート営業はアフターフォローや追加提案、顧客要望のヒアリングを通じて既存顧客満足度を高め、良好な取引関係を維持することを目的としています。

ルート営業は特定の大口顧客に焦点を当てるアカウント営業とは異なり、幅広い既存顧客との関係を深め、維持することに重きを置いている営業手法といえます。

ルート営業のメリット

ルート営業は、既存顧客を対象とした営業活動であることから、新規顧客獲得にともなう不確実性が少なく、多くのメリットを享受できます。特に、管理者の立場から見ると、ルート営業は営業戦略において重要な役割を担います。

ここでは、ルート営業のメリットを詳しく見ていきましょう。

売り上げの見込みが立ちやすい

ルート営業のメリットの一つは、売り上げの見込みが立ちやすいことです。

すでに取引のある顧客との関係性を基盤として活動内容を検討できるため、新規営業に比べて成約率が高く、より安定した売り上げを見込むことができます。

そのため、営業部門として中長期的な売り上げの予測がしやすく、計画的な営業戦略を立てやすくなります。また、取引先との良好な関係を継続的に構築していくことで、LTV(顧客生涯価値)の最大化にも貢献し、収益性の向上が期待できます。

営業管理がしやすい

ルート営業は、営業管理の観点からも大きなメリットがあります。既存顧客を対象とした営業活動は、新規顧客獲得に比べて行動管理がしやすく、組織全体の営業効率の向上が期待できます。

仮に、目標達成に向けた進捗が計画通りに進んでいない場合でも、既存の顧客基盤を活用し、軌道修正や営業方針の立て直しを図ることができます。これにより、営業チームの効率性と効果性を高めることが可能になり、組織全体の目標達成に貢献します。

ルート営業のデメリット

ルート営業は、既存顧客との関係を深め、安定した売り上げを確保するメリットがある一方で、管理者の視点から見るといくつかのデメリットも存在します。

これらのデメリットを理解し、対策を講じることが、ルート営業の効果を最大化する鍵となります。ここでは、ルート営業の主なデメリットを見ていきましょう。

新規営業に比べて売り上げを増やしづらい

ルート営業のデメリットは、売り上げを大幅に増やすことが難しい点です。新規開拓営業では、顧客基盤の拡大を通じて売り上げの増加を目指しますが、ルート営業では既存顧客との関係性を深化させることに焦点を当てているため、アップセルやクロスセルによる売り上げ増加には限界があります。

一般的に、売り上げをアップさせるためには「業績=顧客数 ✕ 売上単価 ✕ 購入回数(リピート率)」の公式を意識する必要があります。この公式に基づくと、顧客数の増加なしに売り上げを増やすことは、特に難しくなります。

そのため、ルート営業だけに依存した営業戦略は、売り上げの成長の面でいずれ限界に直面する可能性が高いといえます。

外部環境の変化に対応しづらい

ルート営業のデメリットとして、外部環境の変化に対応しづらいこともあげられます。例えば、不況や感染症の流行など、外部環境の変化によって既存顧客の取引が減少した場合、事業を存続させるためには、新しい取引を増やすことで売り上げを担保する必要があります。

課題解決型の提案営業では、新しい商品や異なるアプローチでの提案が可能ですが、ルート営業は基本的に同じ取引先に同じ製品やサービスを提案するため、新しいニーズや課題に対する解決型の提案が苦手とされます。

そのため、市場や顧客ニーズの変化に柔軟に対応するための営業戦略を考える際には、ルート営業への依存度も検討し、ほかの営業手法と併用する必要があります。

ルート営業を成功させるためのポイント

ルート営業を成功させるためには、管理者として営業チームの指導とサポートが欠かせません。特に、既存顧客との関係を深め、長期的なビジネスチャンスを最大化するためには、戦略的なアプローチが求められます。

ここでは、ルート営業を成功に導くための主なポイントを3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

営業ナレッジを共有する

営業ナレッジの共有は、ルート営業の成功において重要なポイントです。例えば、顧客から好評を得たアプローチ方法や、効果的な営業トークのスクリプト(台本)など、営業活動で得られた知見を社内で共有する仕組みを作ることが大切です。

これにより、営業チーム全体のスキルアップを図り、属人化を防ぎながら社内全体での成果向上をめざすことが可能になります。営業ナレッジの共有を促進するためには、情報共有しやすい環境や仕組みづくりを進めることが重要です。

顧客情報を一元管理する

ルート営業において、顧客情報の一元管理は不可欠な要素です。例えば、顧客名・購買履歴・コンタクト履歴・過去のトラブルとそのときの対応・顧客の課題やニーズなど、詳細な顧客情報を管理・共有することで、より効果的な営業活動が可能になります。

効率的な顧客管理を実現するには、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)などのツールの導入が有効です。これらのツールにより、情報入力の自動化を進め、営業担当者の負担を軽減しつつ、正確な顧客情報の管理が行いやすくなります。

  • SFA(営業支援システム):営業プロセスを効率化し、営業活動の管理・支援を行うシステム
  • CRM(顧客関係管理):顧客情報を収集・管理し、顧客との関係性構築を支援するシステム

営業活動を可視化・分析する

営業活動の可視化と分析は、ルート営業の効率化と成果向上に欠かせません。SFAなどのツールを活用して、営業担当者一人ひとりの活動を可視化し、成果が出ている営業担当者とそうでない担当者の行動を比較・分析することが大切です。

これにより、商談の進捗管理が容易になり、売り上げの予測が立てやすくなります。計画の進捗が悪い場合には、早めに計画や戦略を見直す必要があります。

ルート営業における顧客データベースの重要性

ルート営業において、営業成果を最大化するためには、顧客データベースの活用が有効です。顧客データベースとは、既存顧客や見込み顧客の情報を管理するためのデータベースです。

具体的には、企業名や担当者名、連絡先といった基本情報から、これまでの商談内容・興味関心・購買履歴・コミュニケーションの記録など、顧客との関係構築に必要なあらゆる情報を含みます。

ルート営業で顧客の課題を正確に把握し、ニーズに合った提案を行うためには、常に顧客の最新の状況を把握できる体制構築が欠かせません。顧客データベースが整備されていることで、顧客それぞれのニーズや状況を正確に把握できるため、営業の質が向上します。

また、データベース化することで情報の属人化を防ぐことができ、ルート営業の担当者が変更になった際にも引き継ぎがスムーズに行えます。

まとめ

ルート営業は、提案やサポートを通じて既存顧客との関係を深め、売り上げの安定化を図る営業手法です。ルート営業の成果を高めるには、営業ナレッジの共有や顧客情報の一元管理、営業活動の可視化・分析を行うと良いでしょう。

その際、顧客データベースを整備しておくことで、顧客ニーズの正確な把握と情報の属人化を防ぐことが可能です。
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3分でわかる Sansan営業DXサービス「Sansan」について簡潔にご説明した資料です。

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営業DX Handbook 編集部

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営業DX Handbook 編集部

Sansanが運営する「営業DX Handbook」の編集部です。DX推進や営業戦略、マーケティングノウハウなど、営業・マーケティング課題の解決に導く情報をお届けします。