- 営業ノウハウ
テレアポ営業とは?メリットや実践フロー・外注方法まで徹底解説
公開日:

テレアポ営業は、多くの企業で重要な営業手法として活用されています。しかし、効果的なアプローチ方法や実践的なノウハウを知らないために、十分な成果を出せていない企業も少なくありません。本記事では、テレアポ営業の基本的な考え方、具体的な実践方法から、成功のためのポイントまで解説します。
飛び込み営業は「迷惑営業」!?
テレアポ営業とは

テレアポ営業は、電話を通じて見込み顧客にアプローチし、商談のアポイントを獲得する営業手法です。特に新規開拓において重要な役割を果たし、効率的な商談機会の創出を可能にします。昨今のビジネス環境において、その重要性は一層高まっています。
テレアポ営業の目的
テレアポ営業の主な目的は、新規顧客の開拓と、効率的な商談機会の創出です。
目的 | 具体的な施策 | 期待される効果 |
---|---|---|
新規顧客開拓 | リストに基づく計画的なアプローチ | 見込み顧客の効率的な発掘 |
商談機会創出 | 決裁権保有者へのアプローチ | 質の高い商談の設定 |
市場調査 | ヒアリングを通じた情報収集 | 商材や戦略の改善 |
新規顧客開拓において、テレアポ営業は効果的な手段です。特定の基準で選定された見込み顧客に対して、直接アプローチすることで、効率的に商談機会を創出できます。また、通話を通じて得られる市場の生の声は、商材や営業戦略の改善にも活用できるでしょう。
インサイドセールス・コールセンターとの違い

テレアポ営業は、一見似ているように見えるインサイドセールスやコールセンター業務とは、その目的や手法に明確な違いがあります。
項目 | テレアポ営業 | インサイドセールス | コールセンター |
---|---|---|---|
主な目的 | 新規開拓 | 見込み顧客の育成 | 問い合わせ対応 |
主な対象顧客 | 未接触の見込み顧客 | マーケティング獲得リード | 入電してきた顧客 |
特徴 | アポイント獲得が主目的 | 商談までの一貫対応 | サポート業務が中心 |
営業戦略を効果的に構築するには、各手法の特徴を理解することが重要です。テレアポ営業は新規開拓に特化し、未接触の見込み顧客に対して積極的なアプローチを行います。
一方、インサイドセールスはマーケティング活動で獲得したリードに対してアプローチする手法で、見込み顧客の育成から商談までを一貫して担当します。コールセンターは主にインバウンドの問い合わせ対応が中心となり、顧客サポートの役割を果たします。
テレアポ営業のメリット

テレアポ営業には、対面営業と比較して多くのメリットがあります。特に効率性、コスト面、データ活用の観点から、多くの企業で重要な営業手法として位置づけられています。ここでは、主要な3つのメリットについて、具体的に解説します。
1.見込み顧客に対して効率良くアプローチできる
テレアポ営業の最大のメリットは、短時間で多くの見込み顧客にアプローチできる点です。
対面営業では移動時間や待ち時間が発生しますが、テレアポ営業ではそれらの時間を最小限に抑えることができます。また、事前に準備したリストに基づいて計画的なアプローチが可能なため、より効率的な営業活動が可能です。
さらに、電話を通じた直接的なコミュニケーションにより、見込み顧客のニーズや課題をリアルタイムで把握できます。この要素は、商談の質を高める上で重要です。
2.コスト効率の最適化
テレアポ営業では、従来の訪問営業で発生する交通費、宿泊費などの経費を大幅に削減できます。また、一人の営業担当者が1日に対応できる件数が増えることで、人件費あたりの商談創出効率も向上します。
これにより、少人数での効率的な営業活動が可能となるため、特に中小企業やスタートアップにとって有効な手法となるのです。
加えて、初期投資も比較的抑えることができます。必要な設備は電話とPCが基本となるため、新規事業の立ち上げや営業部門の拡大においても、柔軟な対応が可能です。
3.データに基づく改善のたやすさ
テレアポ営業の大きな特徴として、活動の定量化と分析が容易である点が挙げられます。
テレアポでは、通話内容の記録や分析により、成功パターンや改善点を具体的に特定できます。例えば、アポイント獲得率の高い時間帯、効果的なトークスクリプト、成約につながりやすい顧客層など、さまざまな角度からデータを収集し分析することが可能です。
また、これらのデータを基にしたPDCAサイクルの実施も容易です。数値に基づく目標設定と成果測定により、継続的な改善活動を展開できます。
テレアポ営業の基本フロー
テレアポ営業を成功させるためには、体系的なアプローチが不可欠です。設計、準備、実践、改善という4つのステップで構成される基本フローを理解し、実行することで、効果的なテレアポ営業が実現できます。それぞれのステップについて、実践的な視点から解説していきます。
STEP1.設計
テレアポ営業の成否は、入念な設計段階にかかっています。ターゲット選定から目標設定まで、綿密な計画が必要です。
ターゲット企業の選定
効果的なテレアポ営業の第一歩は、適切なターゲット企業の選定です。まずは、自社の商材やサービスに最適な企業規模、業種を特定し、具体的なリストを作成します。また、商談を成立させるために必要な決裁者層や担当部署も事前に把握しておくことが重要です。
アポイント目標の設定
具体的な数値目標の設定は、テレアポ営業の成功に不可欠です。月間のアポイント獲得目標を設定する際は、商談化率を考慮し、現実的な数値を設定しましょう。また、アポイントの質(決裁権の有無、ニーズの強さなど)に関する基準も明確にしておく必要があります。
見込み顧客像の設計

効果的なアプローチを実現するには、見込み顧客の特性を深く理解する必要があります。カスタマージャーニーマップを活用し、顧客が抱える課題やペインポイントを明確化しましょう。
また、商材に対するニーズが高い企業の特性を整理することで、より効率的なアプローチが可能となります。
STEP2.準備
成果を上げるためには、実践に向けた適切な準備が不可欠です。環境整備から具体的なツールの準備まで、実務的な準備を進めます。
架電環境の構築
効率的なテレアポ営業には、適切な荷電環境の構築が重要です。通話品質を確保するための電話システムの選定、集中して作業できるパーテーションの設置、必要なPCや通話機器の準備を行いましょう。また、通話内容の分析や指導に活用できる録音システムの導入も検討してください。
トークスクリプトの準備
効果的な会話を実現するには、状況に応じて柔軟に対応できるトークスクリプトが必要です。基本的な展開から想定される質問への対応まで、実践的なスクリプトを用意しましょう。
ただし、機械的な読み上げにならないよう、自然な会話の流れを意識した構成にすることが重要です。
リストの作成
営業リストの質の高さは、テレアポ営業の成功率を大きく左右します。購入したリストやハウスリストなど、目的に応じた適切なリストを準備しましょう。また、名刺管理ツールを活用することで、既存の接点を生かしたアプローチも可能となります。
STEP3.テレアポの実践
準備が整ったら、実際のテレアポ活動に移ります。効率的で効果的な実践のためには、体系的なアプローチが重要です。
電話をかける前の準備をする
架電前の準備は、成功率を高める重要な要素です。スクリプトの最終確認、ターゲット企業の基本情報の確認、通話ツールの動作確認などを行いましょう。これにより、スムーズな会話の展開が可能となり、アポイント獲得率が向上します。
リストを基に架電
用意した営業リストに従って、優先順位の高い企業から順に架電を行います。リスト内の情報(企業規模、業種、過去の接点など)を踏まえた上で、担当者との会話を展開し、適切なタイミングでキーパーソンへのアプローチを試みることが重要です。
通話記録の入力
通話直後の記録は、後の分析や改善に不可欠です。通話結果、次回アプローチの予定、聞き取った情報などを漏れなく記録しましょう。この情報は、チーム全体での共有や、継続的なアプローチに活用します。
STEP4.実践後の改善
テレアポ営業の効果を最大化するには、継続的な改善活動が欠かせません。実践から得られた知見を次のアクションに生かすことで、成果の向上が期待できます。
ロールプレイングの実施
効果的な会話スキルの向上には、実践的なトレーニングが重要です。ロールプレイングを通じて、実際の通話での課題を洗い出し、改善点を見いだしましょう。
毎朝の定例実施により、チーム全体のスキル向上を図ることができます。また、経験豊富な担当者からの具体的なフィードバックは、新人教育においても効果的です。
通話内容の分析と改善
実際の通話内容を分析することで、具体的な改善点を特定できます。チェックシートを用いた評価により、客観的な分析が可能となります。また、日報の作成や録音内容の見直しを通じて、日々の振り返りを行うことで、継続的な改善につなげることができます。
営業リストの最適化
アプローチ結果に基づき、リストの質を継続的に改善していくことが重要です。一般的に500件程度の架電でアポイント率が1%を下回る場合、リストの見直しを検討する必要があります。企業規模、部署、業界などの観点から、より効果的なターゲット選定を行いましょう。
テレアポ営業を成功させるためのポイント

テレアポ営業の成功は、いくつかの重要なポイントにかかっています。特に架電時間帯の最適化、効果的なスクリプトの作成、適切な架電数の確保、そして科学的なアプローチの導入が重要です。ここでは、成功のための具体的なポイントを詳しく解説します。
業界ごとに架電時間帯を調整する
効果的なテレアポ営業には、適切な架電タイミングの選定が重要です。業界によって最適な時間帯は異なり、把握したうえで架電することで成功率を高められます。
業界 | 最適な架電時間帯 | 注意点 |
---|---|---|
製造業 | 午前9時~11時 | 工場見学や会議が午後に集中 |
サービス業 | 午後2時~5時 | 朝夕の繁忙時間を避ける |
小売業 | 午前10時~12時 | 開店直後と夕方は避ける |
IT業界 | 午後3時~5時 | 朝のミーティング時間を避ける |
季節や曜日による変動も考慮に入れる必要があります。例えば、決算期や繁忙期は避け、比較的余裕のある時期を狙うことで、アポイント獲得率の向上が期待できます。特に、各業界の年間スケジュールを把握し、商談に前向きな時期を見極めることが重要です。
分岐のあるトークスクリプトの作成
効果的なテレアポには、状況に応じて柔軟に対応できるスクリプトが不可欠です。単一の流れだけでなく、さまざまな反応に対応できる分岐を用意することで、アポイント獲得率を高めることができます。
シーン | スクリプトのポイント | 期待される効果 |
---|---|---|
導入部 | 簡潔な自己紹介と用件説明 | 興味を引く第一印象づくり |
基本質問 | 課題の具体的なヒアリング | ニーズの明確化 |
断り対応 | 想定される反論への準備 | 商談機会の損失防止 |
クロージング | 次のアクションの提案 | 具体的な約束の獲得 |
特に重要なのは、想定される断りのパターンに対する対応です。「予算がない」「既存の取引先がある」といった一般的な断りに対して、具体的な返答を準備することで、商談機会を逃さないようにします。また、相手の反応に応じて柔軟に対応できるよう、基本となるスクリプトは簡潔にまとめることが重要です。
1日100件程度の架電数を確保する
テレアポ営業では、一定の架電数を確保することが成果につながります。平均では1日100件の架電に対して1~3件のアポイント獲得が多くの企業でKPIとされており、この数値を達成するための計画的なアプローチが必要です。
時間帯 | 目標架電数 | 達成のポイント |
---|---|---|
午前中 | 40-50件 | 集中力の高い時間帯を活用 |
午後前半 | 30-40件 | 昼休み後を効率的に活用 |
午後後半 | 20-30件 | 疲労を考慮した目標設定 |
目標達成には、時間帯ごとの特性を理解した架電計画が重要です。特に午前中は集中力が高く、新規先へのアプローチに適しています。また、午後は既存顧客や好反応だった企業への再アプローチを行うなど、時間帯に応じた戦略的な架電を心がけることで、効率的な活動が可能となります。
心理学を生かしたフレームワークの共有
テレアポ営業の成功には、科学的なアプローチが欠かせません。心理学に基づいたフレームワークを活用することで、個人の経験や勘に頼らない、安定した成果を上げることが可能となります。
フレームワーク | 活用ポイント | 効果 |
---|---|---|
AIDMA | 注意→興味→欲求→記憶→行動 | 自然な商談への流れ作り |
FAB分析 | 特徴→利点→ベネフィット | 効果的な価値提案 |
SPIN質問法 | 状況→問題→示唆→確認 | 的確なニーズ把握 |
これらのフレームワークは、単なる理論にとどまらず、実践的なツールとして活用することが重要です。例えば、SPIN質問法を用いることで、相手の潜在的なニーズを引き出し、より質の高い商談につなげることができます。
また、チーム全体でこれらのフレームワークを共有し、定期的な振り返りを行うことで、組織としての営業力向上が期待できます。
テレアポ営業で活用できるツール

効果的なテレアポ営業の実現には、適切なツールの活用が不可欠です。名刺管理ツール、SFA/CRM、架電分析ツールなど、目的に応じたさまざまなツールが存在します。ここでは、主要なツールの特徴と活用方法について解説します。
名刺管理ツール
名刺管理ツールを活用することで、効率的にアプローチできます。特に過去の接点情報を活用することで、より効果的な営業活動が可能です。
名刺管理ツールの最大の利点は、直接担当者につながる連絡先へアクセスできる点です。代表電話経由ではなく、部署や担当者に直接アプローチできることで、アポイント獲得の確率が大きく向上します。
例えば、Sansanを活用することで、名刺情報はもちろん、会社情報や過去の接点などを踏まえた、的確なアプローチが可能となります。
SFA/CRM
SFAやCRMは、組織的な営業活動を支援する重要なツールです。過去の取引履歴や商談記録を活用することで、より効果的なアプローチが可能となります。
これらのツールの活用により、部署直通電話番号などの重要な情報を入手できるだけでなく、チーム全体での情報共有も容易になります。商談の進捗状況や顧客とのやり取りを一元管理することで、組織としての営業力強化につながります。
SFA/CRMについては以下の記事で詳しく解説しておりますので、ご参照ください。
架電分析ツール
架電分析ツールは、テレアポ営業の品質向上に不可欠な存在です。通話内容の録音や分析機能により、具体的な改善点の特定が可能となります。
最新のツールでは、AIによる音声認識技術を活用した文字起こしや、会話内容の自動分析機能なども備えています。これにより、成功事例の共有や課題の早期発見が容易になり、チーム全体のスキル向上につながるのです。また、録音データの振り返りは、新人教育や研修においても効果的に活用できます。
テレアポ営業は営業代行に外注する選択もある
自社でのテレアポ営業の実施が困難な場合、営業代行サービスの活用も有効な選択肢となります。リソースや専門性の観点から、外注することで得られるメリットは少なくありません。
営業代行サービスは、テレアポに特化した専門スキルと経験を持つスタッフが、効率的にアポイントを獲得する体制を整えています。特に中小企業において、自社で専門チームを立ち上げるコストと比較すると、初期投資を抑えつつ即効性のある成果を得られる可能性があります。
ただし、商材や対象市場によって適切な費用は大きく異なるため、複数の業者に見積もりを依頼するのがお勧めです。
まとめ
テレアポ営業は、新規顧客開拓を実現する重要な手法です。本記事では、テレアポ営業の効率を高める設計から実践、改善までの体系的なアプローチについて解説しました。
テレアポ営業の効率を高めるに当たって特に重要なのは、適切なツールの活用とデータに基づく継続的な改善です。
営業DXサービス「Sansan」は名刺や企業情報、営業履歴を一元管理して全社で共有できるようにすることで、売上拡大とコスト削減を同時に実現します。商談の獲得に貢献する機能については、下記の資料をご覧ください。

3分でわかるSansan
営業DXサービス「Sansan」について簡潔にご説明した資料です。

ライター
営業DX Handbook 編集部