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販路拡大とは?効果的な拡大戦略と具体的な手順について解説
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急速に変化するビジネス環境において、販路拡大は企業の成長と競争力を維持するための重要な戦略です。新たな市場への進出、既存市場での深耕、そして海外市場の開拓は、BtoB営業における売上拡大と市場シェアの増加を実現するための鍵となります。
本記事では、BtoB営業における販路拡大の定義やメリット、具体的な手順と成功のポイントについて詳しく解説し、実際に販路拡大を行う際の実践的なコツを紹介します。
販路拡大とは

販路拡大とは、企業が自社製品やサービスを新たな市場や取引先に提供することで売上を増やすことです。これには新しい地域への進出、新規顧客の獲得、パートナーシップの構築などが含まれます。
例えば、特定地域でしか提供していなかった業務用ソフトウエアを全国の企業に提供開始する、あるいは海外市場の企業向けに販売することが販路拡大の一例です。この戦略は、企業の成長や安定した収益を確保するために重要であり、リスク管理や市場調査などの準備が不可欠です。
販路拡大の基本戦略

販路拡大の基本戦略を理解することは、企業の成長を加速させるために欠かせません。以下では、新規市場開拓、既存市場の深耕、そして海外進出という3つの主要な戦略について詳しく解説します。
- 新規市場開拓
- 既存市場の深耕
- 海外進出
新規市場開拓
新規市場の開拓とは、企業が新たな市場に参入して売り上げの増加と成長を目指す戦略です。
まず、市場調査によりTAM(獲得可能な最大市場規模)やターゲット、その競合などを分析し、それに基づいて適切なサービスや提案を企画します。
次に、どのように新規で参入しシェアをとっていくのかなどマーケティング戦略の策定をおこないます。手段として、新規で参入する領域の企業や代理店などと共同して行うケースも考えられるでしょう。
例えば、これまで中小企業を中心に販売していたサービスがアップデートしたタイミングで、これまで対象にしていなかった業界や、中堅以上の企業への販売を開始するなどがあげられます。その場合は、サービスの企画も重要ですが、ターゲットとする業界やその客に対する売り方を熟知した人材を増員するなどの手段が考えられるでしょう。
既存市場の深耕
既存市場の深耕とは、現在の市場シェアを拡大し、既存顧客との関係を深める戦略です。このアプローチにより、企業は収益を増加させ、持続的な成長を実現できます。
まず、顧客のニーズを詳細に分析し、それに基づいて商品やサービスを改善・提案します。その後、クロスセルやアップセルの手法を活用して売り上げを増加させます。
アップセルとは、既存の顧客に対して、より高価な商品やサービスを提案し、追加の売り上げを促進する販売手法、クロスセルとは、ある商品を買ったお客さんに関連する別の商品を一緒に勧めて売る方法のことを指します。
例えば、既存の顧客に対して関連商品を提案することで追加の購入を促し、より高価なバージョンやオプションを提案することで売り上げを伸ばすことが可能です。
海外進出
海外進出とは、企業が国内市場を超えて新たな顧客層を獲得し、売り上げを増やす戦略です。このアプローチにより企業は成長の機会を広げ、収益の多様化が可能です。
まず、ターゲット国の市場調査を行い、現地のニーズに合わせた製品やサービスを提供します。次に、現地パートナーや代理店との提携を図り、スムーズな市場参入を目指します。また、現地の法律に適合する手続きも重要です。
例えば、アメリカのCRMソフトウエア企業であるSalesforceが日本のBtoB市場に進出する際、日本のITやSI企業とパートナーシップを結び、販売網を構築しました。その後、パートナー企業が窓口となり、現地顧客のビジネスニーズに合わせたソリューションを提供し、日本語対応のサポート体制も整えることで、Salesforceのシェアを拡大させました。
※Salesforce は Salesforce, Inc. の商標であり、許可のもとで使用しています。
販路拡大の方法

販路拡大を成功させるためには、まず基本戦略を理解することが重要です。新規市場開拓、既存市場の深耕、そして海外進出という3つの主要な戦略に焦点を当て、それぞれの特徴と具体的な手順を見ていきましょう。以下では、これらの戦略について詳しく解説します。
- 代理店契約
- アライアンスの実施
- 展示会や業界イベントへの参加
- メールマガジンやSNSの活用
- 手紙
- ビジネスマッチングの利用
代理店契約
代理店契約は、企業が自社製品やサービスを販売するために第三者と契約を結ぶ方法です。この戦略により、企業は広範な市場にアクセスでき、ターゲットとなる市場の知識や契約代理店のもつ販売ネットワークを活用できます。
例えば、海外進出を目指す企業が現地の代理店と契約することで、その国の消費者に効率的にアプローチできます。代理店は現地の法規制や文化に精通しているため、企業はリスクを軽減しながら販路を拡大できます。
アライアンスの実施
アライアンスの実施とは、他の企業と協力関係を築き、共通の目標を達成するための戦略です。この方法により、リソースや技術を共有し、双方の強みを生かして市場拡大を図ります。
例えば、技術力を持つ企業が販売力のある企業と提携することで、相互利益を享受できます。アライアンスはリスク分散にも寄与し、新たな市場への参入をスムーズに進める手段となります。
展示会や業界イベントへの参加
展示会や業界イベントへの参加は、自社製品やサービスを直接的に多くの潜在顧客にアピールする機会となります。これにより、顧客の関心を引き、信頼関係を築くきっかけとすることが可能です。
また、こうしたイベントは、ネットワーキングの場としても非常に有効で、業界内の最新情報を収集する場としても機能します。
メールマガジンやSNSの活用
メールマガジンやSNSの活用は、低コストで広範な顧客層にアプローチする手段です。これにより、最新情報やプロモーションを迅速に伝えることができ、顧客との関係を維持・強化します。
例えば、定期的にメールマガジンを配信して企業向けの新製品やキャンペーン情報を提供し、SNSで顧客とのコミュニケーションを図ることで、リードナーチャリングを行い、最終的な購買につなげることができます。
手紙
手紙は、ビジネスの正式なコミュニケーション手段として今でも有効です。これにより、個別の顧客に対してパーソナライズされたメッセージを伝えることができます。
例えば、BtoBの文脈では、重要な取引先に対して個別の提案を交えた手書きの手紙を送ることで、信頼関係を強化し、ビジネス関係を深めることができます。
同様に、DM広告を利用してターゲット企業に新製品情報やキャンペーンを知らせることが可能です。これにより、特定のニーズに直接応えることができ、より高い反応率を期待できます。
ビジネスマッチングの利用
ビジネスマッチングの利用は、新たなビジネスパートナーや顧客を見つけるための効果的な方法です。専門のマッチングサービスを利用することで、企業は自社のニーズに合ったパートナーと迅速に出会うことができます。
例えば、新規市場進出を考えている企業がその市場に合ったマッチングイベントに参加することで、適したパートナーや顧客を見つけ、販路を拡大する機会を得ることができます。この方法は効率的で、具体的なビジネス成果に直結する可能性が高いです。
販路拡大の手順

ここでは、販路拡大を成功させるための具体的な手順について解説します。これらの手順を順番に実行することで、効果的に新しい市場や顧客層にアプローチし、売上を増やすことができます。
- 市場調査
- 目標の設定
- 戦略の策定
- 実行
- 評価とフィードバック
1.市場調査
市場調査は、販路拡大の第一歩であり、ターゲット市場のニーズ、競合状況、企業の購買傾向を理解するために行います。このプロセスにより、販路拡大の方針によってどの程度の売り上げを見込めるのか、企業はどの市場に進出すべきか、どのような製品やサービスが求められているかを把握することが可能です。
2.目標の設定
目標の設定は、販路拡大の成功を測るための具体的な指標を定めるプロセスです。これには、売上目標、顧客獲得数、マーケットシェアの拡大などが含まれます。
例えば、新製品を通じて既存顧客の企業内で異なる部署へのシェア拡大を目指す、もしくはこれまで重点を置いていなかった業界や業種に対して新たなアプローチを行い、1年間で売り上げを20%増加させるといった明確な目標を設定することで、チーム全体が同じ方向に向かって努力することが可能です。明確な目標は、進捗を測定し、必要に応じて戦略を修正するためにも重要です。
3.戦略の策定
戦略の策定は、設定した目標を達成するための具体的な計画を立てるプロセスです。これには、マーケティング戦略や営業戦略などが含まれます。
例えば、ターゲット業界の専門誌に広告を出稿したり、展示会に参加したり、また、共同で販促を行うパートナー企業との提携などもあげられるでしょう。事前の仮説段階で、有効な施策や道筋を洗い出した上で戦略を策定することが、リスクを最小限に抑えて目標を達成するためには不可欠です。
4.実行
販路拡大の実行方法として、策定した戦略に沿ったマーケティングの開始、キーパーソンへのアプローチ、販売チャネルの開拓などがあげられます。
予算やサービス、プロダクトによって実行方法は異なるものの、多くの場合は販路拡大の見込みを立てるためにスモールスタートしていくケースが多いです。まずは既存顧客やその関連会社への提案をおこない、効果を確認しながら進めることが重要です。
5.評価とフィードバック
評価とフィードバックは、実行した戦略の効果を測定し、今後の改善点を見つけるためのプロセスです。これには、売上データの分析、顧客からのフィードバックの収集、マーケティング活動の評価などが含まれます。
例えば、新規市場での売上目標が達成できたかを確認し、顧客からの意見をもとに製品やサービスを改良することが考えられます。このサイクルを繰り返すことで、より効果的な販路拡大が可能です。
販路拡大を成功させるためのポイント

販路拡大を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。以下では、具体的な手順や戦略を実行する際に注意すべき点を解説します。
- 顧客のビジネス課題の理解と解決に注力する
- ターゲットとの接点や関係値を管理する
- パートナーシップと協力関係の構築
- 製品の差別化と価値提案
顧客のビジネス課題の理解と解決に注力する
販路拡大を成功させるための重要なポイントの一つは、BtoB市場において顧客のビジネス課題を深く理解し、それを解決するための製品やサービスを提供することです。まず、顧客が直面している具体的な問題やニーズを調査したり、過去の商談内容やフィールドセールスのメモなどを確認しましょう。その後、どのようなインサイトがあるのか仮説を立て、マーケティング活動やインサイドセールス、商談に反映していくことが大切です。
さらに、顧客が抱える課題や顧客から得られたフィードバックは、サービス企画に反映することができるでしょう。顧客の課題解決に焦点を当てることで、単にサービスやプロダクトを売るだけでなく、顧客にとって信頼できるパートナーとしての地位を確立することができます。そうすると、顧客のアウトカムや導入事例も豊富になるため、販路拡大にも大きく寄与するでしょう。
ターゲットとの接点や関係値を管理する
販路拡大を成功させるためには、BtoBビジネスにおいて顧客との接点や関係値を効果的に管理することも重要です。長期的な関係を維持するためには、まず、定期的な商談や展示会への参加、ナーチャリングメールの送信などを通じて、顧客とのコミュニケーションを継続的に行うことが重要です。
例えば、定期的なミーティングやフォローアップの連絡を通じて、顧客のニーズや問題点を把握します。次に、顧客のフィードバックを収集し、それに迅速に対応することで、信頼関係を深めることができます。
さらに、カスタマーサクセスと連携し顧客の満足度を高めます。例えば、専任のサポート担当者を配置し、迅速な問題解決を図ることが効果的です。その際は顧客管理システム(CRM)を活用することで、顧客とのやり取りや履歴を一元管理し、より戦略的な関係管理が可能になります。
パートナーシップと協力関係の構築
販路拡大を成功させるために、他の企業や組織とのパートナーシップを構築し、協力関係を築くことも重要です。この方法により、新たな販路を開拓し、より広範な市場にアプローチすることが可能になります。
例えば、代理店契約やアライアンスの実施、大学などの研究機関との共同プロジェクトを通じて、双方の強みを生かすなどの方法があげられるでしょう。
こうしたパートナーシップは、リソースの共有やリスク分散にも役立ち、双方にとってメリットのある関係を築くことが可能です。
製品の差別化と価値提案
競争の激しいBtoB市場では、製品やサービスを他社と差別化し、顧客に対して明確な価値提案を行うことが重要です。差別化のためには、まず顧客の課題を深く理解することから始めなければなりません。具体的には、顧客が直面している問題やニーズを徹底的に調査し、その結果をサービスやプロダクトに反映します。
次に、価値提案を通じて顧客に自社の製品やサービスがなぜ選ばれているのかを明確に伝えることが求められます。競合するサービスの中で、自社がどのようなポジショニングなのかを理解し、どのような切り口で提案するのかを考える必要があるでしょう。
まとめ
販路拡大を成功させるためには、顧客情報の管理と活用が極めて重要です。Sansanは名刺管理を通じて顧客情報を一元管理し、営業活動の効率化と精度向上を実現します。
市場調査とターゲット市場の選定では、Sansanに搭載されている100万件を超える最新の企業情報から、既存顧客や見込み顧客の詳細情報を迅速に収集・分析できます。これにより、今アプローチするべき企業を簡単に見つけられ、マーケティング活動の効果が最大化します。
さらに、Sansanなら新規開拓のための営業リストを効率良く作成することが可能です。従来の方法であれば、見込みの高いリストを作成するためには元となるデータを用意し、自社にあった条件で抽出して加工するなど、多くの手間がかかっていました。
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ライター
営業DX Handbook 編集部